「結果オーライのご都合主義に目をつぶれば、娯楽作品として十分に楽しめる」劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
結果オーライのご都合主義に目をつぶれば、娯楽作品として十分に楽しめる
たまたま助かったから「英雄的な行動」になったけれども、火災現場での手術にしたって、身重の妻との避難にしたって、普通だったら「全員死亡」という結果になっていただろう。
緊急事態においては、「多数の命を救うために少数の命を犠牲にしなければならない」ということが起こり得るし、困難な選択を迫られ、苦渋の決断を下さなければならない時が必ずある。その点において、MERのメンバーのみならず多くの消防隊員をも危険に晒すことになる手術を続行し、子供だけでも助かるようにと帝王切開を行わなかった主人公たちの判断には、どうしても疑問を感じざるを得なかった。
「死者ゼロ」のコールは確かに感動的ではあるが、彼らの行動を見ていると、その目的に拘泥するあまり、結果的に多くの死者を出しかねないのではないかと思えてしまうのである。
そもそも、火災現場では、炎だけでなく煙による被害も多いはずなのに、あれだけの規模の火災において一酸化炭素中毒による死者が1人もいないというのは、あまりにもリアリティーがなさすぎるのではないか?
ただ、そうは言っても、スケールの大きさは「劇場版」ならではだし、次から次へと畳み掛けてくるような「見せ場」の連続にはグイグイと引き込まれた。
絶体絶命の危機に陥ったその時に、必ず仲間が助けにやって来るというベタな展開にも、思わず胸が熱くなる。
妻か心肺停止状態になった時には、妹を殺してしまったという前科があるだけに、よもや今回もかとハラハラしてしまった。
難しいことを考えずに「娯楽作品」として観るならば、十分に面白いし、楽しめる映画だった。
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