わが青春つきるとも 伊藤千代子の生涯のレビュー・感想・評価

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5.0治安維持法 の犠牲になった 伊藤千代子の生涯

2023年11月9日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

はじめに言っておく、共産党員ではない。同党の支持者ではない。支持政党なしの立場
だがこの映画は、民主主義の根幹にかかわると感じています。

かんたんに解説

伊藤千代子の生涯です。24才没。
1920年代(昭和初期)日本は「絶対主義的天皇制」であった。国民は「天皇の家来」という時代である。
1925年「治安維持法」が制定されたことで、天皇独裁支配となった。ファシズム体制となったのだ。
背く者は弾圧され、拘留 拘禁 武力で取り締まり、拷問したりと多大な犠牲者が生まれたが、実は合法。

伊藤千代子は「朝から晩まで働いても、満足にご飯が食べられない貧しい人たち、一方では贅沢をしている人たち。この不公平な社会をなんとかよい社会にしたい」と主張していた。

小林多喜二 この映画には登場しないが、同様である。小説家「蟹工船」で知られています。
同名のドキュメンタリー映画が数年前に上映されている。

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大岸弦

5.0戦前の若き共産党員の真摯な活動を描く

2022年10月31日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

戦前の若き共産党員の真摯な活動を描く

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パンタ

4.5よく映画にしてくれた。

2022年9月24日
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伊藤千代子のことはよく知らなかったが、この映画で少しは知れて良かったと思う。映画を作った人たち、この映画を全国に広める活動をした人たちに敬意を表したい。労働者を守る法律もない時代に女子大生から労働争議、入党へと至る過程は、後で治安維持法の犠牲になることを考えると、痛々しくも見えてくるが、こうした先人たちの命をかけた戦いがあったことを私たちは忘れてはいけないだろう。転向した上に翼賛作家になり、戦後まで生き延びる夫は情けなくも見えるが、彼も命をかけていたわけで、今日のわれわれは誰も責められない。再び自由にものが言えなくなりつつある現在の日本への警鐘となった映画である。

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Boncompagno da Tacaoca

3.0多様性を受け入れる余裕のなかった時代

2022年8月19日
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現代の戦争は国家の総力戦と言われますが、挙国一致で聖戦を遂行するためには、思想の多様性など認めている場合ではなかったのでしょう。
それだけに「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう」(憲法前文)今は充分に多様性を受け入れる社会になっているでしょうか。評論子には、そんなことに思いが至った一本でした。
著名な俳優さんの出演はありませんが、それでもキャストの皆さんが一生懸命な役を演じていることが画面から伝わる一本でもありました。

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talkie

3.5拷問にも耐え、思想を貫いた女性の生涯

2022年6月22日
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鑑賞方法:試写会

 幼い頃に観たトラウマ級の映画『小林多喜二』には及ばないけど、思想弾圧の恐ろしさを再確認できた。思えば、特高による拷問の実態を知ったのも小林多喜二の映画だったが、この伊藤千代子の作品はそれをオブラートに包んだような印象だ。もうちょっと痛さが伝わってくる残虐性があってもよかったのかもしれません。3年前に観た『金子文子と朴烈』の方が緊迫感があってよかったなぁ。

 全体的には千代子の生涯を追った伝記といったイメージが強く、彼女のことを調査した苦労がよくわかる。ただ、映画としては回想録みたいなものより、彼女の生々しい部分が欲しいと感じた。

 新人女優の井上百合子はかなり良かったし、最も感動出来た演技は竹下景子。さすが東京女子大学出身。凜とした態度で千代子像を語るところが一番の見せ場だったかも。

 また、日本共産党の除名問題は厳しさを感じた・・・戦前のことなのに。拷問には耐えられないよ。個人的には眼鏡の子が好き。

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kossy

4.0まさに隠れた名作

2022年5月28日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

難しい

何も期待せず、むしろ睡眠休憩するつもりでお付き合いで行ってきました。結果寝ることすらなくあっという間の充実した2時間を過ごしました。

劇中の伊藤千代子さんの生涯の描写や熱の入った演技も引き込まれる出来であるのと同時に、その周辺の大正デモクラシーから昭和初期のぼんやりとしたイメージを「きっとこうだったんだろうな」と説得力のある細かいディティールに拘った描写に圧倒されました。
さすが戦前からの記録をもつ政党組織が全面協力してるだけある、と思わせる出来でした。

あと、劇中に「転向」したとされる2名のその後たどる人生を知ると、命懸けでこだわったイデオロギーって何なんだろう、と観賞後に考えさせられました。
「どうせ共産党だろ」と思わずに左翼映画ではありますが観た時間が無駄にはならない出来かと思いますので是非ご覧ください。

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たくや

3.5治安維持法

2022年5月19日
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帝国主義下の日本 社会主義運動家で志半ばで夭折した伊藤千代子さんの話 資本主義ではなく、労働問題や社会的弱者のためなのか共産主義の思想へ 当時の女性に対しても容赦ない尋問、拷問には呆れた 弾圧を行なったため日本は戦争に突き進み、やがて敗戦、皮肉にも国家自体も「変節」を迫られることに…結局彼女が正しかったと分かるまで何十年も掛かっているのが少々気になりますが。
東女って創設当初からリベラルだったのか、学長、出身者退学除籍処分にせず あっぱれです
伊藤千代子さんの功績を啓蒙、讃える映画なので演技云々は言いっこなしで もっと知られるべき史実だと思う

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ゆう

3.0アカ

2022年5月14日
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って、もっと極端で危険な思想主義だと思っていたが、純粋で先進的な考え方だったと思える映画だった。
ちょっと天皇制の環境下で、思想が時代の先を行ってしまったのと、世界的な資本主義との対立構造で悪者になってしまったのだろう。
女工哀史の組合活動は経営者からの圧力や世間体から苦しい思いをしたのだろう。

いずれも思想や考え方は素晴らしくとも活動については戦略、戦術が大切で、純真無垢な女子達は交渉力や政治力といった武器を持たないままに、思想(理想)に真っ正直に突き進んでしまったのかもね。

どこかの宗教映画に似た匂いを感じて時間の無駄になったかなって一瞬思ったが、事実に基づく映画として新たな歴史の一面を吸収できたと最後は思えた。

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Miya-n

4.0絶対に負けられない戦いがある

2022年5月11日
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鑑賞方法:映画館

 川平慈英ではないが、絶対に負けられない戦いがある。負けてもどうということのない川平慈英の戦いと違って、国家主義権力との戦いは、負けたら平和を失い、自由を失い、最後は命を失う。
 古今東西、女性は常に虐げられてきた。選挙制度のある国で婦人参政権が認められたのは、ほとんどが20世紀に入ってからである。日本では戦争に負けて、マッカーサーの統治下での勅令によって、婦人参政権が認められている。政治運動家はたくさんいたが、権力者を倒したのはアメリカで、日本国民全員が民主主義に目覚めた訳ではないのだ。
 だから未だに「英霊」などという言葉を使って国家に無駄に殺された兵隊を崇めている連中がいる。アホである。民主主義が技術を向上させて生活を豊かにしたのに、それが理解できずに国家主義を信奉している。アベシンゾウがその代表である。頭の悪い人間が国家主義者となるのである。

 それにしても本作品の主人公である伊藤千代子は立派だ。立派すぎて涙が出る。治安維持法を振りかざして特高警察がやりたい放題の取締りと拷問をしている時代に、天皇制反対と戦争反対を堂々と主張する勇気に感服した。若さゆえの思い込みの激しさも手伝って、天皇による独裁政治にとことん反対する。本当の芯の強さを持つのは女性の方だ。

 伊藤千代子の死(1929年)から100年近くが経って、世界は女性の活躍が目立つようになった。アンゲラ・メルケルのような優れた政治家も出現した。しかし安心はできない。国家主義は世界中に蔓延しつつある。融和と継続を求める民主主義に対して、国家主義は断絶と闘争に走る。国家主義では内心の自由さえ認められない。政治家や役人の言いなりになっていると、気がついたときには権利を奪われ、フィジカルもメンタルも国家に従属することになりかねない。
 だから反戦はどんな時代でも主張し続けなければならない。第二次世界大戦が終わってからも、いまだに戦争映画が作り続けられるのは、国家主義に対する危機感からだ。本作品もその系列にあると思う。伊藤千代子の理想と危機感は、共有しなければならない。
 日本が国家主義に陥る危険はとても大きい。それは太平洋戦争の時代に逆戻りとなることだ。時代がどんなに平和に見えても、国家主義者たちは国民の権利を蹂躙する機会を伺っている。国家主義には絶対に負けられない。

 井上百合子の演技は悪くなかった。女工たちに悲壮感がなかったのは、敢えてそういう演出にしたのだと思う。後半の苦しい描写にそなえて、前半は努めて明るい雰囲気で、伊藤千代子の幸せだった時間を伝えたかったのだろう。心に残る作品である。

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耶馬英彦

4.0歴史を発掘し、記憶に残すための記録媒体としての映画

2022年5月6日
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鑑賞方法:映画館

 娯楽度なし。演技者たち、やたらと滑舌と腹式呼吸が徹底した劇団員風。
それでも、「フェミニズム」とか「女性解放」とかの各論ではなく、世界全体を民衆が生きやすくするために立ち上がったピュアな女性がいたことをしっかりとフィルムに焼きつけてくれたことに感謝。
 男性の活動家の方に、とかく歴史の目は向きがちだけど、平塚雷鳥や伊藤野枝ばかりでない、輸入品ではない、ドメスティックな活動家がいたことを教わった。
 男性だから変節しやすく、転向して折り合いをつけることが出来たのか、痛みに強いばかりに女性たちはナイーヴなまでに貫いて短命に終わったのか、こちらの方がむしろ武士道的ではないか。セクトの内部の男尊女卑も同時に見せつけられて切なかった。同志のはずなのに、やっぱり女性がご飯作るんかい。夫にねだられてまんまと「学費」を召し上げられるんかい!(腹たったわ!)
 年端のいかない20代前半、戦後世代なら「道に迷っているばかり♪」と歌って許されたのにね、、、。

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Kumiko21

4.5自らの命を掛けた生き方が。

2022年4月23日
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鑑賞方法:映画館

既に日本史の一端となってしまいそうなあの時代、日本全体が息苦しい閉塞感に包まれ、社会の隅々まで暴圧の大波に飲まれていた時代、身を抗して立ち向かった人々がいたという事実。命を賭して立ちはだかったひとりの若き女性がいたという事実。うまく立ち回るとか、長いものには巻かれるとか、空気を読むとか、世の中の処世訓を身に付けてそこそこ満足している私に、この人々の生き方は強烈に突き刺さりました。

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ナンシー関口