「破裂したおじさんの血飛沫はどうなった?」きさらぎ駅 屠殺100%さんの映画レビュー(感想・評価)
破裂したおじさんの血飛沫はどうなった?
SFやホラーでよくある、何かをトリガーとして異次元に迷い込むというアイデア。『2001年宇宙の旅』ならモノリス、『マトリックス』なら赤いピル、『オズの魔法使い』なら竜巻、『死霊のはらわた2』なら死者の書、『ヘルレイザー』シリーズならキューブ、『ヒデオドローム』なら、変な電波をひろって観た変態拷問チャンネル、『ネバー・エンディング・ストーリー』なら終わらない物語という本、『不思議の国のアリス』ならetc…
そのトリガーを浜松の市電で表現して、サイレント・ヒル化した異次元の田舎に降り立つというホラーである。
そして、その世界は景色が暗く、被写体本人は映らないというサイレント・ヒルのプレイヤーそのものの視界。
その世界に出てくる登場人物達が化け物化したり、無惨に死んだりするのもサイレント・ヒルそっくり。
サイレント・ヒルのオリジナリティの1つとして、主人公が変わったり、その主人公が、ストーリーの進行上の行動の選択を変えることで、ストーリー展開と風景が変わってくるというものがある。ゲームの弟切草もストーリーの進行上の行動の選択を変えるとストーリー展開が変わるが、紙芝居形式で絵と文字を見せるだった。サイレント・ヒルは映像で風景が変わるからインパクトが全く違う。
『きさらぎ駅』もまさにそれで、始まりだけ同じのストーリーで1回目と2回目があり、1回目は、佐藤江梨子、2回目は恒松祐里。2回目はもちろん1回目の流れを知っているという筋書き。
少ない登場人物たちの化け物化や死をストーリーを知ってる人が防ぐことができたり、あるいは防いだつもりが結局は別の理由で同じ無残な結論になるという展開もサイレント・ヒル。
その浜松サイレント・ヒル世界の数少ない登場人物の昼間っからワンカップ飲んでるサラリーマン(現実にそんなやついないよ)のおじさんは、まず人として怖い。
きさらぎ駅のベンチで電車来たら教えてと言い放ったまま寝込んでしまう。その後、登場人物の1人が怪物化してグオーって声がした時点で、もっと怖がらないとおかしいのに、皆意外とあっさりして、とにかくここから移動しましょうと、みきさらぎ駅から離れていくと、おじさんだけそのままにして、みんな無視して線路づたいに歩いて移動。方角は誰も気にしてない。
その後、おじさんがいつの間にか皆に追いつき、その途端に何かに人体が侵されて膨らんでアベシ!あのアベシがCG全開で、物凄い勢いで人体全てが破裂したのに、血から内臓から全て綺麗に蒸発するというゲーム的世界の忠実な再現ぶりがやばい。サイレント・ヒルはゲームだからそれでよし!なのか?
そのほか、不良とその彼女とその子分の3人組の若者は、性格が悪いし馬鹿なので、どうストーリーが変わろうと何故か地獄の業火に焼かれてdead。
本田望結演じる女子高生が一番まともでかわいいので、生きてて欲しいと観客が固唾を飲んで見守るキャラ。1回目は、異次元から元に戻れるはずの光ゲートを潜ったのに、何故かゲートごと破裂でdead。佐藤が生還する。
これが2回目になると、ゲートを潜るとdeadしたと知っていた恒松が悪魔ぶりを発揮して、本田に先にゲートに行くようそそのかす!恒松は悪い奴だ。
そしたら、今度は本田が生還。恒松はワンカップおじさんと同じ目に。(ただし、初主演作で、まだ痛いけな女優さんなので、ワンカップおじさんのような無残な破裂はなし。)
意味がわからない。。。どうやら、最後まで善意で人助けした人が1人だけ生還できるようだ。光ゲートは関係ない。
それを知って3回目に臨む人は必ず生き残れるはずだ。
それにしてもおじさんと不良3人組は絶対生還無理のただのモブじゃん。
>> 意味がわからない。。。どうやら、最後まで善意で人助けした人が1人だけ生還できるようだ。
あれはサトエリがついた嘘。
こうすれば帰ることができる、という偽りの行動を促すことによって、本田望結を生還させるための駆け引きであり、目的のためなら他人を犠牲にすることを厭わない人間の怖さがオチってことです。