「猫ヴォイス」ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
猫ヴォイス
カンバーバッチ主演ということでまた鑑賞。本日3本観るうちの一本目。幸先とても良かったです。
前半はコミカルで奇天烈な動きが楽しめ、後半では重くのしかかる人間ドラマが繰り広げられます。カンバーバッチは流石というか圧巻というか、奇人をしっかりと演じ切っていました。とにかくマイペースというか興味に没頭するルイス・ウェインはスクリーンを通して観ると奇怪な人間で面白いですが、実際に携わった人の視点から見るとまーヤバいやつになってんなと思いました。とにかく筆が早く、それでいて正確という面と、水泳でバタフライやクロールをバシャバシャしながら行う子供っぽい面と、二面性とまではいきませんが、大変な演じ分けだったと思います。
身分の違いの結婚が嫌がられる時代だったという事は知っていましたが、ネコを飼う事自体が忌み嫌われる時代だということは知らず、ルイスがネコに対する考え方をひっくり返したという事実に一つ驚きがありました。現代のペットの価値観をガラッと変えた凄い人物なんだなとこの作品を観て思いました。
水泳のシーンや、ネコの鳴き声に字幕が付いたりと明るいシーンがちょくちょく挿入されますが、思っていた以上に悲観的なシーンが多かったように感じました。エミリーが乳がんになり亡くなり、師でもあり友でもあるピーターも息を引き取り、時代が流れるごとに母や妹も亡くなるという喪失の物語としてもかなり強く描かれていたと思います。
歳を取ることに恐怖に支配されてどんどんおかしくなってしまう様子は若かりし頃のおちゃらけとは違い、本当に辛そうでした。カンバーバッチのとんでもない演技力をこれまた見せつけられました。最終的にはまだ幸せな方へ向かいますが、周りの人物との巡り合わせで快方へ向かっていってくれて良かったです。
ちょくちょく疑問に思うシーンはありましたが(妹たちはなぜ働かずじまいなのか)、心地よく楽しめ、想像以上に心にくる、そんな作品でした。ネコが抜群に可愛いです。
鑑賞日 12/21
鑑賞時間 12:00〜14:05
座席 E-8