劇場公開日 2023年4月28日

「新鮮味はないけど」劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5新鮮味はないけど

2023年5月3日
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「ドラマの映画化?どーせ、あの感じなんでしょ?」
と、ちゃんと観たこともないクセに、偉そうにタカを括っていた私だが、イヤに評判の良い映画があるとのことで劇場を予約。

テレビドラマは一回も観ておらず、鑑賞前日に第1回の放送分を確認。「あ、コレ良いかも」くらいの感覚で劇場へ。

朝イチ上映回だがほぼ満席。

映画そのものは、まあ、言ってみれば「コード・ブルー」「海猿」「踊る大捜査線」的な映画であることは予想できていたワケだし、実際に予告編で起きる以上のことを期待すると、そーでもない。

まさに、誰もが想定する「そういう映画」であることは現実にその通りなのである。

ただ、見せ方でこんなに違うのか、と驚かされる。

まずは役者たちの好演。
プロフェッショナルの技術と矜持と覚悟がひしひしと伝わってくる。
おそらく、現実の医療の原則からは逸脱してる部分もあるんだろうけど、大事なのは「説得力」。喜多見先生の指示ひとつひとつ、患者にかける声の一言一言が、魔法のように聞こえたのは、多分私だけではないはず。
鈴木亮平って、完全に顔は「コワモテ」タイプなのに表情がすごく良い。

そして、テンポの良さ。
次々にあちらこちらで複合的かつ断続的に起こる事象、そして、その都度「選択」を迫られる登場人物たち。
そのドキドキが最後まで継続する。

私が単純に歳を取ったからなのか。
古い友人が救急医療の現場で働いていたからなのか、上映時間の8割ほどの時間は目がずっとウルウルしていた。

一つ気になるのは、おそらくお決まりっぽい最後の「ゼロですっ!」ってヤツ。
もちろん「死者ゼロ」がこの分野においては最上の目標だとは分かるけど、隊員たちの必死な活躍で守られた「生命」「家族の安心」「子供の将来」が、結局「数字」に置き換えられる薄情な感じというか…。

とはいえ、なんということもないシーンにも、すごく熱量があって、エンターテインメントとしては最上級。

ただ、繰り返しになるけど、観る前に想像した通りの映画です。
でも、観てみて損はありません。

キレンジャー