「心の隙間を食べ物で埋めたかった。」ザ・ホエール iccoさんの映画レビュー(感想・評価)
心の隙間を食べ物で埋めたかった。
最初に彼が立ち上がった時、これは本当に鯨だわ!と思った。大海原を漂う大きな鯨。
心と体は一体化する。
重く引きずる肉のように溜まり続ける心の澱。消えない悲しみと、その心の隙間を食べ物で埋めた代償としての脂肪。
どうにもならない心と体を最後にフルに動かしてでも、彼が得たかったものとは。
何度も涙の波に襲われたけど、最後も我慢できなかったねー。
体が大きすぎて家から出られないという設定なので、本当に背景は家の中だけで、外から人が入ってきてそれぞれの人間ドラマが繰り広げられるのだけど、言われるまで家の中だけだったことに気づかなかった。
回想シーン以外は全部家の中!
その回想も同じ場面だけだから、本当に家の中だけの話だったんだなと今新たに感動しております。
あの中だけで繰り広げられていたとは思えないほど、色んなものが大きく見えたわ。動きも展開も人と人との感情のぶつかり合いによる場の空気も十分に見せてくれたなあ。
セイディちゃんはストシンしか知らなかったので、常にイラつき全てを踏み倒して行く思春期の制御不能なパワーをすごく上手に演じててすごかった。
主演のブレンダンと十分に張り合ってるように見えた。
『My 600l-lb life』が好きで娘とよく観ているんだけど、皆大きくなる理由が家庭内での愛が足りなかったことが多い。
彼も大きな愛の喪失から大きくなったわけだけど、結局ここまで体も大きくしてしまうというのは、自分の体を大事にしていないことにもなるのでやはり心と体は一体化しているんだなあと改めて思った。
娘には自分を大事にできる人間に育って欲しい。
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