劇場公開日 2022年5月6日

  • 予告編を見る

「バランスのとれたドキュメンタリーではあるが」オードリー・ヘプバーン 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0バランスのとれたドキュメンタリーではあるが

2022年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

萌える

構成としてはおおむねバランスが良好なドキュメンタリーになっている。オードリー・ヘプバーンをあまり知らないという層なら、端役の初期作品から代表作までの豊富な映像の抜粋を目にして、しっかり本編を観たいという気になりそうだ。主要作品を一通り観ている平均的なファンにとっても、大戦時の苦労や下積み時代のエピソード、愛した男性や家族のこと、映画界から離れユニセフ親善大使として献身的に活動したことなど、ヘプバーンの知られざる人物像に迫るパートが興味深いのではなかろうか。

ただし、少しひっかかる点も2つほど。まず、オードリーの子や孫らがインタビューに答えていて、家族として過ごした思い出を語るのはもちろん問題ないのだが、たとえば映画史におけるオードリーの功績や偉大さなどを誇らしげに論じるのはどうなんだろう。彼らが母ないし祖母の七光りでなく映画業界でひとかどの人物になっているならともかく、身内としての謙虚さが足りないのでは……などと思うのは日本人的な感覚だろうか。

もう1点は、3世代の女性バレエダンサーを起用してオードリーの人生をダンスで表現させているのだが、うーん、個人的には冗長に感じられた。あの尺で、オードリー自身が映画の中で踊ったシーンをもっと観られたらなお良かったのに。

高森 郁哉