「邦画らしい空気感を味わえる映画」PLAN 75 たさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画らしい空気感を味わえる映画
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日本の人口構成に絶望している私にとって、一つの選択肢としてあるのかなと思っていた選択的死について。
実際に日本に適用されるとこうなるよなあをリアルな温度感を持って描いてくれた作品でした。
プラン75が公的に推されることで街中にのぼりが出たりCMになったり、長生きしてるだけで罪悪感が出てきて生きにくくなるよなとか。
実際子供も孫も夫も疎遠になり1人で暮らすようになった時に金銭面での負担もあれば、1人で淡々と生きることに小さく絶望してきたり。
そんな自分にあり得る未来をありありと見せられました。自分の想像力の貧困さに気付かされました。
主人公のおばあさまが最終確認の電話でお礼を告げるシーンが本当に胸にきた。明日自分で死を選ぶのだという落ち着いた覚悟と、少しの悲しさと、人生と想いが詰まったような言葉。泣いてしまった。
結局はカウンセラーの新人研修を行なっていた方が言うように「誰も好き好んで死を選ばない」がまさにだと想いました。
日本のために、孫のために、自分の将来の不安から死を選ばないといけないような空気感や義務感が生まれてきちゃうけど、自分から死を選びたい人なんてそんなにいない。空気って本当に強いし怖い。
最後はハッピーエンドだったと思うのですが、なんともすっきりしない、したような、最後でした。私は割と好き。
邦画でしか出せないこのゆっくりとした行間と、落ち着いた音楽の間に人の気持ちが反映されているかのような空気感。私は好きでした
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