配信開始日 2022年1月7日

「見逃すのは勿体無いAmazon発少年の成長期」僕を育ててくれたテンダー・バー 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5見逃すのは勿体無いAmazon発少年の成長期

2022年1月12日
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ピューリッツァー賞受賞のジャーナリストで作家でもあるJ.R.モーリンガーの回顧録は、父親がいない代わりに、故郷のロングアイランドでバーを経営する叔父の愛に支えられ、作家としての道を切り開いていく少年の成長期として心温まるものがある。何かと道に迷った時、冷静で的確な判断を下す叔父と、バーの常連客たちに見守られ、不遇にもめげない主人公の姿は見ていて心地いい。

やや感傷的過ぎるという批評もある。しかし、監督のジョージ・クルーニーは全編に上質なユーモアを散りばめつつ、家を捨ててあちこちをさすらい、時々思い出したように電話をかけてくる無責任な父親と訣別する息子の、真の意味での自立もしっかり描いて、緩急をつけた演出で楽しませる。魅力的な叔父を演じるベン・アフレックは儲け役だが、今、俳優としていい季節にいることが分かる。

現在、Amazonプライムで配信中の本作は、ニコール・キッドマン主演の『愛すべき夫婦の秘密』と共にうっかりすると見逃しがちだと思うので、ここに上げてみた。

清藤秀人