「西海岸ロックが輝いた10年をたどる、ミュージシャンへの愛と憧憬に満ちた好ドキュメンタリー」ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
西海岸ロックが輝いた10年をたどる、ミュージシャンへの愛と憧憬に満ちた好ドキュメンタリー
比較的ライトな洋楽ファンならたいてい一緒だと思うが、著名ミュージシャンたちのヒット曲を大抵聴いたことがあり好きな曲も多いけれど、彼らの人脈までは詳しくない。「夢のカリフォルニア」のママス&パパス、「ミスター・タンブリンマン」のザ・バーズ、「テイク・イット・イージー」のイーグルス、さらにはジョニ・ミッチェル、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング(CSN&Y)などなど、個人的にお気に入りの曲やアーティストが多数登場するが、彼らが売れていない頃にロサンゼルス郊外のローレル・キャニオンにやって来て住みつき、交流する過程で新たにバンドを組んだり、互いに刺激し合ったりして新しい音楽を追求していたという事実に大いに驚かされた。
多彩なミュージシャンたちのライブ映像などがふんだんに、しかもなかなかの高音質で収められていて、監督自身もきっと大の音楽好きなのだろう。それに、1960年代半ばから70年代にかけての当時を振り返るミュージシャンら本人のインタビュー音声も多いが、当然老いているであろう彼らの現在の姿を写さないのは、ファンを失望させないための適切な配慮だと感じた。
音楽をよく聴いていた若い頃はどちらかと言えば英国ロックに傾倒していたので、手元のLPやCDにはウェストコーストロックに分類されるものはほとんどないけれど、CSN&Yのライブアルバム「4ウェイ・ストリート」のアナログ盤に久しぶりに針を落としたくなった。
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