ホワイトバード はじまりのワンダーのレビュー・感想・評価
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一瞬の気の緩みがもたらした悲劇
正しい教育を受けた両親の元で育まれたジュリアンにとって、好意を持っているサラを守ることは必然だったのだろう。
ヒトラーの脅威に怯えながらも、納屋でサラと過ごす時間は、彼にとっては幸せなひとときだったのだろう。だからこそ、あの結末は残念でならない。
終盤のシーンで、経年変化した木彫りのホワイトバードが映った。サラの傍には、常に少年ジュリアンが寄り添っているんだなあ。
私が貴方の立場だったら、私は貴方を助けない
『ワンダー 君は太陽』で、主人公オギーをいじめて学校を退学処分となったジュリアンに
祖母のサラが少女時代にナチスから自分を救った孫と同名のジュリアンの話をする。
基本的にサラの少女時代の物語だが、
・ジュリアンはポリオにかかり片足が麻痺して松葉杖で歩行している
・ナチスによるユダヤ人迫害がフランスにも及びユダヤ人であるサラにも危機が迫る
という背景。
ジュリアン一家はサラを救おうと必死だし、特にジュリアンは無上の愛をサラに注ぐ。
自身の命をリスクにさらしてまで。
サラはジュリアンを友達といっしょに軽く扱っていたし、蔑んでもいただろう。
それでも懸命に守ってくれるジュリアンに対し
「私が貴方の立場だったら、私は貴方を助けない」と率直に言う。
おべっかや忖度ではなく、率直に言える関係性を築いているところが素晴らしい。
このセリフはなかなか言えないと思う。
ナチスから迫害を受けて、サラは初めて人の優しさや尊さを肌身に沁みて感じたことだろう。
サラは、誰も迫害やいじめをしてはいけないし、人の命は等しく尊いのだということを
孫のジュリアンに伝えたかったのだろう。
そして、サラの思いが伝わり、孫のジュリアンの思考・行動が変わっていく。
現代でも元気なサラは画家となっていて、大衆に「人間万歳」と伝える。
そして大衆からも「人間万歳」との声が。
久しぶりに心が洗われるような洋画を観た。
前作も好きだったが、本作はもっと好きかも。
いつの日か戦争のなくなる日がくるその日を信じて、筆を置く。
空想の世界は永遠に広がる!
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