「神々の力を持ってしても、続きはもう見れない…?」シャザム! 神々の怒り 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
神々の力を持ってしても、続きはもう見れない…?
S=ソロモンの知恵、H=ヘラクレスの剛力、A=アトラスのスタミナ、Z=ゼウスの万能、A=アキレスの勇気、M=マーキュリーの神速。
各々の頭文字を取って…
シャザム(SHAZAM)!
その呪文を唱えると、超人ヒーローに。力はスーパーマンに匹敵。
魔術師から選ばれた勇者。選ばれたのは…
フツーの子供。
見た目は大人、中身は子供。国民的超人気の某アニメみたいな設定。
暗く重く辛気臭いDC映画に於いて、底抜けに明るく楽しい作風。
その2つの魅力で2019年に大ヒットした前作。
子供がスーパーヒーローになる。そんな願望を叶えさせてくれ、続編が作られる事は当然。
身寄りのない少年、ビリー。
色々あって、魔術師から選ばれヒーローに。
色々あって、バスケス夫妻の養子に。
色々あって、彼らの元の血の繋がらない兄弟姉妹たちもヒーローに。
色々あって、悪の科学者ドクター・シヴァナの野望を打ち砕いた。
兄弟姉妹力を合わせて、今日も地元フィラデルフィアの平和に尽くす。付けられた呼び名は“フィラデルフィアの英雄”…ではなかった。
冒頭、人助けはしたものの、橋は崩落。最近失敗やトラブルばかり。付けられた呼び名は“フィラデルフィアの恥”。
ビリーはそんな立場にモヤモヤ…。ヒーロー活動の後、いつも反省会。必ず全員集合で、束縛が強い。
他の皆はうんざり。何かと抜け出したり、すっぽかしたり。
ヒーローに苦悩や葛藤は必至とは言え、やっぱりまだまだ子供。結束力がバラバラな上、家族としても…。
こんな時、強大な敵が現れたらどーする…?
現れるんだな。
ヨーロッパの博物館に現れた二人の女性。
折れた杖を奪い、人々を土に変えるなど事件を起こす。
この二人は何者…?
杖は見覚えが…。
やがて二人は“永遠の岩”に幽閉されている魔術師の元に現れる。
杖は魔術師の杖で、前作の闘いの後、ビリーが折った。二度と悪用されないよう。
これがいけなかった。
かつて人間たちを虐げていた神々は魔術師によって力を杖に奪われ、異世界に閉じ込められた。が、ビリーが杖を折った事により、異世界から出、杖から力を取り戻し、復讐を誓う。
愚かな人間たちと、杖を折った者に。つまり、ビリー!
二人はアトラスの娘。長女ヘスペラは元素を操る力を持ち、次女カリプソはカオスを起こす力を持つ。
ビリーは夢の中で、ワンダーウーマンの姿をした魔術師から警告。兄弟姉妹と共に、隠れ基地(永遠の岩の図書室)でアトラスの娘たちについて調べ始める。
娘は三人。もう一人いる…?
その頃ビリーの義兄弟フレディは、学校で転校生の少女アンと親しくなる。恋の予感…?
ヒーローと友達というフレディにアンは興味津々。フレディはヒーローになってアンの前に現れるが…。
そこへ現れたヘスペラとカリプソ。察しは付いていたが、アンは三女。アンテア。軸を操る力。
フレディは杖に力を奪われてしまう。
ビリーたちが駆け付けるも、フレディは囚われる。
さらにヘスペラは魔術で、町一帯を謎のドームで覆ってしまう…。
ビリーは大人びて話し合いの場を設ける。
自分たちの力を譲る代わりに、フレディの変換とドームを消す。
が、交渉は拗れ、バトル。意外にもヘスペラを捕らえる。隠れ基地へ。
ヘスペラの罠だった。あっさり抜け出し、基地にあったあるものを盗む。これが目的だった。
黄金のリンゴの種。この種や力を取り戻す事が目的だったが…、冷静なヘスペラと人間に寛容なアンテアとは裏腹に、人間を憎悪するカリプソは暴走。
ドラゴンを従わせ、姉を襲い、種をフィラデルフィアの町に植え付ける。
本来なら美しく神々しい大樹となるが、合わぬ地では脅威の存在に。
大樹から神話のモンスターが誕生し、町や人々を襲撃。
怒れる神の猛威。兄弟姉妹も一人また一人と力を奪われ…。
絶体絶命の危機に、ビリーは…!?
神々の力を宿したヒーローが対するは、同じく神。しかも、復讐に燃える神。
その所業は神というより、鬼悪魔。神様を怒らせたら、怖や怖や…。
それをヘレン・ミレン、ルーシー・リュー、レイチェル・ゼグラーが演じる豪華キャスト。三姉妹というより三世代の親子に見えるのはご愛敬。
ミレンの存在感はさすがで、ルーシーは気の強そうなイメージにぴったり。唯一、レイチェルの慈愛に救われる。
前作でもそうだったが、モンスターたちの造形がなかなかおぞましいのはホラー出身の監督ならでは。監督繋がりであの恐怖の人形も一瞬…。
モンスターの中でもインパクト放つは、ドラゴン。その名は、ラドン! ギドラじゃないの…?
はっきり言って今回の危機は、スーパーマンかワンダーウーマン、もしくはジャスティス・リーグ級の事案。
それに子供ヒーローが立ち向かう。子供ならではの機転や出たとこ勝負で。
でも、一人では太刀打ち出来ない。そんな時頼りになるは…、言うまでもない。
ファミリー。その絆は『ワイルド・スピード』から教えられた…と、“デッカードママ”の前で。
兄弟姉妹。養父母も。二人共、子供たちがヒーローと知ってびっくり!
アトラスの娘たちは決して仲良しとは言えない。
それに対しビリーたちは、色々あったけど、結束する時は結束する。
町や人々や何よりファミリーの為に。
この危機を打破する唯一の方法。ビリーはある決断をする…。
基本はおちゃらけ子供ヒーローの大活劇だけど、家族の絆や子供から大人への成長物語も。
ここが『シャザム!』が他のヒーロー映画とは違う魅力。
ラストの決断。同じ世界観のスーパーマンと同じ自己犠牲。
でも、本作はライトなヒーローエンタメ。悲しみのまま終わったりしない。
ある人の助けもあって、ビリー復活! 墓から出てくる時はゾンビみたいだけど。
ファミリーとの再会を喜ぶ。さらに“ある人”にびっくり!
だって、夢の中でデートしていたワンダーウーマン! その時の夢みたいに顔だけ魔術師じゃなく、勿論ガル・ギャドット。
本作や『ザ・フラッシュ』でカメオ出演続くが、やっぱり見たいのはあなたの第3弾なの!
スケールや危機やゲストキャストは前作超え。
レイチェルのキュートさと唯一子供/ヒーロー兼任のグレイス・キャロライン・カリーのスタイル抜群な魅力(『FALL/フォール』のヒロインでもあったのね)とラストだけだがガルの神々しいまでの美しさ。
主役はビリーだけど、フレディが真の主人公。残念ながら兄弟姉妹全員に平等に見せ場は設けられなかった。
話や全体の出来映えは前作の方が良かった気もするけど、今回も楽しめた。
それだけに、今回の興行批評の不発は気に掛かる。
今後どうなる…?
ビリー改め“シャザム”の元に現れたスカウト。“アベンジャー・ソサエティ”として!…なんてね。
前作のラスト同様、幽閉の身のドクター・シヴァナの元に現れた謎の芋虫。
周知の通りDCはジェームズ・ガン新体制の元、仕切り直し。
DCEUやらDCUやらそれに属さないやらで、“あちら”と違ってちとこんがらがってきた。
意味深な続きは見れないの…??