「君の叫びを抱き締めたい」カモン カモン Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
君の叫びを抱き締めたい
◉世界とか、未来
世界や未来や、自分とか親や家族とかが何かなんて、そんなに簡単に分かってたまるか! だから時々、叫び声を上げたり身体を揺すったりしてしまう、愛すべき子供の物語。
子供の世界には柵がないから、素敵なことも哀しいこともたくさんあって、押し潰されてしまう。それを自分に言い聞かせるためにジェシーは騒ぐ。大声を上げたり、テーブルを叩いたりして、自分を守っていた。
◉二人が聴くもの
ジェシーは伯父の商売道具のマイクを、街や森や海に向けて、出来るだけ広い世界の自然な声や音を聞く。聴き入る彼の笑顔が、本当に可愛いらしかった。
ジョニー伯父は多くの子供たちにマイクを向ける。それは仕事だからなのだけれど、狭くなった自分の世界をちょっとでも広くしようとする試みでもあるのですね。そのように感じました。一人語りもそうした、心の作業の一つ。
◉二人が優しいもの
はい、それは母親のヴィヴに対してです。
甥っ子は大人ぶって、身勝手に振る舞っているように見えて、母が恋しくては拗ねるし、会えばひしと抱きつく。伯父は家族のことで辛い思いばかりする妹を慮って、手間のかかる甥っ子を連れて回るし、逃げられては途方に暮れる。
父親の精神状態が落ち着いて、伯父と甥っ子はひとまず離れる。この二人なら、一期一会じゃなくて、また会えます。伯父と甥の思索と探索は続くのです。
二人の役者の間で、わずかずつ高まっていく温度の感じが目に映るようで良かったです。
コメントそして共感ありがとうございます。
とてもジェシーの内面を見抜いたレビューですね。
大人っぽく見えても9歳のまだまだ幼い少年。
Uさんの書かれている、
〉叫び声を上げたり、身体を揺すったり、
〉悲しいことがたくさんあって
〉大声を上げたり、テーブルを叩いたり、
子供らしいジェシーを演じるウディ君の演技とは思えない素晴らしさ、
本当に可愛らしかったですね。
伯父さん(私、間違えました)とジェシーは似た者同士。
マイクで音を拾う姿がとても似ていて、好奇心を失わない2人は
きっとずうっと付き合って行くでしょうね。
そしてUさんの言葉。
〉ジョニー伯父の仕事は、狭くなった自分の世界をちょっとだけ
〉広くする試み・・・
含蓄ある言葉。
美しいレビューです。