「盛り込み過ぎ。消化不良。」連鎖 あやこさんの映画レビュー(感想・評価)
盛り込み過ぎ。消化不良。
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演者の演技は皆素晴らしく、引き込まれた。
また、ドローンを使った撮影も迫力があり、韓国の田舎の素晴らしい風景は、田舎者の自分に郷愁を感じさせてくれた。
しかし、である。
知的障害を持つ青年と虐待(予想だが)を受けた少女が逆境に立ち向かう社会派映画?と思いきや、後半はミステリー要素も。しかも尻切れトンボな回収で幕引き。
この尺なら、的を絞ってもう少し丁寧にまとめられなかったかなぁと。
また、シェルターの所長の思い込みだけで重大事件化は釈然としない。前半では、ソックはウンジを性的対象と見ていないのに、カメラワークがそれを想起させるようなスカートの裾、素足をズームしてたり。後半は、ソックに懇意にしてくれていた村人達の手のひら返しも、余りに不自然。1番親切だった店主が何故か冷酷にソックを突き放し、印象薄い男性が庇っていたり、そしてそこに至る心情描写も希薄。
起訴されて以降は、これでもか!というくらいソックが阻害されるが、そこまで執拗に描く必要があったのかな?と疑問。
最後の30分で、何らかの形で救いがあるかと期待したが、それもなし。司祭の強い後悔と決意もソックとウンジを会わせただけで、その先が見えず、所長もウンジの事故の傷に引っかかりを感じた様子ながら、そこからスルー。
消化不良で終わってしまった。
原題は、石ころ、というらしいが、個人的にはそのままで良かったと思う。ウンジが大切にしていた石。そこにソックの絵を描き、ソックに渡す。それをソックは逆境の中で握りしめていた。
石ころみたいに社会で扱われる弱者が、厳しい環境下でお互いを大切な存在として慈しむ。そんなメタファーだと感じた。
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