劇場公開日 2022年7月29日

「記憶は消えても「愛」は残る」今夜、世界からこの恋が消えても tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0記憶は消えても「愛」は残る

2022年7月30日
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冒頭の5分で、だいたいの結末が予想できてしまい、実際、予想どおりの結末となるのだが、それでも、その切なさには泣けてしまった。愛は、記憶や思い出によって育まれるものであり、愛する人から自分の記憶が消えてしまうことや、愛していた人の記憶を消さなければならないことの辛さが、身に染みて理解できるからである。
ただ、それだけに、主人公の少女が、毎日、日記を読んだだけで、彼女にとっては初対面の相手に、愛情をもって接することができるのだろうかと、少なからず疑問に思ってしまった。そもそも、自分が記憶障害なのに、わざわざ「交際」という厄介な状況に身を置こうとするだろうか?
さらに、毎朝、膨大な量の日記を読んで、現状を理解するということにも現実味が感じられなかった。むしろ、「50回目のファーストキス」のように、記憶障害を自覚できない方が自然だと思えるのである。
そして、もし、彼女の記憶障害が治らなかったら、恋人のことは永遠に知らされなかったのだろうかという疑問も残る。まあ、その場合でも、彼女は絵を描くことによって、自分の中に愛の「手続き記憶」が残っていることを知るのだろうが・・・
ストーリーからは多くの疑問や違和感を感じるものの、「愛」は記憶よりも強いというメッセージは、やはり、感動的である。

tomato