ザ・ホエールのレビュー・感想・評価
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人は他の人を気にせずにはいられない生き物だ、だから人間は素晴らしい
「白鯨」モビー・ディックと自身を重ねる悲痛なエッセイに胸が痛い…。大きく(醜く?)、無感情と作中でも形容されている鯨に。作者は自身の悲しみを先延ばしにしている。愛したパートナーとの過去を機に過食状態に陥り健康状態を著しく崩している肥満男性が自らの死期が近いことを悟ったことから、自身を嫌っている娘との関係修復に向けて行動する5日間を描いた本作は、アロノフスキーによる実にアロノフスキーらしいダークで壮絶な作品。つまり、息もできないほど内側へと掘り下げ追い込む究極のキャラクタースタディ。作中でキリスト教、引いては宗教それ自体の存在自体に疑問符を投げかけるような揚げ足取りなど、神の不在あるいは沈黙。
だけど、最後には微かに救いもあって、それらは何より主演ブレンダン・フレイザーの魂の宿った名演と共に見る者の心を広く掴み記憶されるだろう…。別にオスカー獲らずとも既にソダーバーグやスコセッシなど素晴らしい監督たちの作品にも次々と出て復活は間違いなかったけど、やっぱり彼が主演男優賞を獲って本当に良かった。"カムバック好きカムバック好き"と言いながらなんだかんだ、同監督の本作と共通する『レスラー』のミッキー・ロークや、『バードマン』のマイケル・キートン、『クリード』のスタローンなど獲り逃し続けているイメージのほうが近年圧倒的に強かったから。
disgusting
勝手に関連作品『レスラー』
人は人を救えない、が……
ブレンダン・フレイザーの演技はすばらしさは言うまでもなくありません。
ほぼ主人公のアパートの部屋のなかだけで展開します。
ドアの使い方が本当に巧みです。
「救い」がテーマですが、「神」や「これが救いです」という言葉では救われないし、「救い」を標榜する人ほど異質なものを排除して逆に死に追いやったりもする。
ある展開によって救われてしまった人が、それまでの対等な目線で「なんとかその人を理解しよう」とする態度から、一気に上から「救いを与えようとする」冷たい人に変貌するあたりとか、少しでもカルト宗教のくだらなさに触れたことのある人は覚えがあると思いますが、そのへんを鋭く抉っていますね。
そうした、簡単に排除に転ずるカルト的な「救い」観念とは対照的に、この映画での「救い」の鍵はやはり「寄り添うこと」であり、主人公の恋人のようにそれでも救い切ることのできない場合もあるが、寄り添うことで人を少しでも破滅から遠ざけることができるのではないかというのが、少なくとも人間にできるわずかな望みだということを伝えようとしているように思いました。
主人公は、まず娘に対してそれができず、一方で恋人をしばらく死から遠ざけてはいたが、最後に娘に再度寄り添おうとします。
この娘が寄り添いと理解を必要としているのは痛いほどわかります。
悲しかったのはピザ屋さんですね。わずかな心の交流があってそれ自体は素敵なことだったのに……
前作「マザー!」で宗教にすがる人間の身勝手さや醜さを、彼らに振り回される神(の妻)の側から描いた監督ですが、今作も本当の救いは宗教そのものにあるのではないし、間違い、苦しみながらも人と対等に交流することくらいしか希望はないのだと切り込んでいます。
今回はラストがダイビングではなく……そこはこの映画の救いでした。
歩いただけなのに、こんなに胸が熱くなるとは
ザ、自己中の‼️❓キモいヒトデナシ‼️❓アンビリーバブル‼️❓
半分寝てました。故に評価出来ません。
デブへの寛容 宗教への不寛容 LGBTQ への理解 A24にしては普通すぎて心理的負担大きいのだ。アカデミー効果大。
体重272❓キロ。
そんな彼でも人生や絆があった。今はポンコツで立ち上がることもできないけど❗️
実は要約するとそういうこと。
ブレンダン・フレイザー独壇場。
有料パンフがさっき見た「AIR」のデカさと対照的なミニサイズ。
ネタバレにならない程度に述べると
愛の色々
宗教の救いとは
自分に向き合おう
ということかと思う。
「エブ・エブ👀」はアカデミー以前の公開で効果がよくわからないけど
本作は確実に「アカデミー主演男優賞 ブレンタン・フレイザー メイクアップなんやら賞=デブの特殊効果❓」
の影響大で
スクリーン前には 予告編段階で 咳すら無い😷 紳士淑女が大集合だ❗️
そんな まじめな観客 に答える
よく言えば正統派 悪く言えば 演劇的平坦な密室劇。
A24にしては正統派すぎて かえって不気味だった。
人生いろいろ、おデブちゃんもいろいろ、LGBTQもいろいろ、信仰の自由
まあ ワシ的には 眠れるほどは退屈では無かったから・・うまく見せている
だが、超現実主義者のワシ的には 2つの疑問が 頭から離れなかった。
①体重はどうでも良いが、立ち上がれないレベルでは、掃除とか洗濯、食料調達どうすんだよ❗️
元彼氏の妹は看護師&フランスパンのサンド持ってきてるだけ、いくら宅配ピザやUberやAmazonあるとは言え
掃除も洗濯も料理もできないレベルでは2015 2023レベルでは生活が成立するはずがない。50年後は知らんんけど
②女房から鞍替えした 彼氏の死因 背景が 霧の中🌁のように薄弱でフワフワしててよくわからない。
ワシ無宗教ですが 宗教全般への指摘は正鵠を射る感じで鋭い・・何らかの宗教の信者の人にとっては「向き合いたくない、耳が痛い」だろうね。
前述のとおりA24にしてはオーソドックスで
デブへの受容寛容の心構えができている紳士淑女の観客 的には「まあ普通ですね」作品。
ワシはデブでも痩せでも良いのだが、そんだけ毎日、ピザL🍕サイズ2枚頼んでたら
大学講師の金無くなっちまうよ @8000円以上だろから それともアメリカ🇺🇸はピザ破格の安さなのだろか?
要らん心配した。
まあ普通の普通の作品です。チコっとだけ長いカモ🦆
ダーレン・アロノフスキーの映画が日本で劇場公開されるのは『ノア 約...
白鯨が繋ぐ父娘間の愛憎劇
本作で今年のアカデミー賞主演男優賞を獲得したブレンダン・ブレイザーが、主人公のチャーリーを演じた父娘間の愛憎劇でした。チャーリーは、かつて自分の教え子・アラン(男性)と恋仲になり、妻と娘を捨てた過去がある。ところがアランが亡くなってしまったことから、過食症かつ運動不足に陥り、今では272キロもの巨漢になってしまい、自立歩行すら出来ない状態。収縮期の血圧が優に200を超えるなど、本来なら入院治療が必要なのに、お金がないことを理由に病院にも行かない。そんなチャーリーを手助けしていたのが、アランの妹でホン・チャウが演じた看護師のリズでした。
チャーリーは目前に死が迫っているたことを悟り、娘のエリーとコミュニケーションを取ろうとするものの、エリーは自分を捨てた父親に悪態をつきまくる。それでも自分の遺産を全てエリーに与えるという、極めて打算的ではあるものの、恐らくは唯一の解決策を使ったことでコミュニケーションが続き、それを端緒に父娘の間柄がグダグダながらも回復していき、遂には本人的には願いが叶ってエンディングを迎えることになりました。
タイトルの「ザ・ホエール」というのは、言うまでもなくハーマン・メルヴィルの不朽の名作「白鯨」から来ているもの。これはチャーリーの巨体を表しているとともに、エリーがかつて書いた「白鯨」に関する感想文が、物語のキーになっていることとも繋がっていました。映画を観たついでに「白鯨」を読もうかと思いましたが、上下巻で1000ページにも及ぶ超大作なので、読み終える自信が持てず止めました。。。
ところで本作では、チャーリーの巨体や所作が、実にリアルに再現されていました。巨体の造形は言うに及ばずですが、その動きをリアルに演じたブレンダン・ブレイザーの演技は、アカデミー主演男優賞に相応しいものだったと思います。また、「ザ・メニュー」で薄気味悪いウエイトレスの役を演じていたホン・チャウが、献身的な看護師の役を演じていました。こちらはアカデミー助演女優賞にノミネートされ、惜しくも受賞は逃しましたが、なかなか印象深い演技だったと思います。
娘役のエリーを演じたのはセイディー・シンクでしたが、父親を毛嫌いするいかにも今風の女子高生の姿は、父親が自分を捨てた過去があるとは言え、結構引くくらいに酷い態度でした。これも彼女の演技が良かったという証拠なのでしょう。
総括すると、父娘の愛憎劇という点では平均点をやや上回るものであり、巨体を再現したメイク技術とその所作を演じたブレンダン・ブレイザーの演技はそれなりに良かったかなと思う作品でした。
これは難しい映画だ。
退屈で退屈で、エブエブも酷い出来だったので今年のアカデミー賞はハズレだな
と思っていたが、エンディングで評価が一変した。
この作品のメッセージが明確に伝わってきたからだ。
お前のせいで私の人生は滅茶苦茶だ。
父への憎しみで自分の人生を生きられない娘。
しかしそんな復讐心に何の意味もないことは
本人が一番よく分かっている事だった。
自分が書いたエッセーを父に読まされ、そのことに気づく。
娘の心の闇を救い、父は安らな気持ちで旅立つ。
今年ベスト
観賞後も涙が止まらなかった!
完全に「レスラー」のダーレン・アロノフスキー!彼の作品は本当に心に刺さる!
何から何までダメな男なんですけど、あるんですよ美しく見える瞬間が。「レスラー」のラストでは命を落とすことになるであろつリングからのダイブに挑むミッキー・ロークが、本作では娘に受け入れられようと立ち上がるブレンダン・フレイザーが、二作ともこの生き方しか俺には出来ないんだという魂の叫びを描いたような映画だった。
主人公は娘のことを自分の作品と言い放つなど、彼の奥さんの言う通り自分のことしか考えていないどうしようもない奴です。医療でも宗教でも彼の心は治せませんでした。
本作では部屋から一歩も外へ出ないワン・シチュエーションムービーで登場人物も5人という限られた駒しかございませんが、扉の向こうの世界は雨だったり、ちょうど日が昇っていたり、誰がどのタイミングで部屋に来るかなど計算された駒の使い方が素晴らしく、140分たっぷりと濃密な人間ドラマに仕上げてきた。
後は何といってもやはりブレンダン・フレイザーの演技!淡々と進むストーリーながら、ここぞというところであの演技を引き出し、音楽で盛り上げて、というとても硬派で久しぶりに映画らしい映画を観た!現時点での今年ベスト!
緩やかな自殺
ハムナプトラからの…
ブレンダン・フレイザーといえばハムナプトラ‼︎
子供の頃にハムナプトラを観て以来、超娯楽映画として大好きで何回も観てきました。
ハムナプトラ以外でブレンダン・フレイザーを観る機会がなかったのですが、久しぶりにでてきたと思ったら、今回アカデミーをとったので嬉しくなって劇場に。
役のためとはいえすごい増量でした。
はじめて主人公チャーリーの体型を目の当たりにした登場人物達とまったく同じ反応しました。衝撃
物語は、宗教観が深く関わってきたり、突然登場した娘エリーとそんな頻回に会ってないのに最後の最後で急に距離が縮まったり。チャーリーは大学のオンライン講義で文章・エッセイの書き方を教えていて、娘とも文章、エッセイをとおして心を通わせようとするのですが、なんかそのストーリー展開も中途半端でした。
冒頭チャーリーが発作を起こした時から、「死ぬ直前にこの文章を読みたい」と言って頻回に朗読してたエッセイは、実はエリーが数年前に書いたものだった…ってすごい感動するはずの展開だったんですが、そこまで。
難解な部分を読み解くことのできない私には、物語自体あまり人に勧められないなぁと思いました。
宣教師のくだりは必要だったのか、元妻の登場は必要だったのか。
自分の過ちを悔いあらためて、魂を解放させるエンディングに向かうのであれば、
もうちょっと、エリーとの物語に注力ほうがよかったのではないかと思っちゃいました。
リズとの友情、よかったです。
エリーの最後にみえた笑顔、可愛すぎる。
映画自体のよさではなく、演者一人一人が素晴らしかったです。
みんなホメすぎ
いつものとおり事前の予備知識はほとんどないまま映画鑑賞するのが流儀だ。
毎週金曜日の新聞に載る新作映画レビューで、複数の新聞が大きく取り上げていたので、映画館へ行った。
狭い空間で、登場人物も少ない物語が進む。
オンラインで顔かたちも見せないまま、文学の講義をする超肥満体、病的肥満の男をめぐる物語。
彼を軸に、訪問看護師、宣教師の若者、幼い時に別れた娘らが登場し、この男との関わり、過去の事情が展開する。
現代アメリカが抱える一つの闇のようなものを感じる。
超肥満体の男がリアルに再現されているのは、確かに見世物的見ものではある。
しかし、物語そのものは僕の心を打つ、感動させる…というほどのものではなかった。
先のアカデミー賞で、主演男優賞を受けているという俳優ブレンダン・フレイザー(54)についても、「ハムナトプラ」シリーズも未見で、本作で初めて認識した。
Wikipediaを読んで、彼の過去の事情が分かり、オスカーを得たのも何となく納得した。過去の個人的な事情、そこからの役者復帰ということをも加味されたのだろう。
でも、みんなホメ過ぎだ。
決して悪い映画ではないが、僕の判断基準では、☆4つつけて他人に勧めたいとは思わない。
もっとわかりやすくするか、もっと想像力を働かせてくれる作品のほうが、僕にとってはよいのである。
主演男優賞は納得。
初日舞台挨拶にて鑑賞。
舞台挨拶、終始穏やかな雰囲気で、すごく良かった。
舞台が原作と聞いて、なるほど…と。
何かものすごい事が起きたりはせず、登場人物の感情の波はあれど、淡々とお話しが進みます。
それに飽きたり、苦手な人はいると思う。
個人的には、とても満足しました。
ブレンダン・フレイザーさんは、もはや怪演と言っていい程に素晴らしいお芝居。
特に呼吸がすごい。
肥満感を出す為の、あの呼吸の仕方。
ザラザラとした音の呼吸とか、どうやってるんだろうか。
とにかく息苦しそうだし、痛そうだし、むせるし、詰まるし…。
見ていて、こちらも何だか息が詰まってくる。
タイトルにも書きましたが、主演男優賞は納得。
他のキャスト陣も本当に素晴らしかったです。
特にホン・チャウさんが印象に残りました。
とても自然体で、お芝居らしからぬお芝居というか。リアルというか。
自分も辛いのに、それを隠して日々チャーリーの傍に居る姿、そこからの彼女が本音を吐露するシーンでグッときます。
ラストは泣きました。
すれ違い続けた9年を埋めるって、やはり簡単にはいかない。
チャーリーのエリーを見つめる眼差しや、彼女の為にしていたお金の事を考えると、もうあのラストは泣けて仕方ないです。
心が元気な時じゃないと結構色々持っていかれそうな作品なので、みなさまお気を付けて。
アカデミー賞2冠は納得できる
「白鯨」が示す意味とは?
あまりにも辛すぎて何回か泣きました。何が辛いって、ブレンダン・フレイザーの娘を見る時の眼差しが切なすぎる。日頃から娘にゴミみたいな目で見られ続けてけちょんけちょんに貶されてても、娘が可愛いと思いたい親父の顔だ。きっついだろ、これ…と何故かほぼほぼ初っ端から泣いてた。無論、そんな所から泣くような変な客は私を除いては誰も居なかった。多分。
なお『白鯨』はハーマン・メルヴィル作のアメリカ文学らしいです。未読の状態で観に行ってしまった。
この巨大なおやっさんが白鯨、つまりはモビィ・ディックだったのかどうかは原作未読過ぎてスルーしてしまったのですが…
最後まで観終えた後、ようやくこの人が巨大化したのは愛する人と別れたストレスだけじゃないんだな、ということを理解出来ました。
馬鹿野郎。
お前が逝ったら誰が娘のことを理解するんだよ、とやっぱりここでも泣いてしまいましたが。
いやあ、きつかった。
初めは理不尽な縁だったかもですが、あの看護師さんが居てくれて良かった。車椅子のバックオーライの場面。シビアな場面続きでしんどかったですが、ちょっと笑えました。私もあの方に看取っていただきたいもんです。
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