「ふたりが走る美しさ」リコリス・ピザ あしたさんの映画レビュー(感想・評価)
ふたりが走る美しさ
完璧。
全てのシーンが雑多で猥雑でそれでいて美しい、映画のショットに求めているもので溢れていた。
主人公ふたりの歩く、走る、その運動でシーンの意味を過不足なく伝えきる演出がキレッキレで本当に眼福だった。
映画史上1番静かだけどハラハラするカーアクションも見事。
「インヒアレントヴァイス」のシャスタとドックが雨の中をハッパを求めてびしょ濡れで走り回る、あの美しいシーンがどんどん出てきてなんか幸せすぎて死ぬんじゃないかと思ったよ。
ただ、この作品、今のまでのポール・トーマス・アンダーソン作と決定的に違うのは、ある媒体(ドラッグだったりセックスだったり過去だってり)を挟んでの関係ではない、生身の人間の関わりを描ききったことではないでしょうか。
そう思うと「ファントム・スレッド」からも当然続いている作家性の更新とも言えるのでは。
もう、満足。今年はこれでいい。
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Oriさんのコメント
2022年7月31日
こんにちは。
“映画史上1番静かだけどハラハラするカーアクション”
すごくしっくり来ました!バックでハンドル切りながら重力で坂道下るって、アラナのドラテク凄い。