「【”もう一つの”旅”の時間・・、そして意図された負の連鎖。”初期、黒澤清監督作品のテイストを漂わせる”この世”と”異世界”との不可思議な連関性を描く作品。佐藤江梨子さんは、現代の小野篁なのかな?】」きさらぎ駅 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”もう一つの”旅”の時間・・、そして意図された負の連鎖。”初期、黒澤清監督作品のテイストを漂わせる”この世”と”異世界”との不可思議な連関性を描く作品。佐藤江梨子さんは、現代の小野篁なのかな?】
ー 遠州鉄道、”新浜松駅発、西鹿島行き”に乗った女性が”ある手順”を偶然踏んでしまったことから、見知らぬ世界を走る列車にいつの間にか乗ってしまい・・。-
◆感想
・異世界に偶然踏み込んだ、葉山純子(佐藤江梨子:最初から、痩せて異様な雰囲気を漂わせている。こんな、女優さんだっけ・・。)が、自分を訪ねて来た”きさらぎ駅”について、純粋に学問として訪ねて来た春奈(恒松祐里)に自らが経験した事を話すシーン。
ー 降りるべき駅である”さぎの宮駅”(どーでも、良い事だが実際に有る。)を居眠りして、乗り越し、反対電車に乗るも又居眠りし、新浜松駅に戻り、23時40分の西鹿島行き最終列車に乗ると、遠州鉄道にはないトンネル(どーでも、良い事だが実際にない。)に入り、抜けると見知らぬ場所を電車が、走っている。乗客は、ワンカップを手にしたサラリーマン(芹澤興人:居るだけで顔が怖い・・。)、若き男女3人(1名、悪辣なヤンキー。)、浜高の女子高生(本田望結)のみ・・。
で、着いた駅が”きさらぎ”と書かれたオンボロ駅。
所謂、”異世界に踏み込むステップを意図せずに踏んでしまう・・”という、神隠しとも呼ばれる現象である。-
・そして、葉山純子は一人だけ、時を越えて”この世”に戻って来る。
”人様に恥ずかしい事をするな”と母から言われて育った、健気な女子高校生(本田望結)のお陰で・・。
ー 春奈は葉山純子から”教えられた”異世界に踏み込むステップを忠実に繰り返し、異世界に足を踏み入れる。
この辺りから話は面白くなる。
何故なら、春奈は次々に起こる事を総て知っている故に、異世界の魑魅魍魎が仕掛けてくる罠を、巧みに掻い潜り、皆を(特に、健気な、女子高校生。)”この世”に戻すために・・。
”RPG異世界ホラー”と、脳内で勝手に、この作品を命名する。-
<序盤は、”ふーん”と言う感じで鑑賞する。
が、中後半の序盤の展開を上手く活用した物語構成の面白さと、葉山純子を演じた佐藤江梨子の妖しい演技(特に、最後半、春奈を誘き寄せた様々な切り抜きを壁から剥がすシーン。脳内で、彼女を勝手に、”小野篁”と命名する。)や、葉山純子の姪が同じことをして、異世界に行き、列車内で眠る春奈の姿を撮ったラストシーンが、”この世”と”異世界”の微かな扉は常に開いている・・、と言う事を示唆しているようであるなあ・・、と思った作品。
邦画界が世界に誇る、何故か日本では評価の低い、黒沢清監督の「岸辺の旅」を想起した作品でもある。>
■遠州鉄道(エンテツ)、最近乗ってないなあ・・。久しぶりに乗って、異世界でも見てこようかなあ・・。