彼女のいない部屋のレビュー・感想・評価
全22件中、1~20件目を表示
観客に対する信頼をひしひしと感じる
ここで何かをうっかり語ってしまうと、未見の方の楽しみを奪ってしまうどころか、アマルリック監督の創作意図に反することとなる。彼の狙いからすると、観客が事前に知っておくべき「あらすじ」はほんの僅か。すなわち、ある朝、何の前触れもなく、ひとりの女性が家族に何も告げずに家を後にするーーー。ここから始まるヒロインの行動、どこまでも美しく透明感に満ちた情景を、観客一人一人がじっと見つめ、彼女の心理にしっかり添い遂げることになる。物語は決して線形、時系列には進まない。その上、演じるヴィッキー・クリプスのたたずまいは決して説明的でないどころか、一向に意図が読み取れず、ミステリアス。その状況から何かを察し、受け止めなければならない。劇中を彩るピアノ音に導かれるように、私たちはいかなる道程を辿り、どこへ流れ着くのか。そこでどんな想いが胸にこみ上げるのか。アマルリックの観客への信頼をひしひしと感じる作品である。
ストーリーは観客任せ
主人公(ビッキー・クリープス)は夫、息子、娘を家に残して一人、家出する。
家族をウザいと思ったり、愛しいと思ったり、心が彷徨する。
あくまでも私の思ったことで、人の心の移ろいは定かではない。
こんな作り方もあるのか、と思った次第。
なんだこりゃ??というのが正直な感想。 女性が夫と2人の子どもを残...
なんだこりゃ??というのが正直な感想。
女性が夫と2人の子どもを残して家出をする。
作品の紹介文には「衝撃の真実が浮かび上がる」と書かれていたが、よく分からない。
おそらく家を出たのは女性ではなく、夫と2人の子どもが雪山の事故で亡くなったということを言いたいのだろうが、あまりにも分かりにくかった。
ドラマのような、ミステリー
画がとても美しい。
どの視点から、誰の映像なのか、時代はいつなのか、これは現実なのか、さまざまな考えがよぎりながら、展開が続く。頭と心を使う映画である。
最後にはつながってくるものの、なにが本当なのかもわからない。
ピアノ、車、物語を彩る様々なアイテムも印象的である。
表現方法と新鮮な作品だった。
2023年劇場鑑賞39本目
彼女のいない部屋を見て感じたこと
1 一人の女性の不可解な行動とその理由、そして深い喪失感を描く人間ドラマ。
2 家を出て車を走らす女性の姿。「お母さんはどこに行った」と混乱気味の夫と二人の子供の姿。観客は、話が繋がらない画面を見せられながら推理を働かす。割と早い段階で「マドモアゼル」と呼びかける声とその後の場面で、筋立てが見えたように思えた。が、しかし・・。それとは矛盾する場面やモノローグがその後も出てきて頭が混乱する。時制も相前後する。
3 中盤からは、子供の成長する姿と傍から見つめる件の女性の姿。とりわけピアノが秀でた『娘』に熱い視線を送る。この世を去った女性が家族を気にかけて気配を残したのか?とも思えてくる。
4 終局近くで事の顛末が明かされる。そのことで、映画はそれまでの不可解なものから一転、喪失感で精神が蝕ばまれ、妄執に囚われた人物のさすらう心が見えてくる。
5 ミスリードを誘うような場面構成は、難解ではないものの明解さや面白みに欠ける。それでも主人公の哀しみが一挙に強調される点ではそれなりの効果はあったと思う。
女性特有のことではないような…
皆さんの投稿などを見て、気合いをいれて観ていたが、以外にスーッと入ってきた。
単調な家族生活に疑問を抱きながら、逃避したい衝動にかられることは良くあるし、私も何度か経験している。
メンタルリセットで、精神的均衡を
保とうとするのは、人間としては当然。その間に取り返しのつかない出来事が起こり、リセットするどころか…。と思えた。メンタルをかなり病んだ彼女はどうなっていくのだろう😓
時のパッチワークめくられるメモリー
作り手の充実度、手応え、自信が伝わって来て、小難し好きの生真面目な遊び心満載で随所に美が顔を覗かせる作品。それをどう捉えどこまで向き合い付き合うかは鑑賞する者の嗜好性による。
もう一度観たいが
非常によく出来た構成。
早朝家を出る女性、彼女の生活と残された家族の生活。だが時間が進むにつれ、時間が戻るにつれ、大きくなる違和感。どちらが現実なのか。だんだん分かってくる事情、そして白日の下に晒される真実…
007では小悪党だったマチュー・アマルリックだが、監督としては確かな手腕を感じさせる。
出来ればもう一度観たいが、公開規模が…
オレンジ色の語り直し
2021年。マチュー・アマルリック監督。夫婦と二人の子供の幸せな家庭から、ある朝妻が家出する。その行方と過去の出来事、さらに可能性としての出来事が複雑に入り混じって語られる。人が本当に大切な人を失った時、過去や未来を語り直すことをやめられないというテーマ。
冒頭で提示された謎の真実を探り当てたいという観客の心をつかんで離さない。過去も現在も妄想もすべてを同じレベルで同時に提示できる映画の力を存分に使っている。個人的には、単に妄想ではなく現実世界に投影された妄想を描くところが風変りなところ。
哀しい出来事を描いているのだが、画面も音楽もこの上なく美しい。オレンジ色(ブラウン系含む)が突出している。写真で行う神経衰弱的な遊びはこの映画のメタ的解釈になっている。記憶を使った語り直し。
「バラバラのピースがつながる…」というコピーがあるが、ちょっと違うと思う。
人は過去の記憶が思い浮かぶ時、時系列で思い浮かぶ訳ではなく、その記憶は断片的で時に曖昧となる。
人は過去にとらわれ、前に進めない時、とりとめもない記憶が次から次へと頭の中に去来し、自分を見失う。
この映画は、最後まで観るとバラバラのピースがつながるというものでもなく、パズルが組合わさるというものでもない。
すべてはクラリスの頭の中に去来する記憶と妄想を描いた映画と言える。
監督からのインフォメーションは、冒頭のシーンに関して「彼女は家出をしているようだ」というものと、「何が起きるのか、観る前の人に明らかにしないでください」というものだ。
この映画の中で何かが起こる。その他のシーンは現実もあり、妄想もある。
妄想に関しては、クラリスのいないところで元気に暮らしていてほしいという願望を含んだ妄想になる。
後は劇場で観て、どのシーンが現実で、どのシーンが妄想かを判断すれば全体像が見えてくることになる。
それでもわからなければ、公式ホームページの「映画観賞後の方だけに」というページを見れば、この映画の意味はわかる。
そう考えると、映画としては不完全、解説を見ないとわからない映画ということにはなる。
クラリスの頭の中に去来する動揺と混乱の中の映像は、あなたに何を感じさせるだろうか。ぜひ、劇場でお確かめください。
#142
完全に肩透かし
途中で、何の話なのかのだいたいの想像がつくが、きっと、そうではない、思いもよらない驚愕の事実が、ラストで明らかになるに違いないと期待していると、そのまま終わってしまう。
本当に、いったい何の話だったのか?
時系列を無視した、回想なのか、幻想なのかも定かではない謎めいたエピソードの連続も、最初は興味を持って観続けられたものの、そのうち飽きてきて、退屈で眠くなってしまった。
そもそも、なぜ妻は家族を置いて家を出たのか?どうして夫と子供たちは山へ向かったのか?そうした物語の鍵となるところが分からないので、「なるほど、そういうことか」と納得できるところがまったくない。それとも、それさえも幻想だったということか?
思わせ振りな映像をさんざん見せられた挙げ句、何のオチもないままエンドロールとなって、呆気にとられるとともに、狐につままれたような気分になってしまった。
パズルのような物語
彼女に何が起きたのか、映画を観る前の方々には明らかにしないで下さい。
マチュー・アマルリック監督
分かりずらい解けないパズルのようで、頭に心に残りますね…印象的…
『スターフィッシュ』が思い浮かんだり、『恐怖の足跡』が思い浮かんだり、デヴィッド・リンチが思い浮かんだり…
最後まで観て、分かったような分からないような曖昧な感じで、
パンフレット買って答えを知りましたが、まあまあ、だいたい、合ってた。
けっこう面白かったです。
とりあえず、もう1回観たい。
主演の女優さんは『オールド』や『蜘蛛の巣を払う女』にも出てた人らしい。
全22件中、1~20件目を表示