「2本のストーリーラインを積み上げて頂点に導く、塔建造の映画にふさわしい様式美」エッフェル塔 創造者の愛 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
2本のストーリーラインを積み上げて頂点に導く、塔建造の映画にふさわしい様式美
ギュスターブ・エッフェルはパーティー会場で友人のレスタックから妻アドリエンヌを紹介される。2人は驚いたように見つめ合い、しばらく言葉を失う。初対面を装うが、ほどなく2人には過去に何かあったことがわかりやすくほのめかされる。
ギュスターブがパリに300メートルの鉄塔を造ると宣言してから、幾多の苦難を乗り越えて遂に完成させるまでが第1の筋。そして、ギュスターブとアドリエンヌの過去の出会いから2人の恋愛の行方を時系列にそって回想するのが第2の筋。この2本のストーリーラインを交互に積み上げ、やがて合体させてピークに至る物語構成は、塔建造の映画にふさわしい様式美と言えるだろう。
アドリエンヌ役のエマ・マッキーの意志の強さを思わせるシャープな顔立ちと、アドリエンヌの娘クレールを演じた柔和な雰囲気のアルマンド・ブーランジェ、2人の女優の好対照もいい。クレールとその夫の話がもう少し語られてもよかった気がする。
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