劇場公開日 2022年7月1日

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「Jewish nose」リコリス・ピザ 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5Jewish nose

2022年11月27日
PCから投稿

haimというガールズトリオをyoutube動画で知っていた。
エロス資産を活用したあざといPV群をいくつか見たことがある。
見た目も楽曲もキャッチーだがハーモニーを削いだWilson Phillipsという感じ。
無駄にエロい姉妹──という印象だった。

その末っ子Alana Haimが、役名もAlanaで出ている。

じぶんがhaimから選ぶならブルネットのDanielleか大柄なEsteを選ぶだろう。
が、ポールトーマスアンダーソンはいちばん小さいアラナを選んだ。

慧眼だった。

アラナ・ハイムに惹かれる映画。
洋化したけれど対称を欠いた浅田真央──みたいな顔立ち。
垢抜けず、歯並み矯正もしておらず、しみそばかすも隠さない。

英語wikiの「Jewish nose」(ユダヤ鼻)にはバーブラ・ストライサンドとアラナ・ハイムの写真がある。
見本になるほど典型的なのだろう。
映画の中でも“very Jewish nose!”と言われていた。

民族をアイデンティファイする鉤鼻。
普通で自然でオーラも見えない。
なのに、なぜかすごくそそる。
なぜかすごく懐かしい。

さすがポールトーマスアンダーソンだった。

もともとアラナ・ハイムを念頭にあて書きされた脚本だそうだ。
レトロなので回顧録のような気がしたが伝聞などを継ぎ合わせたオリジナルストーリーとのこと。
重い、どっしりした映画をつくるポールトーマスアンダーソンだが、リコリス・ピザは軽快でノスタルジック。
語り口もエピカルでなく、ざっくりの羅列になっていた。

──

大きくなりすぎた子役ゲイリーと撮影アシスタントのアラナ。
ふたりが近づいたり離れたりしながら色物から色物へ商魂たくましく泳いでいく──という話。
はっきり言ってかれらが何をしているのかさっぱり解らなかったw。
それでも映画には説得力があった。

監督の盟友で夭逝したフィリップシーモアホフマンの息子がゲイリー役。
ふたりのういういしさがいちばんの見どころだったが、おそらく、この映画でもっともこだわっていたのは、ラブアンドピースな時代性を反映したアラナの緩すぎる服装だったと思う。きょうびB地区が立っているのはhaimのPVか、エロス資産利用のTiktokerくらいなもんだろう。けっきょく監督の発想のスタート地点もhaimのPVだった──のではなかろうか。

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津次郎