「「初めてのホン・サンス」さん向きな「これぞホン・サンス作品」」小説家の映画 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
「初めてのホン・サンス」さん向きな「これぞホン・サンス作品」
カンヌ、ベルリンなど「映画祭の常連」であるホン・サンス監督。私は主に最近の作品しか鑑賞しきれていませんが、彼の描く独特な世界観は嫌いじゃありません。唐突なズームアップや窓の外に現れる人など「変な映像」は今回も折々に差し込まれます。また、設定や台本はちゃんとあるのでしょうが、一見するとアドリブのような役者同士の間が、その会話の内容と相まって何となく「不安定」な関係性を生んでいるにもかかわらず、そのくせキッチリお約束があったり、苦笑してしまう展開にホン監督独特の「味わい」を感じながら観続け、コンパクトな上映時間(本作は92分)はあっという間に過ぎていきます。
内容的には今作、今までの作品以上に映画として表現されていることと、作品内で語られているセリフ(内容)が強くリンクした「Theメタ構造」で、今まで観たホン監督作品中で最も解りやすく感じました。いわゆる「物語らしく」作り込むわけでもなければ、あんにそのままを切り取る「ドキュメンタリー」でもなく、演出してないようで全くリアリティも感じないバランスに「これぞホン・サンス作品」と感じさせてくれます。もしかしたら、今まで観てなかった人のための「初めてのホン・サンス」として打ってつけなのかもしれません。(或いは、これをつまらないと思ったら、ホン・サンス向いてないのかも)
配信だと意外と観にくい監督の一人なので、興味があれば上映中に劇場でどうぞ。
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