小説家の映画のレビュー・感想・評価
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会話にこだわり
ちょっとタイトルに惹かれて鑑賞。作家で映画監督と言う人は結構いますが、文章と映像では表現方法が異なるので別物だと思います。高齢で筆を折ったという女流作家が同じく出演が途絶えているベテラン女優と偶然出会ったことから話が弾み、映画を撮ることに意欲を膨らませる会話劇。果たしてどんな映画を撮ったのかが気になるところなのに肝心の撮った映画は曖昧、最後にカラーで出て来た公園のシーンかしら、本編がモノクロなのにカラーだったからそんな気がしました。カラーにしたのは公園で集めた花や葉の表現にはカラー化が必須だったからで、映像表現の基本をなぞっていたようです。
スタッフをみて驚きホン・サンスさんが監督、製作、脚本、撮影、編集、音楽とほとんど独り相撲、本作に限らずベルリン映画祭で審査員賞を受賞した「A Traveler's Needs(2024)」や「水の中で(2023)」も独壇場と多種多様な才能をお持ちのようです。
2004年に「女は男の未来だ」が、初のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品、男女の恋愛を会話形式で描くその独創的なスタイルから、“韓国のゴダール”、”エリック・ロメールの弟子“などと称され絶賛されたそうですから、会話劇が得意なんでしょう。
評価は人それぞれでしょうが、会話と言うより字幕を読むせいなのか、私には無駄に長い会話劇で退屈でした。
カリスマ
wikiによると『一般的には、特定の人物に宿る特別な能力や資質をあらわす概念である』とのこと
今作監督の映像作家が常々称賛されている勲章を皮肉に用いることで、"物語"を産み出すきっかけは何も頭から降って湧いてくるものではなく、日常の些細な偶然の隙間から滲み出るものとして、思ったことは躊躇せずやってみようとのエールに感じた 世のクリエーターのハウツーみたいな造りなのかな?
居心地の悪さ、酒が入っての本音、そんな人間臭さをモノクロームで描くと高尚なヒューマンドラマにみえてくるマジックも監督ならではである
長回しのカット等、俳優の技量を試される演出であるが、それぞれが期待を背負っての手数を充分に出してくれたと思う そして出来上がった劇中劇の女優の天然さは、素で持っている表情を描いていて、大変愛くるしい姿であった
今作自体がメタ構造というか、監督と女優の今伝えたい事として一本の作品にしてしまう力強さと良い意味での厚かましさにニヤリとしてしまう出来映えであった
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