「生きて生きまくる強烈な生き様」生きててよかった kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
生きて生きまくる強烈な生き様
ボクシングや総合格闘技を観ることはほとんどないのに、戦う男の漫画や映画は好きだったりする。ロッキーとかあしたのジョーとか。格闘技の競技としての魅力ではなく、男の戦う姿や生き様が色濃く描き出されるから好きなんだろう。
ボクサーを辞めた男が、地下格闘技にハマっていく本作。ボクサーをしているときでもプロとしての収入はほとんどないから、アルバイトでも仕事はしていたはず。それなのに創太の社会性のなさはどうなんだろうと感じた。それに幸子の行動にも納得はいかない。それでも最後のファイトになると、そんな不満点がすべて吹っ飛ぶような迫力と熱量だった。
技のスピード、飛び散る汗、苦悩の表情、打撃の音、観客の歓声。エンターテイメントというよりリアリティによせた格闘シーンは涙を止めることができなかった。ただの格闘ではない。男の生き様を全力でぶつけているシーンだったし、悲しいラストを予感させるものだったからなんだろう。
でも悲しくはないラストだった。矢吹丈のように生きて生きて生きまくって、真っ白に燃え尽きた気がしたから。「Sexual Drive」上映後のトークイベントで鈴木太一監督が、健児に自分を投影させたって語っていたことを思い出した。たしかに、あんなにまっすぐに敵と向き合い戦う創太を応援する側でいたい。
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