劇場公開日 2023年4月28日

「ドラマを観てしまったが為に」劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 ヒックス伍長さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ドラマを観てしまったが為に

2023年4月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

2021年にTBSで放映された、ドラマ「TOKYO MER 〜走る緊急救命室〜」から2年後を描いた劇場版。
2023年4月16日に放映されたスペシャル版「TOKYO MER 隅田川ミッション」からは1年半後という設定らしい。
TBSのドラマと言えば、少し前に99.9-刑事専門弁護士-の劇場版を観た。
特に派手なアクションやスペクタクルなシチュエーションも無く、ただただドラマの延長だったが、深山という弁護士は特にスーパースター的立ち振る舞いで事件を解決するわけではなく、むしろ性格の悪い変な奴として描かれることに、アイドル松本潤が演じる主人公の人物像としては、かえって好感を持ったし見ごたえもあった。
先日鑑賞した「ちひろさん」における有村架純が、ちひろを演じるというよりは、有村架純自身がちひろのモデルなのではないかと思わせるほど、役者と役柄の境界線が非常にフラットだったこと。これが、同じく役者松本潤に対しても強烈に印象付けられたからだ。今でも弁護士深山という人物像は松本潤そのものだと思えて仕方がない。
さて、そういう意味で本作は劇場版として描くには持ってこいの内容だとは思える。
炎に包まれた航空機やビルから間一髪で人々を救い出す展開は、むしろ本筋の医療ドラマよりもパニック物に重点を置いたジャンル映画的作風としての印象が強い。
もちろんドラマ版では、見映えはともかく、CGや実在の車両を使って救出現場を再現することに作り手の努力が感じられた。特にこのご時世、察するに感染症のリスクなどを考えたら苦労も多かっただろう。
ただ、個人的な欲を言えば、映画版に対抗馬としてYOKOHAMA MERを登場させたのであれば、チーフドクター役の杏以外のメンツにもう少し知名度のある役者を起用して、別の現場での活躍を見せるとか、厚労省との対立構造を、いかにも悪代官的な見た目だけの大臣だけで済ませるのではなく、もう少しリアルに描いて欲しかった。
肝心の医療シーンにおいては、専門用語を駆使し、それなりの緊迫感が伝わって非常に見ごたえがあったと思う。
中条あやみが医師に見えるかどうかは置いといて、ドラマ版を観たうえで今作のヒナ先生の成長した姿はカッコよかったし、菜々緒や賀来賢人は間違いなく頼もしい存在だった。
そう言う意味で、鈴木亮平は紛れもなく喜多見チーフそのものだった。
本作におけるストーリーの推進力は他でもない、鈴木亮平の人柄だと思う。
ドラマでの2ndシーズンに期待しよう。

ヒックス伍長