「人間の弱さと希望」破戒 吹雪まんじゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の弱さと希望
原作既読。
兎にも角にも、間宮祥太朗劇場である。もちろん他の俳優さん達もみんな素晴らしかったです。でもやっぱり間宮の観る人を惹きつける演技は別格。眞島秀和も凄かった。脚本、演出の力も大きいですが、上記の2人は迫真を通り越して鬼気迫るものを感じました。
原作はあまり覚えていないのですが、改変はラストくらいでしょうか。終盤はとにかくドラマチックに、観客の心を大いに揺さぶる演出になっていました。この点はエンターテインメント作品としても優れていると言えるでしょう。
静かながらストーリーに優しく寄り添う劇伴が素晴らしい!間宮演じる丑松の心情を見事に表しております。
どの場面も思い出しただけで胸が締め付けられるような、差別と闘う若者の苦しく切ない物語。原作は当時の社会に対する問題提起の側面が強かったですが、本作は現代的に、よりドラマチックなエンターテイメント作品に仕上がっています。
とはいえ、やはり無視出来ない差別問題。現代においてはルッキズム、ジェンダー問題、SNSにおける誹謗中傷等、表面的な違いはあれど、根本的な問題は近いものがあるのではないでしょうか。結局、人間は誰かを批判している時は自分が正しいと思って安心感を得てしまうのです。作中、丑松が言っていたような「互いを尊重しあえる」社会を目指したいものですね。
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