ホワイトバード はじまりのワンダーのレビュー・感想・評価
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ジャック・ウィルと『ジョジョ・ラビット』
前作『ワンダー』は、障がい児を取り巻く家族や友人との関係性を鋭く描いた作品として素晴らしい出来映えだった。原作を読み、特に作者の動機が、主人公の親友であるジャック・ウィルの葛藤に表現されていたことが看取できた。本作の原作を読んだ時点で、いじめっ子ジュリアンの改悛の描き方が皮相的だと感じていた。映画化された本作は、原作をかなりドラマチックに膨らませていて、感動を誘うように演出されていると思われるが、やはり皮相的である印象は拭えなかった。ユダヤ人を庇った家族の悲劇を描いた作品としては、『ジョジョ・ラビット』の方が奥が深いと言えよう。
どうかなあ。ちょっとキレイにまとまりすぎている感じもするんだけど。
「号泣した」「泣けた」みたいなコメントが多い映画はあまり信用しない。世の中、泣きたい人が多く需要があるから泣かせることが目的の映画が生まれてしまう。
誤解なきよう。この作品がそういった安易な映画だと言っているわけではない。
「ワンダー 君は太陽」でトリーチャー・コリンズ症候群の主人公オギーをいじめた子供たちの一人ジュリアン。彼はいじめの咎でもって放校された。彼は彼なりに事件の後遺症で苦しみ、対人関係のあり方が分からなくなっている。この作品はまずもって彼を救済する物語である。加害者側のトラウマとそこからの救済という構造は尋常ではない。そして救済の手段として用意された祖母サラの物語。70年以上昔のフランスでの、ナチスに弾圧されたユダヤ人一家と、サラを匿おうとする勇気ある人々の物語である。これもまた尋常ではない。悪者と善良な人々との描き分けがやや画一的なのは気になるが、それは壮絶な生死を賭けた物語であり、また何と言ってもサラとジュリアンの納屋での日々が美しく儚い。
だからこそ、サラの物語が、70年後にジュリアンを救う流れがあまりにも綺麗事に見えてしまうのである。サラは絵の世界で成功しレジェンドになっている。ジュリアンは金持ちの坊っちゃんである。祖母の話を聞いて心を聞くところまではよいが、社会活動に目覚めました、っていうのは安易ではないか?またサラのメトロポリタン(?)でのスピーチも「人間万歳」以外はあまり心に迫ってこない。空虚なのである。ジュリアン(フランスの)が作ってくれた鳥の木彫りを触りながらのスピーチなのでもっと説得力を期待したのだが。まあ言葉なんていうのはそんなものかもしれないけれど。
人間は過去から教訓は得ていく。でも善良や勇気と言った資質が時を超えて伝わっていく奇跡はそうそう起こらない。伝わらない、伝えられないこともある。その苦さみたいなものをもう少し感じられないと本当の感動を生み出すことはできないのかもしれない。
威風堂々のヘレン・ミレンに脱帽です。
愛らしく、且つ芯の強い少女時代のサラから、ユダヤ人迫害の苦難を生き抜き、その芸術を世に認められ成功を成した美しくcharmingな老女サラへと繋がるStory。とても説得力がありました。
まだあどけない表情が残る二人、サラとジュリアンを演じたアリエラ·グレイザーとオーランド·シュワートには、心を揺さぶられます。サラを匿った納屋で、無限の空想の世界に瞳を輝かせ遊ぶ二人。脚の不自由なジュリアンがサラに注ぐ、親切心などでは表しきれない、限り無い無償の献身。愛おしさでいっぱいになります。幼少期に読んだ物語“小公女”の屋根裏部屋を思い出しました。
ナチの少年兵になった同級生男子に追われ、銃を向けられた時のサラの悲痛な表情には、凄みを感じました。今やという瞬間、彼が野狼に襲われサラが助かる展開には、いささか『寓話でしょう!?』とも思いましたが、『良かった、良かった』と安堵したのも確か。
ジュリアンの死、サラの母の死… 諸々が胸を締め付けます。が、最後には、ピカソの描いた白鳩にも似たWhite Bird🕊️
“Hourra l'humanite!” 人間万歳と、ヘレン・ミレンが声にすれば、世界にこだまします✨
若い人たちにみてもらいたい
からワンダーの続編(スピンオフ)みたいな売り方をしてるんだろうけど、だったらもっと上映館と上映回数増やすべきだと思う。
この時代背景のものが、好きというと不謹慎かも知れないが、結論観るようにしてます。
大抵は実話ベースだから胸が締め付けられる。
今作も辛いシーンはあるけれど、そんな上手くいかないだろうと思うところが。(狼とか)
多くの人に観てもらうためだとはわかってはいるんですが、フランスでみんな英語話すのはそろそろやめた方がいいんじゃないかな、と思ったりして。(将軍がエミー賞取る時代だもんね、アメリカ人だって字幕読みますよ)
おばあちゃんももっと前にお話してあげてたら、いじめっ子になってなかったかな。
あの時代と今に生きる者とを繋ぐストーリーは良いです。
想像のパリ旅行もいいシーンでした。
若い人たちにもっと観てほしい。
キノフィルムさん、いつも良作の配給ありがとうございます。
なんかキング牧師の言葉が全部持っていったな。
白い狼🐺の正義
みんなに見て欲しい(「ワンダー君は太陽」を見てなくても大丈夫、というか無関係、というか見てない方が感動するかも)
ええっ!?続編だったの!?
2024年劇場鑑賞322本目。
レビューする前に映画ドットコムの紹介文読んでいたら「ワンダー 君は太陽」続編で、前作の主人公をいじめてた子がそのまま出てくるということで、タイトルだけでは記憶にありませんでしたが写真観たら確かに観てました。内容全く覚えてない・・・。ヘルメットかぶって宇宙飛行士になりきってたんでしたっけ?退学になるくらい壮絶なイジメだったかな。
とはいえそれを知ってたらより楽しめるというだけで、今作から見ても全く問題ないです。最後に現代の子の名前が初めて出てきて泣いてしまいましたが、前作の記憶がある人は名前最初から知ってたので泣いたのがちょっと恥ずかしいくらい(笑)
ユダヤの迫害を描いているのでずっと緊迫感があり心臓にはよくありませんし、全部うまくいくわけではないので結構きついですが現代につながる作りは良かったです。
何とも切ない ! 何とも美しい ! 何とも愛おしい !
何とも切ない、何とも美しい、何とも愛おしい作品かと思いました。
祖母の昔語り、誹謗中傷の的となるボーイ、趣味のレベルを超えた絵画、窮地に陥る若いカップル・・・
モチーフは大作の「タイタニック」ですね。
ストーリーを語るのは野暮でしょう。
たいへんな秀作でした。躊躇することなくシアターに足を運ぶべきです。
愛情にあふれた環境で育った人は、優しい人になる可能性が高いと聞きます。
逆のパターンもありますね。気の毒だなと感じることがあります。
「kindness(優しさ)」という単語は英語学習の初期に習った覚えがあります。
覚えるべき必須単語なのでしょうね。
一方、「love(愛情)」はかなり後だったとおぼろげながら記憶しています。
「I love you(アイシテイル)」は・・・恥ずかしくて言えません。
この年になって、家族には言えるかもしれません・・・かな ???
本作、愛にあふれて優しく美しい人がたくさん登場します。
そのたびに「自省しろ ! 」と耳に痛い声が聞こえてきます。やはり自省ですね・・・
アリエラ・グレイザー、オーランド・シュワートの若手2人が大好演 !
「何と健気な優しく可愛い子たちなんだろう ! 」と心震えました。
むろん、ヘレン・ミレンの気高さ、美しさにも圧倒されました !!
純粋な人助け?それとも下心?
まず序盤に描かれるものはユダヤ人への差別。
この映画を観れば子供でも「人種差別は良くない」ということが理解できる作りだと思うので、その意味ではこの映画を観る価値は十分あると思う。
ただ、観ていて「日本も同じじゃん」とも思った。
この映画でユダヤ人がされていることと、今の日本で移民難民がされていることが重なって見え、例えばクルド人へのヘイト活動をしているような人がこの映画を観たらどう感じるのか、興味が湧いてしまった。
この映画で残念だったのは、ジュリアンがサラを助ける前からサラに一目惚れしていたところ。
こんな設定のせいで、ジュリアンがサラを助ける理由が純粋な利他的行動に見えず、弱みに漬け込んで好きな相手を思い通りにしているようにしか見えなかった。
ジュリアンがサラに勉強を教える場面は、ジュリアンに下心(という言い方は言い過ぎかもしれない)があることを考えると、観ていて正直「キモい」と感じてしまった。
ジュリアンはサラが美人でなくても同じことをしてくれたのか、と余計なことを考えながら観ていた。
恋愛要素がノイズに感じられたので、この映画に恋愛要素は必要なかったと思う。
祖母がいじめの傍観者であったことを後悔していたのに、孫がいじめの加害者になっていて、遺伝の難しさを痛感。
シニア世代にこそ見てほしい、感動と勇気をくれる最高の映画
本作は、前作『ワンダー 君は太陽』のいじめっ子だったジュリアンが、祖母サラの語る物語を通じて変化していく物語です。この映画は、単なる過去の回想録にとどまらず、世代を超えたつながりと、個人の成長がどのように次の世代に影響を与えるかを問いかけてきます。
物語の軸は、第二次世界大戦中のナチス占領下フランスで、ユダヤ人の少女が命を懸けて生き抜いた回想です。この歴史的な背景を基に、祖母の語りが現代の孫に新たな希望を与える形になっています。
若い世代にとって、この映画は「いじめの結果が自分に返ってくる可能性」や、「人とつながり、積極的に生きることの価値」を伝えます。一方で、私のようなシニア世代には、「成長や成果を追求する人生」から、「次の世代に何を伝え、どのように振る舞うべきかを考える人生」への転換を促してくれました。
特に印象的だったのは、祖母が孫の前に現れるタイミングの絶妙さです。彼女は、ただ思い出話をするのではなく、孫がそれを本当に必要とする瞬間を待って話し始めます。この「時を待つ姿勢」と「信頼される関係性」は、私自身がこれから若い世代とどう関わるべきかを考えるうえで、大きなヒントとなりました。
また、映画を観ながら感じたのは、次の世代に何かを伝えるには、必ずしも実績や成果だけが必要ではないということです。必要なのは、相手が自分に寄せる信頼と、必要なときに寄り添える存在であること。祖母の物語は、私に「まだできることがある」という勇気を与えてくれました。
感動のシーンも多いですが、胸を打たれたのは、美術館で祖母が最後に語る言葉です。そのメッセージには人類への希望と愛が詰まっており、「自分も誰かに何かを伝えたい」と心から思わせる力がありました。
ただ、公開2日目で映画館が空いていたのは、本当に残念。前作の印象もあり、若い人向けの映画に見えるかもしれませんが、実は40代、50代以上の方々、特に「中年の危機」を感じていたり、職場で居場所を失ったり、若い世代とうまく接することができないと悩んでいる方々にこそ観ていただきたい映画です。この作品が多くの人に届くことを願っています。
まさか、こんな話だとは…
タイトルなし
ワンダーのアナザーストーリー、より、実はヘレン・ミレンにひかれて観た作品
期待以上だった
心に残る作品はこうしてさりげなく現れる
ヘレン・ミレン演じるGrand-mèreが孫に自身の話として語り始めた時点で、サラが生き残ることは分かっている
それでは、どう生き残るのか、周りの人々はどうなるのか
良い予感などひとつもない中で物語は進む
実際にフランスの村には、ユダヤ人たちをかくまっていた人々がいたという
この話はフィクションだけれども、似たような話はたくさんあったのだろう
そして、この手の話は、常に、己の命もかえりみず誰かを助けようとする行為に驚かされる
選択肢が限られた中、果たして自分には出来るだろうか?
ジュリアンと家族の生きた日々、そして、名を継ぐ孫のジュリアンの心に残るもの
生き残ったサラの人生とそこから彼女が語ること
作品の中で出てくる数々のセリフとともに、深く深く心に残る作品になる
親切は勇気がある人しか出来ない。
「ジュリアン」という名にこめられた思い
全くのノーマーク作品だったのですが、大きな感動を与えてくれた2017年の「ワンダー 君は太陽」のアナザーストーリーであることを知って鑑賞してきました。ジュリアン役のブライス・ガイザーが続投し、いじめ加害者側の視点で展開していく点が興味深かったです。人として大切なことを教えてくれる作品であり、「ワンダー 君は太陽」を未鑑賞でも問題ないので、ぜひ多くの人に観てほしいです。
ストーリーは、級友をいじめたことで退学となり、新たな学校で人との関係に消極的になっていたジュリアンのもとにパリから訪ねてきた祖母サラが、自身の少女時代、ナチス占領下のフランスでユダヤ人である自分を命懸けで匿ってくれた友達ジュリアンと彼の両親との思い出を語るというもの。
サラの級友ジュリアンが、まだ子どもであるにもかかわらず、我が身に及ぶ危険を顧みずにサラに手を差し伸べる姿に心打たれます。心優しき両親に育てられ、自身も蔑視される苦しみを知っていたからこそ、命懸けでサラを匿い続けたのでしょう。そこにサラへの恋心もあったでしょうが、彼を突き動かしたのは目の前で失われそうな命を何とかしたいという、人としての優しさだったように思います。
他にも、子どもたちを命にかえても守ろうとする先生たち、サラを匿う中でなんとかしてサラの誕生日を祝おうとするボーミエ夫妻、夫妻の窮地を救おうとなけなしの財産を差し出す2階の夫婦など、他人のために命懸けの献身を見せる姿に涙が溢れます。
級友ジュリアンの姿を通してサラが語る思いは、孫のジュリアンの胸に深く刻まれたことでしょう。そして、その名に込められた思いも強く噛み締めたことでしょう。それは、私たち観客も同じです。第二次世界大戦終結から約80年、私たち人間は本当に何を学んできたのか、そう問いかけられているようです。戦争はしないが、それを終わらせるために何かをするわけでもなく、そこに深入りしないようにするだけ。それは、孫のジュリアンが「いじめから学んだこと」と同じではないでしょうか。そこに、愚かな戦争の終わりは見えません。
最後に、画家として大成したサラは、回顧展のスピーチでキング牧師の言葉を借りてこう語ります。「闇は闇では払えない。光でなければ。」と。憎しみと復讐の連鎖を断ち切るには、愛と優しさを命懸けで貫かなければなりません。それは、口で言うほど簡単ではありません。それでも、目の前の出来事に違和感や嫌悪を覚えて何とかしたくても、それを行動に移せない、声も上げられない人が多い中で、一歩踏み出す勇気を与えてくれる本作。今からでも自分にできる小さなことから始めてみようと思わせてくれます。
キャストは、アリエラ・グレイザー、オーランド・シュワート、ヘレン・ミレン、ブライス・ガイザー、ジリアン・アンダーソンら。中でも、名優ヘレン・ミレンの穏やかな佇まいから発せられる言葉が深く沁みます。
光と闇 Light and Darkness
前作は観ていない。
現在のように個人が告発するツールを持たない時代
ある意味、好き放題にできたことを
改めて確認。
ドイツの侵略が徐々に迫り
最初の約束事が簡単に
何の説明もないまま放棄され、
ユダヤ人たちが
突然、街中で拉致され移送されていく。
移送の仕方も大雑把だったんだろうなと想像する。
拉致、拘束、移送、処刑が
一見システマチックに見えて
あまりにも雑すぎるのが
見ていて苦しい。
それを生々しく描くことで、
主人公の少女とかくまう人たちの交流が際立つ。
ジョナサン・グレイザー監督の
映画「関心領域」と
同じ世界線と想像すると
人間の持つ両面性を考えてしまう。
本作はそれとは全く逆の内容。
負の側面があるからこそ、
主人公の少女と同級生の交流が
人間らしさの表現を際立たせている。
現在も世界のどこかで起きているかもしれない。
そんなことを考えた。
I haven’t seen the previous work.
In an era when individuals did not have tools to speak out, as they do today,
it’s a stark reminder of how people could do as they pleased to some extent.
As Germany’s invasion gradually approached,
initial promises were easily and inexplicably abandoned,
and Jewish people were suddenly abducted and transported from the streets.
I imagine the way they were transported was also quite rough.
The abduction, detention, transportation, and execution
appear systematic at first glance,
but the sheer crudeness of it all is painful to watch.
By depicting these events in raw detail,
the interactions between the protagonist, a young girl,
and those who hide her stand out even more.
When I imagine it taking place in the same world as Jonathan Glazer’s film The Zone of Interest,
it forces me to think about the duality of human nature.
This work, however, is the complete opposite.
It’s because of the negative aspects that
the interactions between the young girl and her classmates
stand out as an expression of humanity.
It made me think: this might still be happening somewhere in the world today.
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