「小説家になった《美しいメイド》の回想」帰らない日曜日 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
小説家になった《美しいメイド》の回想
マルグリット・デュラスの「愛人/ラマン」オクターヴ・ミルボーの「小間使いの日記」になれず。
文芸作品の映画化。美しいが・・・惜しいです。
女性小説家の回想なら、
マルグリット・ドュラスの「愛人/ラマン」があります。
仏領インドシナを舞台に15歳の少女の通う寄宿学生が年の離れた
中国人華僑の愛人になるストーリー。
阿片に溺れる華僑との激しいベッドシーン。
愛を先導したのは私・・と、そう言い切る意地っ張りな少女。
女性作家の業と性が鮮烈でした。
1925年。
この映画はたった一日の出来事。
イギリスの上流階級ニヴン家のメイドの少女ジェーン(オデッサ・ヤング)は、
同じく上流階級の息子ポール(ジョシュ・オコナー)と留守宅の
逢いびきを楽しんでいる。
メイド役のオデッサ・ヤングのヌードシーンが多い。
半分くらいは裸で、屋敷を探訪する家政婦のジェーン。
とても可憐な美しい裸身。
でもヌードが多過ぎます。
綺麗過ぎて無個性なヌード。
そしてニヴン家の息子たちの悲しい出来事。
ジェーンの捨て子だった生い立ち、そして作家になる・・・
などが回想シーンで描かれます。
有名な家政婦を描いた映画に「小間使いの日記」があります。
3度も映画化された作品。
家政婦を演じたジャンヌ・モローの耽美な顔のシニカルな美しさ。
屈折した視線に反比例する貧相な体格。
ジャンヌ・モローはなんと背徳的な視線を持っているのだろう。
このメイドの役、リリー・ジェームズに演じたらどうだっただろうか?
オデッサはリリーにとても似てます。
ご主人夫妻がコリン・ファースにオリヴィア・コールマンのビッグネーム。
本気度を出すならリリー・ジェームズです。
それにしてもヌード・シーン。
女優がヌードになるのはとても意味深いものです。
「フレンチ・デスパッチ」のレア・セドゥのスッポンポンシーン。
これを見ずして何を観るか?!的な、レア・セドゥのアッケラカンには
「意気に感ず!!」
その男前に大好きな女優になりました。
脱がなくても凄いジャンヌ・モロー。
脱いだら凄かったレア・セドゥ。
リリー・ジェームズさんに一肌脱いで頂いたら、
多分忘れられない映画になったのでは?
女性作家の回想だとばかり思って調べたら、原作者はなんと男性。
この辺りもちょっと裏切られて残念。
第一次世界大戦の戦死した息子と重ね合わせたのも、ストーリーテラーとして、
やや平凡。
盛り上がりに欠け、ラストで萎んでしまい名作になり損なった
・・・そんな気がする映画でした。
映像が美しく調度品、蔵書、絵画に見惚れました。
今晩は
コメント、ありがとうございます。
私も英国映画は好きです。英国俳優も好きです。(多数)
今作は、現在と過去との繋ぎが少し残念かなとは思いましたが、作品の雰囲気、衣装、意匠などは佳き映画であったかと記憶しています。コリン・ファースに似ていると言われた事が一度も無いNOBUでした・・。オカシイナア・・。では。
どうしても、背景の設定がないと、映画は薄っぺらになりますよね。イメージに片寄るというか、実際はイメージでごまかしているのかもしれません。
いい映画だけ観ようと思っても観れないので、たくさん観て、自分なりのいい映画を見付けていくしかないですね。
琥珀糖さん、コメントありがとうございます。以前、日本でマルグリット・デュラス流行りましたよね!私もはまって文体真似ごっこしてました(『ラ・マン』などは全部現在形でしたっけ?忘れてしまった)。勿論、日本語で。