「正真正銘の転生譚でしたが。」月の満ち欠け Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
正真正銘の転生譚でしたが。
原作の小説は読んでいません。
◉瑠璃から瑠璃から瑠璃へ
「生まれ変わっても、あなたに逢いたいー」は切ない比喩ではなくて、言葉そのままの転生の話だった。物語は踏切事故と自動車事故から始まる。それらは偶然ではなく、ある一人の男(田中圭)の身勝手としか思えない振る舞いが原因だった。命を落とした妻や少女たちは、恋人や夫と再会したいと言う目的を抱いて生まれ変わる。
しかし、叶うならば……ではなく、ハッキリとした意思で再会へ向かう彼女たち。最初は情感に身を委ねる気満々で映画を観出したのですが、いやいや正木瑠璃(有村架純)に始まる小山内瑠璃(阿部久令亜)と緑坂瑠璃(小山紗愛)の3人の瑠璃の輪廻転生が主軸で展開した。
その落差に、私は戸惑わずにいられなかった。そして絶対に再会すると言う小山内瑠璃の強い使命感と、緑坂瑠璃の転生は事実だと言う強力な肯定感を見せられてしまうと、ファンタジーの妙薬に浸ることは、難しくなりました。転生の奇跡は、押しつけられるものではなく、自然に受け入れるものです。
◉差し出された傘は、最強のオールドファッションド・ラブソング
一方で、発端となった学生三角哲彦(目黒蓮)と人妻正木瑠璃のラブストーリーの存在感が大き過ぎたことも、輪廻転生譚を妙に霞ませてしまったのかも知れません。
この二人だけで一つの話となりますよね。間違いなく現実だった、でも、もしかしたら間違いなく夢だった恋物語。古いレコードショップ、古い映画館、古いポップス、神田川? 沿いの古びた風景などなどが、私の心をベタに盛り上げてくれた訳です。切なくて幸せを感じました。
それにしても、不倫の愛に相手を引きずり込み、自分も引きずられる有村架純を見ていると、あぁ、こう言う女性が人の人生をさり気なく壊してしまうのだ! と思わずにいられなかった。
何年も前に大泉洋と「アイアムヒーロー」で共演した時の有村架純は、半分ゾンビーのいたいけな娘役だった。私はそのゾンビー以来のファンです。
小山内賢(大泉洋)が転生を頑なに否定し続けて、最後に恐る恐る信じそうになる。妻梢と娘瑠璃の写真を見て、涙を止められなくなる。ここで終わってくれたら、それでもファンタジーの風をまとったまま、シアターを後にできたかも知れないですね。
しかし車の中で、梢の生まれ変わりの少女が微笑んで、怒濤の転生譚は幕を閉じた。更にエンディング曲の「思い出をすり抜けて生きていくだけ」が、まんま過ぎるなぁ。
Uさん
共感そしてコメントありがとうございます。
Uさんも輪廻転生の連発に違和感を感じました?
良かったです。
私はかなりいい加減な性格なのですが、何年前と言いつつ人物が老けてない・・・とか、ディティールの大雑把さについて行けませんでした。
それにしても東京在住とか地理に詳しいと、いいですね!!
目黒蓮と有村架純のラブストーリーにも時代の匂いを感じて
共感するでしょうね。
2人が主役の映画を観たいですよね。
(有村架純が本当に好きです)