「サテツの塔」エッフェル塔 創造者の愛 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
サテツの塔
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原題はただの“eiffel”なので、「エッフェル塔」ではなく、ギュスターヴ・エッフェルその人を指している。個人名を冠した塔というのもあまり類を見ない気がする。東京タワーを内藤タワーと言うようなものだから。ま、塔の最上階にエッフェルの私室があったらしいから、そういう意味では納得なのかもしれないが。
冒頭にただし書きがあるように、恋愛がらみの部分はどこまで事実なのか定かでないが、やはりフランス映画ならではの濃密なロマンティシズムが横溢している。塔の建設と同時進行で道ならぬ恋に突き進んでいくので、事業の成功譚にひりひりした感触を伴わざるを得ない。アドリエンヌを演じた女優の目力がすごい。
エッフェル塔の建設に反対運動があったのは知っていたが、ポンピドゥー・センターを建てる時も同様の論争が再燃したようで、何なら京都タワー建設の時も。いずれも古都ならではの必然とも言うべき葛藤だろう。
エッフェル塔のスケッチに“アドリエンヌ”の名前が書き足されるラストは見事。
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