「甥の[鋭いツッコミ]が緩く過ごしている大人に切り込む」カモン カモン たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)
甥の[鋭いツッコミ]が緩く過ごしている大人に切り込む
婚期逃した独身男と甥のやりとりを通じて、観る者に「人生とは…」を考えさえるような映画に見えた。
デトロイトで子供達にインタビューしている男ジョニー(ホアキン・フェニックス)は、ロサンゼルスに居る実妹の9歳の息子=甥ジェシーを預かることになった。
ジェシーの母親の夫がオカシクなった対応が必要で、彼女はオークランドに行かなければならかくなったのだった。
そして、ロサンゼルスで甥ジェシーの面倒を見始めたジョニーだったが、この甥が「なんで結婚しないの?」⇒ジョニー「ルイーザという女性と付き合っていたが…」⇒甥「なんで別れたの?」などと、一事が万事、日常生活で次々と鋭い発言をジョニーに突きつける(笑)
ジョニーが甥と一緒に、サンタモニカのビーチに居る場面、背景に「海の向こう側の遊園地」が見えて、美しかった。モノクロであるが、名場面。
そうしてロサンゼルスで甥の世話をしていたジョニーだが、仕事でニューヨークに行く必要ができて、甥も連れていくのだが……。
全体的に、大人と子供を中心に「人間どうしの思いを伝え合う映画」なので、会話がとても多い。ホアキン・フェニックス演じる主人公の仕事もインタビューであるし…。
「歌う歯ブラシ」の場面は笑った。
最初のうちはジョニーのインタビューがテキトーだった感あるが、終盤は「しっかりと子供の立場を考えた確りした質問に変わった」気がした。上手い演出。
<地球の時間の流れ>に飛び込んで…という件は、人間を良く見つめた感あり。
ジョニーは本音で「あの子(甥)の面倒を見ながら仕事するのはキツイよ」と言うが、それでもどうして、なかなかのコンビだった。
甥の[鋭いツッコミ]が、ゆるく過ごしている大人に切り込んでいく、快作!