劇場公開日 2023年1月13日

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「タランティーノ監督はお目が高い」モリコーネ 映画が恋した音楽家 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5タランティーノ監督はお目が高い

2023年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

マエストロ・エンニオ・モリコーネを今に生きる
《モーツァルトでありシューベルト・ベートーベンである》
と讃えたタランティーノ監督の鑑識眼はさすがでした。
このドキュメンタリーを最後までみるといかに正しいかがよく分かります。

この映画はモリコーネご本人が語る半生の回想。
彼と仕事をした多くの監督や音楽家70人以上のインタビュー。
映画の名場面に奏でられるモリコーネの音楽。

そして6度ノミネートされて6度目にタランティーノ監督作品
「ヘイトフル・エイト」でアカデミー賞作曲賞を受賞する場面で
涙ぐむモリコーネさんで盛り上がり。
その勢いで南米・アジア・ヨーロッパと回った「ワールド・ツアー」の
更なる成功で大盛り上がり。
(日本にも来ましたがアメリカはスルーですね)
そしてロックアーチストにモリコーネの曲が受け継がれ、
10万人規模の野外ステージで、まるで、ボヘミアン・ラプソデイみたいに
盛り上がって終わる。

この構成はモリコーネを師匠と仰ぎ親友でもあるこの映画の監督
ジュゼッペ・トルナトーレの演出が素晴らしい。

思えば「続夕陽のガンマン」と「荒野の用心棒」位は観ずに
イーストウッドを語るな、と言われて、このマカロニ・ウェスタン2作品を
観ました。若き日の美しいイーストウッドにも惚れ直したけれど、
エンニオ・モリコーネの音楽。
口笛のメロディがなんとも、無国籍の「さすらいのガンマン」に
似合いすぎて、そのシーンと口笛(フラメンコギターと歌声も)が耳について離れない。
マエストロ・モリコーネの映画音楽は、一言で言えば、
《耳について離れず、心にダイレクトに響く》
そして映画を振り返った時にメロディとともに映像が蘇る。

なぜモリコーネさんがモーツァルト・シューベルト・ベートーヴェンと
同等の大天才かと言うと、
①頭の中にスコアがあり、ギターもピアノも作曲に必要としない。
②オーケストラ譜のシンフォニーのスコアを凄いスピードで手書きしている。
(一度に7〜8作品を掛け持ちしたとか)
③一言で映画音楽450曲と言うが、モリコーネさんはテーマ音楽だけでなく
殆どのシーンの曲を書いている点。
④モーツァルト・ベートーヴェンと同じく指揮者としても卓越している点。

世界中の映画ファンからに愛されるマエストロでもアカデミー賞を
取りたかったんですねー。
アカデミー賞って罪だなぁ・・とつくづく思う。
実力と人気があっても、殆ど【時の運】
・・・でも貰えて本当に良かったですね。
白紙の五線譜に向かったマエストロは、
本当に新しい曲が書けるんだろうか?
イメージが湧いて来るだろうか?って、呻吟する。
子供のように自信を失い不安と期待で葛藤する。
目指すは芸術の深淵、誰にも辿り着けない頂き。
時には自信をなくして落ち込み天を仰ぐ。
しかしイメージは天啓のように降りて来る。
その振り幅の大きさこそ天才の証(あかし)かもしれない。

「ミッション」と「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を
今一度再見してみたくなリました。
「ニューシネマパラダイス」のラストシーン。
何組も何組ものカップルのキスシーンが延々と続く。
このシーンの音楽が特に好きです。
もっと長く観ていたいシーンが多かったです。
(インタビューがあまりに大絶賛で、それはもうわかってますから、
喋りより映像と音楽にもっと耽りたかったかな)
「アンタッチャブル」のベビーカーが階段落ちする有名なシーンは
嬉しかった・・・また観直したくなりますね。

CGを使わない映像とパソコンや電子機器で作曲しない
オーケストラの生音が近年の映画より、
ある意味本物で新鮮で魅力的でした。

琥珀糖
りかさんのコメント
2024年7月14日

こんにちは😃
なるほど凄いレビューをありがとうございました😊
モリコーネさんの天才ぶりも理論的に説明していただき、納得ですね。私もというか皆さん、映像をもっと観たいと思われたと思います。知らない作品でも音楽が加わると引き込まれて観入り聞き入ってしまいますね。❤️

りか
AKF-RHOOさんのコメント
2023年11月5日

エンニオ・モリコーネというだけで、この映画作品、よく巨匠を映し出してくれてます。この時代は、映画音楽というトレンドがあって、洋楽チャートにも常連でランクイン、映画共々ヒットしたり、カバーアーティスト曲も多々。映画館で見た世代ではありませんが、当時、映画音楽に始めて拳銃の発射音を使った作曲家と、映画評論家が言われていたのを耳にしました。映画音楽といえばモリコーネ、ニーノ・ロータ、フランシス・レイ、コール・ポーター、ヘンリー・マンシーニ、他が映画に使用される時代でした。今でも、映画と共に音楽が・・脳裏に蘇るほど映画音楽の役割が大きい地位をしめていた時代に思います。
モリコーネさんで、当時好きな映画音楽は、映画「死刑台のメロディ」の 勝利への讃歌(Joan Baez)でした。
レビュー読んでいて、ついつい長くなリました。

AKF-RHOO
LaLaさんのコメント
2023年7月11日

琥珀糖さん こんばんは(^^)/
この作品、見たかったのですが
公開時
コロナ後遺症で・・・
モリコーネ氏の映画音楽が大好きです。
Huluで配信してくれるといいのに
テレビが先かしら・・・
すみません(^^ゞ共感押してしまいました。
レビュー読むだけで 嬉しくなるのです。
ありがとうございました。
タランティーノ監督・・(´▽`)そうだったのですね。
ウエスタン好きそうだもの・・

LaLa
2023年7月8日

モリコーネが作曲とは
こちらの作品を観て初めて知りました。また、見直したいと思います★

美紅
2023年7月8日

レビューは近いうちに
出来たらします❀

美紅
2023年7月8日

観に行きましたが長い上映時間だったにも関わらずあっと言う間に過ぎた
濃い時間でした。

美紅
2023年7月8日

モリコーネの映画について、コメントありがとうございました☆

美紅