「惜しいな!もうちょっと丁寧に」生きててよかった kwmdさんの映画レビュー(感想・評価)
惜しいな!もうちょっと丁寧に
昨年の『BLUE/ブルー』は、期待せずに見たが、とても気に入った。全然勝てないボクサーの松山ケンイチは、もう試合に出れなくたって、シャドーボクシングするだけで楽しそうなんだもの。好きってそういうこと。
本作の登場人物は何にドライブされて生きているのだろう。誰かが好き?仕事が好き?お金が好き?
『進撃の巨人』や『Death Note』の作者は登場人物が劇中の何年何月何日に何をした。何を食べた、何を考えていたか、ちゃんと記録すると思う。矛盾があれば、全く物語が成立しないもの。本作はそこまでは複雑じゃ無いけど、ノベライズに耐えられるのか?
主人公はボクシング好きなの?幸子が好きなの?ボクシングやめなければいけないのは何故?別にCTで以上があるわけでも、手に不随意運動があるわけでもないし。死が迫り来る緊迫感がない。
幸子は彼が好きなの?ボクシングが嫌いなの?嫌いなのはなぜ?気持ち悪いのはつわりじゃないの、お酒飲んでるけど。
健児は幸子に闘うところを見てほしいの、関わらないでほしいの?
新堂はお金で動いているの?友達が欲しいの?
それぞれの立場が5分程度で変わってしまう。人間の心情は常に変化するけど、何のきっかけも示されないので、理解が落ち着かない。
両親の馴れ初めを今更聞くのは何故よ。今までにも聞いたでしょ何度も。
時々、ギャグパートが入っているみたいなんだけど、はっきりしないので笑っていいのか、気まずくなります。それと同じ理由で、あの映画のオマージュが生きていません。
木幡さんは流石に1発でも殴られたら死んじゃいそうなくらい、体が動いています。マツケンがいくら頑張っても勝てません。でも、「試合」では最後はまたがって、タコ殴りして、ゴングばかり。フットワークを活かしてボクサーらしい爽快感がないような気がするんですよね。取っ組み合いになるんだったら、それこそ急所蹴って、噛みついて、目潰しすればいいのに。誰も失神も、骨折も、脱臼もしていないし。
鎌滝さんは、声も素敵なので、また映画で見たいです。
大筋ではやりたい事がわかるし、多分僕の大好物なんだけど、脚本の繋がりが悪いので、感動するところまで行きませんでした。