「昨日が無くとも、今日を愛する」今夜、世界からこの恋が消えても サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
昨日が無くとも、今日を愛する
ついに、三木孝浩monthがやって参りました。
三木監督作である、「今夜、世界からこの恋が消えても」「TANG タング」「アキラとあきら」が1ヶ月の間で上映されるのです!なんてことだ!!!
一昨年からものすごい勢いで映画を作っている、今一番ノリに乗っているといってもいい売れっ子監督。一昨年は「思い、思われ、ふり、ふられ」。昨年は「夏への扉 君のいる未来」が個人的にベスト10になるくらい、この監督は最高品質の作品を届けてくれるのです。
三木孝浩monthで上映される3つの作品の中で最も期待していた本作。予告、なんなら特報の時点で勝ちを確信していたわけですが、今回脚本を務めてる月川翔が監督した「君の膵臓をたべたい」と似たような雰囲気がして、あの素晴らしい作品を越すことが出来るのかと少し不安もありました。
...なんと、まさかのキミスイ越え。そして、まさかの★5.0。今も〈ちょっと思い出しただけ〉でトリハダが止まりません。ぐわぁぁぁ、いい映画すぎるぞぉぉお...。
3本も三木監督作品が上映される訳ですから、せっかくなのでこの監督の素晴らしさというのを3回に分けて紹介しようかなと。
本作のMiki′s pointは、「人物描写」です。
ふりふらといい、ぼく明日といい、三木監督の作品はどれもこれも登場人物が魅力的。メインはもちろんのこと、主人公の両親だとか兄弟だとか友人だとかまでも愛おしく映し出すのです。しかも、今作は「君は月夜に光り輝く」「君の膵臓をたべたい」の月川翔と「明け方の若者たち」の松本花奈の共同脚本。そりゃ、最高の映画になるに決まってるでしょ?笑 いつもの三木作品以上に、繊細で煌びやかに描かれていたキャラクター。そして、俳優の良さを存分に発揮させる監督の底力。より踏み込んで、レビューしていきます。
「461個のおべんとう」では井ノ原快彦、「99.9 刑事専門弁護士」では松本潤、というベテランがメインを飾る中で、観客の心を掴む演技を見せてくれた道枝駿佑。本作で、より一層、いや三十層くらい(?)大好きになりました。絶妙な感情の変化と表し方、自然で何気ない温かさを感じさせる表情、そして何よりカッコ良さと可愛さを兼ね揃えた美貌。話し方や仕草など、彼の全てが美しいのです。これは三木&月川&松本パワーか??更なる飛躍が見られて、もう道枝駿佑の演技だけで満足できるくらい最高でした。
ふりふらでも、監督とタッグを組んだ福本莉子。あれから、何本もの映画に出演して着々と役者としての力を身につけてきた彼女ですが、この映画で一気に成長しすぎ!?と思っちゃうくらいに、すごくいい演技でした。福本莉子が出演している作品の中で、作品自体の質もあるでしょうけど、頭3つくらい飛び抜けて上手かった。あの涙が頭から離れません。こんな綺麗な泣き方出来たんだ、この人。
そして、脇を固める俳優たち。
まずは、ほぼメインといっていいほどに登場していた古川琴音。「街の上で」が印象に残っていますけど、この人もまた成長したなぁとお母さんのような気分です笑 主人公の友達役女優のトップの座は個人的には堀田真由と思っているんですが、彼女もその座を狙えるのではと感じるぐらいにいい役者です。
また、キミツキでも主人公の姉ちゃんだった松本穂香。やっぱりこの人ってすごく落ち着くわ〜。映画をキュッとまとめて引き締めるような、脇役なのにこの人がいたからこそと思える、数少ない女優です。
他の俳優陣も流石です。一人一人説明していなら、埒が明かないのでこの辺で笑
そして、肝心な内容。
映像の美しさからだろうか、冒頭から一気に引き込まれるのです。私、よく面白い映画を見た時にあっという間だとか飽きないとかっていう言葉を使うんですけど、この映画は他の映画と比べて没入の具合が段違いでした。退屈しないとかそんなレベルじゃない。普段、レビューを書くことばかり頭で考えていて、「あ、今のは無いな。減点。」だとか「意味わかんなくね?アウト。」だとか、否定的な目で映画を見ちゃう悪い癖があるのですが、そんなことさえも考えさせない、考えさせる時を与えない作品が本作なのです。どれほど、素晴らしいものなのか伝わりますかね...笑
見どころを切らさない、非常に上手い構成。
これが、この映画をそこまで魅力的に感じる最大の理由かなと。こういう、しんみりとした本格的な恋愛映画ということもあって、テンポがいいとかいっぱい笑えるとかそういうのじゃないのだけど、真正面から立ち向かってストーリーの面白さと各シーンの見応えで勝負している感じが、めちゃくちゃ満足感を与えてくれる。続きが気になる...!と観客に思わせつつ、その場をも大いに楽しませる。展開は早くないけど、隙もない。一分一秒に全力を注いでいるような丁寧さがものすごく伝わってきて、こっちも全てのシーンを滞りなく見ていたいという思いになって、没頭できるのです。
いいセリフがたくさんあって、いいシーンがたくさんあって、悔しいけど泣きまくってしまった。劇場でこんだけ泣いているのが聞こえたのも久しぶり。「余命10年」の時は滝のようにぼろぼろと涙してしまったのだけど、この映画では割と初めてなんじゃないかという「本気泣き」をしてしまいました。すすり泣きって、したことあったっけ笑 ものすごく色んな感情がぶつかって、とになく泣けて泣けて仕方なかった。ネタバレになるから、このシーンがとか、このせりふがとか言えないのが悔しいです...
観客に涙を流させる余裕を作ったり、しんみりと心を落ち着かせる間をとったりと、観客の気持ちに立ってよく考えられて作られている本作。全体通して音楽も非常に良くて、★5.0付けたわけですから、主題歌も最高なんです。ヨルシカって今まで全くと言っていいほど聞いてこなかったんですけど、こんなにいい曲を歌っているのかと結構衝撃でした。予告の時から薄々思っていたけど、あまりにも映画の雰囲気と合いすぎている。エンドロールの時に、今までのシーンが脳裏に浮かんでまた涙しちゃう。この映画の全てがこの「左右盲」という曲に詰まっているようで、この曲を聴いたら何度でも思い出せそうです。そのくらい、いい曲なんですわ。。。
なんか、考えれば考えるだけいい所が出てきて書ききれません。かなり長々とした文章になってしまいましたが、本当に出来のいい最高級の本格恋愛映画です。個人的には〈記憶について教えた〉という点で違和感を感じるところがあったのですが、これは2回目見てなにか気づけそうなので、また改めてレビューします。色々と変わった映画を高評価にしてきましたが、本作は誰にでもオススメしたい傑作です。ぜひ、この夏に涙を流しに劇場へと足を運んでください。
おはようございます。
三木孝浩監督作愛に溢れる、レビューですね。
今作は、佳き作品でしたね。
「TANG タング」「アキラとあきら」も、予告編を見る限り”絶対に面白いよな!”と期待しています。では。