「ノクターン」PARALLEL パラレル ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
ノクターン
昨年弁セレで公開された作品が単独公開ということで、去年がっつり見逃したのでありがたやありがたやな感じで鑑賞。
尖りに尖った殺人鬼ものでもあり、殺人鬼の恋も同時に描いた濃密な作品でした。
冒頭の虐待シーンはかなり生々しくて、ここで拒絶反応が起きてしまう人がいてもおかしくないなと思いました。腹パンにタバコの日を押し付けてその上監禁と見事なまでにクソ親です。そんなクソ親を成敗してくれたのは女装した殺人鬼というのも中々珍しい設定だなと思いました。
大きな傷を抱えて生きている舞とミッキーが出会って互いを知ると同時に互いの目的も知っていくといった感じで全体は進んでいきます。
ミッキーことサリーさんは丸鋸がメイン武器なのが激アツで、トドメを刺すシーンもラストの仲間の裏切りに対してのアクションでギャリギャリ刻んでいくシーンはテンションが上がりました。
殺人鬼が世界を少しだけ変えるという動機で、見たことの無い殺され方を実行しているというのは斬新でした。体に傷を刻みつけまくったり、首チョンパあたりはまだ見たことがありましたが、洗濯機に体をバラバラにしたものをぶち込んで電球や蛍光灯をブッ刺して光らせるというイカれた死体を目にすることができてそれはもう圧巻でした。それらをチェキで保管してるのも悪趣味さ全開でたくましかったです。
舞もミッキーもミッキーの同士も周りの人たちに恵まれず、貶されながら育ったという経緯が描かれていたのも物語にのめり込めた強い要因だと思います。
舞の親友は舞を利用して自分を棚に上げる性悪女、女優さんのひきつった笑顔がこれまた最高で、これは殺しちゃうわとミッキーもといサリーさんに同情してしまいました。
胡散臭さ全開のコメンテーターの悪態のつき方も最悪で、これも殺さなきゃやってらんねーよなぁ!って感じでぶった斬っていくのがとても良かったです。
最後の仲間割れのシーンはかなり唐突で、ミッキーが全員殺すと言っていましたが、全員自殺するんじゃなかったっけ?と疑問符を持ちながら観てしまいました。ただ仲間が撲殺されてる時に反撃できず棒立ちになっていたのはリアルだなーと思って感心して観ていました。
舞は自分の価値を計りたいというところでキャバ嬢をやってる感じなんですが、嘘とはいえ(客も客だけど)もう少し愛想良く振る舞えんのかなー、ちょっと上手くいきすぎだよなーというところは引っかかってしまいました。
とはいえ自主制作だからこそできる濃い個性の集合体のような作品でした。田中監督がこれからどんな作品を撮っていくんだろうという楽しみが増えました。エンドロールでの監督の役職がもう大盤振る舞いすぎて面白かったです。
鑑賞日 9/25
鑑賞時間 20:50〜22:25(短編「人造魔法少女カイニ」と併映)
座席 C-12