「【”一緒に笑える日まで・・。”英国軍人の妻たちが、アフガンに出征した夫の銃後を守る中、安否を気遣う姿。そんな妻たちが合唱団を結成し、戦没者追悼イベントにオリジナル曲で臨む姿を描いたヒューマンドラマ。】」シング・ア・ソング! 笑顔を咲かす歌声 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”一緒に笑える日まで・・。”英国軍人の妻たちが、アフガンに出征した夫の銃後を守る中、安否を気遣う姿。そんな妻たちが合唱団を結成し、戦没者追悼イベントにオリジナル曲で臨む姿を描いたヒューマンドラマ。】
■愛する人の無事を願い英軍基地で暮らす軍人の妻たちは、共に苦難を乗り越えようと合唱を始める。
息子を亡くした悲しみを抱いているケイト(クリスティン・スコット・トーマス)とリサ(シャロン・ホーガン)を中心に、メンバーの心と歌声は一つにまとまっていく。
ある日、戦没者追悼イベントに招待されて喜ぶ彼女たちのもとに、サラ(エイミー・ジェームズ=ケリー)の夫がアフガンで戦死した哀しき知らせが入る。
◆感想
・戦争映画は多いが、銃後を守る妻たちの姿をメインで描いた映画は少ないのではないか?そういった意味でも、この作品の価値は高いと思う。
・息子を亡くした大佐の妻ケイトが、皆の前では冷静な態度を取りながら、一人幼き息子の遊ぶ映像を見るシーンは、彼女の哀しみが静かに伝わって来る。
又、ストレスの為だろうか、TVショッピングで買ったモノを納戸に収めている事を、大怪我をして戻って来た夫が見つけるシーンも・・。
・序盤は仕切りたがりのケイトは、皆から浮いているが(リーダー格のリサとの関係もギクシャクしている。)徐々に打ち解けて行き、ブリッククロフト合唱団は、サラの夫の葬儀ではジェスのソロから始める”アヴェ・マリア”を見事に歌いきる。
ー このシーンは、沁みた。皆、いつ自分の夫が戦死するか、分からないのであるから・・。-
・戦没者追悼イベントで披露する曲の詞は、彼女達が夫が出征した時に残した”遺言”から言葉を集めてリサが作るが、言葉が足りずリサはケイトの息子が遺した”一緒に笑える日まで”という言葉を使った事で、ケイトは激怒。
ー その国でも戦場に出る夫は妻に対し、”万が一”の場合に備えて遺言を残して戦地に旅立つ。だが、本当に亡くなってしまった息子の遺した言葉を使われた事に立腹するのは分かる気がする。-
・ケイトは、戦没者追悼イベントに向かうバスに乗らずに帰って来るが、そこには無き息子が乗っていたボロ車が置いてあり・・。
ー 自分の行動を反省し、ボロ車に夫と共に乗ってロイヤル・アルバート・ホールに向かうケイト。リサを始めとしたメンバーは彼女を快く、受け入れる。
そして、大観衆の前でオリジナル曲を披露するシーンは、とても良い。
妻たちの夫が自分に遺した言葉を使った詞が心に響く。
勿論、その詞には”一緒に笑える日まで”という言葉が入っている。-
<今作は、実話だそうである。
エンドロールで、実際のブリッククロフト合唱団が映され、それが世界へ広がるムーブメントとなった数多くの合唱団が分割して映される。
戦争は、起こらないのが一番であるが、国連軍として兵士を派遣している国は多数ある。
ロイヤル・アルバート・ホールで行われている、戦没者追悼イベントで、戦場に斃れた兵士の遺族に対し披露した、ブリッククロフト合唱団のオリジナルソングは素晴らしかった作品である。>