「少数派になりつつある若者として」PLAN 75 Fさんの映画レビュー(感想・評価)
少数派になりつつある若者として
よく映画を観ますが、今作は明らかに年齢層の高い中、妙な緊張感で鑑賞。題材も作品としても良かったです。考えさせられたし、自分の中にある「歳をとった時、膨大な医療行為と薬で延命してまでひたすら生き続けるのはちょっと嫌かもなぁ」という感覚がまさにヒット。
引っかかるところが一点。
根っこにあるのは"世代間の断絶"じゃないのか?ということ。
PLAN75対象者は軒並み「仕事などで社会との接点はある(あった)が、若者との交流を継続しておらず、崖っぷちに立って始めて若者との繋がりの良さに気づく」ところが、高齢者にとってのみ都合がよいような気がしました。
繋がる努力はしてきていないけれど、自分が大変になったら若者に理解を求めるし助けて欲しくなった、という感覚の厳しさ。だから観た人はこれから気をつけよう、という監督なりの警鐘なのかもしれませんね。
今の高齢者の方々が現在の日本になるよう仕事や育児をして支えてきた!という事実はもちろんのこと、自分も前の世代がいなければ生まれていないから基本的な感謝はある。
でも、さすがに死を選ぶしかないぐらいに孤立してしまうまでに、きっといくつも分岐点があったはずで「同世代とのみ生きていたら詰む」という話な気もして、我が身も省みつつ、なんだかな〜という気分で鑑賞を終えました。
迷惑をかけない、というのは建前で、血縁の有無に関わらず若者との交流を怠っていたらそりゃそうなるよな、という登場人物の結末の迎え方が散見されました。
生き物は通常、満足に生命活動ができなくなったら死を迎えるけれど、人類はただ一個体の寿命を延ばすことに躍起になり、ひたすらに生き続ける状態を賛美するあまり、自縄自縛になりつつある気もします。この作品のメッセージも結局は"生き続けよう"になっていて、わかるけど、既に若者側は結構腹括ってますが……と言いたくなる。
とりあえず、血縁を抜きに他者と繋がり続け、世代間の交流を絶やさず、健康に生きていくしかないので、この作品は自分への戒めとしたいと思います。