「ブレンダン・フレイザーの悲しみに溺れる」ザ・ホエール Takiさんの映画レビュー(感想・評価)
ブレンダン・フレイザーの悲しみに溺れる
どうしてこんなにも悲しいのだろう。
醜く太った体で、自分の脚で体を支えることはおろか、
笑うことも泣くことも食べることさえ満足にできず、発作を起こして死にかけている。
こうなってしまうまでの過去が、チャーリーの部屋に訪れる人々との会話劇から明かされていく。
各々が問題を抱えながら、全く完璧ではない人生を生きてきたことがわかる。
エリー(娘)のぶつけどころのない苛立ちが、その口から放つ言葉の辛辣さや、過ぎた行動から伝わってきて、
見ている側まで切り付けられているようだ。
愛する人を失った心の隙間を暴飲暴食で埋め続け、人生のバランスを崩したチャーリーが自責と贖罪の念に苦しみ、それでも死ぬ前に何かを成し得ようとする姿は、あまりにも人間臭くて、不器用だ。
その深い悲しみと優しさを湛えた眼差しに、これ以上傷つくブレンダン・フレイザーを見ているのが辛くて、
なんと私はラスト15分を残して映画館を出てしまった。
あのチャーリーの悲しみの表情に、胸を打たれまくってしまったのだ。
明日もう一度、終わりを見届けに行こう。。
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