「文楽の道行きでしょ。これって。」ふたつの部屋、ふたりの暮らし night runnerさんの映画レビュー(感想・評価)
文楽の道行きでしょ。これって。
およそ1時間40分の映画だったけど、とても長く感じた。それは、退屈だとか難解だったとか、ネガティブな意味では全然なくて、観ごたえがすごくあったので、(ひとコマひとコマ、と言ったらさすがに大袈裟だけど…)堪能の連続で、心地よく長く感じた次第。
すごく『上手い』映画だった。
詳しい映画の技法は知らないけれど、ロングショットやアップショットやクローズアップショット、眼だけを映したショットなど画面サイズの妙。カメラアングルや鍵穴アングル、音の使い方、カットの妙。カットを割るタイミング。そして『間』のとり方……等などが雄弁で、効果的でストーリーを補填し、いや、ストーリーそのものみたいだった。
観ながらも観おわってからも、考える。
あの直後に、二人の関係をマドレーヌの家族・娘と息子にきちんとカミングアウトして、心の底から説明して、わかってもらうようにしていたら……、もしかしたらニナはマドレーヌをお世話できたのかなあ。
でも、きっと無理か…
登場する一人ひとり理解できる。感情移入できる。
お互いに本当に大好きなんだなあ、ということだけが残った。
文楽の道行きみたいだった。
コメントする