ホワイトバード はじまりのワンダーのレビュー・感想・評価
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心に咲く青い花、世界に羽ばたく白い鳥
映画化を知ったとき、「お、なんていい目の付けどころ!」とわくわくした。そして、監督があのマーク・フォスターと知り、これは間違いなし!と確信。その期待を裏切らないところか、軽々と遥か上を行く、ほんとうに素晴らしい作品だった。
マーク・フォスター監督作品で特に忘れがたいのは、「ネバーランド」。緑の深い森で繋がり合う、孤独な作家と少年の姿が、今も目に焼きついている。
本作は、本編「ワンダー 君は太陽」では親子共々憎たらしいいじめっ子だったジュリアンと、彼の家族の物語。どんないじめっ子も、最初からモンスターではない。読み進めるうちに、人の見え方がダイナミックに反転し、彼を敵視した自分の浅はかさを思い知った。そして、思慮深い祖母に心を奪われた記憶は、思い返すほどに鮮やかだ。
映画版では、少々難ありのジュリアンの親たちは登場させず、祖母の数奇な半生と、祖母との語らいがジュリアンにもたらす変化を丁寧に描いている。
ひたひたと迫るナチスの脅威から目を逸らし、青春を謳歌していたサラは、突然追われる身となり、恐怖のどん底に叩き付けられる。そんな彼女を救ったのは、名前さえ知らず、視界からもはじき出していた、足を引きずるさえない少年だった。
戦争、しかもナチスものでありながら、「ネバーランド」同様に、自然の美しさが印象的。幻想的な青いブルーノの花、きらきらと光る雪のかけら。そしてサラのほつれ毛のやわらかさ。繊細な描写の連なりは、二人の成長をやさしく見守るかのようだ。心から打ち解け、想像の翼で羽ばたく二人の姿に、思わず顔がほこほころんだ。後半、物語は一気に急展開。誤解は解けたもののの、ふとした決断やそれぞれの思惑のすれ違いが、思いもよらぬ結末を招いてしまう。哀愁あるメロディにのって空高く羽ばたく、手描きの小さな白い鳥が切ない。
ヘレン・ミレンの圧巻は言うまでもないが、サラとジュリアンを演じた2人の瑞々しい演技も素晴らしい。ジュリアンの不器用さも、そっと寄り添い見守っていたくなる。さらには、彼らを取り巻く大人たちもそれぞれに魅力的。層の厚いアンサンブルの力にぐいぐい引き込まれ、最後は彼らとともに「人間万歳!」と腕を上げて快哉を叫びたくなった。
子どものころのささやかな出来事は、それからの長い人生の原動力となる。大人ならばかつての思い出をさぐり、子どもならば目の前の日々が愛おしくなるはず。
つくづく、傑作。
どんな行動を取るかの選択は誰にも奪われない
大好きな「ワンダー君は太陽」のスピンオフ。
けれど特に前作を見なくても、話の核やメッセージは捉えられる作品になっていると思う。
ワンダーファンは、前作のようなハートウォーミングなストーリーや展開を期待していたら、少し驚いてしまうかもしれないけれど、元々この時代背景の映画が好きな私は大満足な作品でした。
普通に生活していただけなのに、否応もなく人間狩りの狩られる立場になっていく恐怖はどれほどの恐怖だったか、あの時代のユダヤの人々の気持ちを思うと本当に苦しくなる。
この時代の作品を見るたびに、私がこの時代に生きていたら、どんな行動や判断を取るだろうと考えてしまう。
憎悪や偏見に染まることは容易くて、大多数がそうなる中、優しさや他者を思う気持ちや、自分の身が危うくなっても正義を貫く人間でいられるのか。正直自信がない。
サラが経験した、人生で1番恐怖と悲しみを味わったあの時期でのジュリアン一家の優しさには涙が出た。どれだけ彼女の希望になり光になったか。
優しさとは1番の勇気、優しさは残り続ける、優しさとは何かを心に刻み込まれるような、覚えておかなければならないと思わされる作品だった。
闇や闇では追い払えない。闇は光でしか追い払えない。今世界で闇が襲ってきて助けを求めている人々が、どうか光でその闇が消え去りますように。私もその光を放てる人間になれますように。
この監督らしい構造と語り口が効いている
マーク・フォースター作品はいつも二重構造に彩られている。二つの異なる時代や世界を対比させることもあれば、過去に起きた出来事の余波に生きる主人公を描き出す人間ドラマも多い。その例に漏れず本作も前作『ワンダー』を前提としつつ、現在地において過去の戦争の記憶がゆっくりと紐解かれていく。ナチスの侵略、ユダヤ人迫害など、何度も扱われてきた題材ではあるが、フォースターらしい二重性の皮膜を介することでフィクション上の出来事が単なる昔話でなく、リアルな切実さと温度で伝わってくるのを感じる。その中で本作は、自分以外の守るべき誰かのために命がけで行動することの意義を柔らかくも真摯な目線で訴えかける。そうできてこそ初めて人は人間らしくあることができるのだろうし、その行動は確実に未来へと繋がっていく。これは主人公に再起の力を与える物語でありながら、憎しみの加速する現代に投じられた一羽の鳥の羽ばたきのような作品だ。
良過ぎた…不意打ちで立てない
物語の持つ力と映像の持つ力のすべてを見せつけられてしまった。
なんでもっと早く観なかったのだろう?
まだ観てないなら今すぐ観に行くべきだし
全人類が観るべき映画がここにある。
かの戦争が終わってちょうど80年だけど
世界は何ひとつ変わっちゃいないな。
優しさと残酷さ、正義と非道、
差別と包容、対立と連帯、利他と利己、
立場の違いが生む真反対の価値観。
自分には出来るだろうか?
自分ならどう振る舞うだろうか?
狼に食われる方に行きがちな世界に
本当の勇気とは何かを問われているよう。
どれだけ言葉を重ねても
この映画の持つ圧倒的な映像美や臨場感は
何ひとつ伝わらないのでぜひ映画館でご覧ください。
スマホやモニタで見る一時停止可能な映画は
たぶん映画に似た何かであって本物の映画体験ではありません。
それではハバナイスムービー!
フランス人の英語
危なく見逃すところでした
本作はポスターの雰囲気と「ワンダー君は太陽」の番外編との情報から、現代の学校のいじめ問題を題材にした作品だと思い込み、当初観る予定に入っていなかったのですが、他にこれといった作品がないので鑑賞することにした作品です。
それで鑑賞してみたところ、想像とはまるで違う内容にびっくり。ここ最近では希に見る良作で大変感動させていただきました。ストーリーは勿論ですが役者の皆さんとても良かったです。その中でも特に良かったのは回想シーンにおけるメインのお二人で、とても愛らしく本当にハマり役だと思いました。
お正月早々こういった作品に出会えて良かったです。危なく見逃すところでした。今年は本作のような作品に沢山出会えることを願います。
命をかけて人を助ける強い優しさ
2024年12月公開の映画ですが2025年1月公開終了間近に駆け込み鑑賞
ポスターと「ワンダー君は太陽」のアナザーストーリーの知識だけ
ワンダーのいじめっ子に祖母が語る自分の昔話
蓋を開けばナチスによるユダヤ人迫害から逃れ隠れる少女時代の祖母と彼女を匿う少年の話
これは心して観ないといけないヘビーな映画か、、などと思いながら観てましたが予想に反して迫害の恐怖がメインではなく、2人の友情と人を助ける勇気の話
ナチスのヨーロッパ侵攻した80年前の出来事
人間が他者を土地を侵略する戦争
今だ悲惨な戦争を終わせる事のできない人間
涙無くしては観れない感動的で美しい反戦映画
人が人を平気で殺す闇の世界を救うのは人の中にある光
村にある古代林のミステリアスな美しさ
命がけで人を助ける人達の美しく強い光に涙しました
彼女の父や学校の先生
心に留めておきたい名台詞がいくつも出て来てもう一度観ておきたい映画でした
2025年3本目にして年間ベストに入れたい作品に出会いました
2025-N3
ジュリアンの名前の由来
ホワイトバード
咲き続けるBlue Bell
虐めの加害者で退学となった孫に、自身の過去の出来事を話しながら人に優しくすることの大切さを問うおばあさんの物語。
2024年最終鑑賞作品!!ホントあっと言う間だ…。
全体を通し、ファンタジックで心温まるドラマ作品。
戦時中のフランス。ユダヤ人であるサラはナチスから追われるが、虐められていたジュリアンが匿ってくれて…。
ユダヤ人を助ければ自身もどうなるか分からない、という危険がありつつもサラを守るジュリアン。私があなたの立場だったら…確かにまぁそうでしょうね。
隣に何年も座っていながら名前も覚えていなかった彼と心を通わせていく様には、哀しくも心が温かくなる。ジュリアンも足が悪い中、命懸けで彼女を守ってくれる姿にジ〜ンときた。そして青い花畑のシーンは思わず涙。
時は経ち、ナチスの蛮行も激しさを増す中、いよいよ事が動き出す。それでも、守ってくれたのはジュリアンだけでなく…ここには涙がブワッと溢れてきた。
話は現代に還り、孫のジュリアンの行動にも変化が訪れ…サラの心のブルーベルは、これからも時を越え咲き続けることでしょう。
人に親切にすることは大事…当たり前のことのように言うけど、普段本当に皆それはできていますでしょうか?
ワタクシなんかは、正直最近は親切さを見せたが最後、相手にいいように利用されるに決まってる…なんて思うようになってしまいましたが、子どものジュリアンでも命懸けで人を守っていたと訳で。
今年の最後の最後に、年内トップクラスの名作と出逢ってしまった感じ。しっかり泣かせてもらいました。明日からも、勇気は要るけど人に優しくする心を持っていきたい、そんなふうに思わされた作品だった。
さてさて、今年は忙しくなって映画を観る本数がグッと減ってしまいましたが、見逃した作品の中にも本作のような名作があったんだろうなぁ。。
2025年は沢山観たいものを観て、本作のように良き涙を流せる作品とまた出逢いたいですね!
いつか我が子に観せたい。
正しく生きること
ワンダーが好きだったのでこちらも楽しみにしていてようやく鑑賞。
いじめっ子のジュリアンの話かと思いきやジュリアン違いでしたが、素敵なお話でした。
映画では良い人、素敵な人は幸せな終わり方でいてほしいと思ってしまうのですが、
現実も含めてそんなに都合良くはいかないですね。
正しい終わり方なんてないし、人生の終わりはどんな人も唐突でどんな形でも理不尽で、
どうにかそこまでに正しかったと言えるように努力していくしかないんだなと思いました。
祖母の話だけで良い人に変われるならもっときっかけはあるんじゃないかとも思いましたが、人生の起点なんてそんなものなのかもなとも思ったり。
行き詰まって変わりたいと思えてさえいればきっかけなんて些細なものなのかもしれない。
ちょっと作品の主題とはずれてしまいましたが、鑑賞後の率直な感想はそんな感じでした。
あとはお決まりの人種差別や反戦などありきたりなテーマについては、もちろんの感想ですが、ユダヤ人差別に関しては少し理解が深まって勉強になりました。
『ワンダー 君は太陽』と併せて観たい一作
本作が『ワンダー 君は太陽』(2017)のスピンオフ的な作品ということに鑑賞後に気が付いた観客による感想です。
冒頭でジュリアン(オーランド・シュワート)と彼の祖母サラ(アリエラ・グレイザー)が対話する場面があり、ここは『ワンダー』を観ていないと状況の把握が難しいんだけど、本作は若き頃のサラがいかに過酷な時代を生きたかの描写に重点を置いているので、ここで話についていけなくなる、ということは決してありません。
むしろ『ワンダー』を観ていなくても、ジュリアンの心の揺れを目線と間だけで描いてしまう演出の妙は、すぐに観客を作品世界の入り口に立たせてくれます。
サラの青春時代はナチスドイツ占領下のフランスでの苦しい経験に塗りつぶされていることが、もろもろの描写から痛いほど伝わってきます。ユダヤ系である彼女や彼女の家族、そして近しい人々がナチスによる迫害によって追い詰められていく様は、近作でも『ジョジョ・ラビット』(2019)などに類似した描写はあるのはあるのですが、それでもまだ幼い少女の目線から見た圧倒的な抑圧と暴力には身を切られるようなつらさがあります。
単に残酷な場面を見せるのではなく、なじみの店から締め出される(それでも心ある人はギリギリまで彼女に配慮を示すところがなお痛々しい)、級友が突如ユダヤ系であることを理由に見下してくる、といった形で現れる残酷さ。このサラの体験を単なる思い出話ではなく、自分が何をすべきかというメッセージと了解した時のジュリアンの表情も素晴らしいです。
主役のAriellaが切ない
ANAの国際線で提供されていたので見ました。ワンダーのサイドストーリー、続編ということでも面白いですが、単純にこの話だけで充分に満喫できます。
たまたまフランス滞在中だったこともあって、本当によくビシー政権下のフランスが表現されていましたし、その中での悲恋、そしてそのストーリーの深さと美しさ、破綻のない時代考証など素晴らしかった。中でも主役のAriella Glaser(英国出身)と相手役のOrlando Schwerdt(豪州出身)が実質初主演と思えないとんでもない演技力、そして可愛さに本当にキュンとした。これは自作も楽しみな二人。最初は普通の陽キャグループの一人と超陰キャだったのに・・・。
果たして自分はこのサラ(ジュリアンの祖母)が最後に高らかに演説したような、「Vive L’Humanité」(日本語だと人類万歳かもしれないけど、フランス語のニュアンス的には「一人一人の人生こそが一番大事」という意味のはず。)と堂々とした人生なのかは、猛省しました。でもできないけど・・・。
もちろん、この映画の狙いの本音はロシアのウクライナ侵攻やイスラエルの暴走などを痛烈に批判しているのはよくわかりますし、その主張のいやらしさは全然ないのが心地よい。
立ち向かう勇気
今年の最後に良い映画を観た。
人間社会は、何世紀にも渡り、権力者とそれに抗おうとする市民の階級闘争が続いていると考えるのが、妥当だと思う。強者と弱者と言い換えることができるとするなら、国同士の争いから、人権に関わるマジョリティとマイノリティの関係、人とそれ以外の動物の関係もそれに準ずるだろう。
階級闘争を終わらせるために、70年代までは、労使の話し合いが行われたりしてきたが、レーガノミクス以降は、金の流れが圧倒的に権力者に有利になってしまったことから、抗うよりも、恭順する方が生存戦略的に良いと考える人間が増えてきてしまったのは言うまでもない。
勝ち組やセレブに群がる人々。いつのまにか、そういった生き方が、誰しもの憧れになり、社会の公平化や公正なあり方を議論することが仕事であるはずの、政治家までもがそもそもセレブであったり、セレブの仲間入りをしたかのような振る舞いをあからさまにするようになった。
誰もが権力を志向し、また行使して、カーストの上に立とうとする。それが叶わない人々は、苦々しく思っていても抗おうとしない。自分を守ることで精一杯だ。けれど、この映画における、片足が不自由なジュリアンは、そうではなかった。恐れず、知恵を尽くして立ち向かう。自分が死の淵に立たされるとしても。
人としての誇りある態度は、自分が優秀な人間だとか、必要とされているかとか、そういうことに裏づけされるのではなく、勇気をもって権力に抗うことができるかどうかにある、と、この映画は言っている。あなたはどちらを選ぶのかと。僕は間違いなく後者を選ぶ。たとえ、自分が世の中全ての人から蔑まれても、ジュリアンのように、誇りある人間でありたいと思うから。
親切には勇気がいる
戦争モノは評価が高くなりがち
ホロコーストを題材にした物語だが美しい
人に親切にしたい…
前から観たいと思っていたけれど
ドクターXやはたらく細胞を先に観たので
本日鑑賞
今日も遠い映画館。
このところ、道中トラブルがあるため、けっこう早めに家を出発。6:50
朝の風は冷たい。
案の定、1個後ろの駅で
ホームから人がおちたらしく、5分の遅延
5分程度なら、問題なし
でも降りる駅を間違えた
8:30からのスタート。15人程
男性多し
皆様のレビューから、絶対感動するなあと思ったけど、正にそのとおり
ワンダーも泣けたけど
こちらも泣けた
鼻が詰まるほど、泣いた
ジュリアンの人柄も素晴らしいが、
ジュリアンの両親が素晴らしい
人に親切にしたいと思った
ジュリアン役の子良いなぁ
応援したい気分
情報が少なくて、年齢もわからない
今後に期待
スカリー年取ったけど…
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