「(6/16 22:17追記あり)日本映画の本格的なホラー映画としては十分に推せます。対抗以上。」忌怪島 きかいじま yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
(6/16 22:17追記あり)日本映画の本格的なホラー映画としては十分に推せます。対抗以上。
今年195本目(合計846本目/今月(2023年6月度)20本目)。
前の作品から5分差でこちら。
日本で放映されるホラー映画というといろいろなものがあり、ホラー映画という分類でもあまり怖くなかったり、ガチで怖かったり(セルビアン・フィルムなど。精神に来そう…)といった類型ですが、本作品は日本発のホラー映画の中ではホラー映画の要素を入れつつ(一応PG12扱い)、ここ最近かあるいは10年後にはありそうなコンピュータサイエンスを半々程度に混ぜたタイプです。この点、ホラー映画に関しては「程度の差」が激しく(それがものすごく言われたのが「それがいる森」だった)、正直心配はしていたのですが、ガチで来ていたのでそこは良かったです。何を見るか本命対抗(競馬新聞じゃないけど…)は人それぞれと思いますが、もう6月も半分が過ぎて「ちょっと涼しみに行こうか」というなら十分推せます(PG12なので描写にも配慮はあります)。
映画のネタばらしというか「この人が犯人ですよ」というのは、物語半分程度で明らかにされてしまい、あとは主人公たちが島に持ち込んだITテクニックを使っていかに「よりよい解決手段を目指すか」という方向に後半うつるところ、その後半の中でもホラー要素は絶えず登場して(まさかこの人は関係なかろう、という人も出ます。詳細ネタバレ回避)、ここは最後まで「なるほど、こういうことなのね」というのはラストまでわからないような工夫がされているのは明確によかったです。
ホラー映画といっても日本では映倫がレーティングをつけますが、ホラー映画ということを考えたときにPG12「程度の」ホラーをホラーというか等は人それぞれですが、個人的にはよかったです(なお、PG12なので配慮はあり、食事ができない、ドリンクが飲めない等のことは起きないものと思います)。
気になった点は下記2つで、4.4を4.5に切り上げたものです。後者のほうが傷が大きく、やや改善が必要かなぁ…という点になります。
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(減点0.2/主人公たちが持ち込んだIT技術に関する画面の表示等(翻訳漏れ))
・ 要はバーチャル技術等の話ですが、表示されるエラー表示や画面の表示ほかがすべて翻訳されておらず、何がどうなっているかわからない点があります(かつ、日常一般に使うような語句ではないので、準1では厳しい)。ただ、個々わからない点はあってもエラーならErrorとでますし、警告ならWarningと出ますし、「何がなんだかわからない」というほどの傷ではないです。
(減点0.4/島の人たちとの交流パートで聞き取りづらい点があり、ストーリーの理解に支障をきたす)
・ おそらく長崎弁か何かかな(長崎は島が多いので。この映画はタイトル通り、「島」が舞台です)と思ったら、どうも鹿児島方言のようです(ラストで協力として鹿児島県ほかが表示される)。
同じ日本語圏に属するとはいえ、明確に聞きロりづらい点(YesかNoか、それすらもわからないほど早口だったり方言が独特)があり、その部分がちょっと惜しいな(この映画の「半分」を占める、「島パート」ともいえる、島の住民たちの会話の大半が聞き取りづらい)、と思えました(一応、趣旨的に「ご当地枠」にはなりそうですが、鹿児島なりで先行上映されているようではないようです)。
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(個人的な思い/監督さんのこれまでの作品について)
この監督さんというと、ここのサイトや他の映画評価サイトでも大荒れした「樹海村」があることは事実で、それを理由に避けるという方もいると思います。
確かに「樹海村」は、比較的「良いところ」を評価して高めにつける私でも、ストーリーが理解できないような展開(謎の呪い箱がどうだの)や、飲食が不可能になるような表現(当時は緊急事態宣言だった)等で、私もこれはどうか…と思い、ここでも評価2.3は稀にみる低さです(私も3.5評価)。
※ 3.5評価: DAUナターシャ、樹海村、怪物、 僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。、それがいる森、の5作品のみ。
※ 3.0評価: 大怪獣のあとしまつ(のみ)
一方、次作の「牛首村」は、法律系資格持ちとしては気になる点はあったものの(廃村等への無断立ち入り)、「一応」上記の批判をくみ取ったのか理解できる点も多く、それでもここでも平均点2.6と「若干高め」ではありますが、それでも低いのが特徴です(私は4.5評価/行政法規の説明不足)。
翻ってこちらの作品になると、前2作のここや他の映画評価サイトの評価を参考にして作られたと思われるフシがあり、少なくとも「飲食すらまともにできない」という樹海村の無茶苦茶さはまったく見当らないところです(せいぜい1か所程度に過ぎない)。
いろいろな考え方があろうと思いますが、日本映画としてホラー映画を主軸に作られる監督さんは決して多くなく、「一度のミス」をもとに「この監督の方の作品は絶対行かない」ということではなく、いろいろな評価や公式サイトなどを見て(換言すれば、色眼鏡で見ることなく)決めていただければ、というところです(数少ないこうした映画を主に作る方の芽をつぶすという好ましくない結果になってしまう)。