「モリコーネが関わった音楽が片っ端から観たくなる。」モリコーネ 映画が恋した音楽家 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
モリコーネが関わった音楽が片っ端から観たくなる。
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エンニオ・モリコーネの映画音楽はもちろん知っているし、モリコーネが関わったイタリア歌謡に好きな曲も多い。しかし、これほど多岐にわたった活動をしていたことや、監督の意見すらもしりぞける映画音楽に対するこだわりと自信についてはこのドキュメンタリーで初めて知った。とにかく3時間、モリコーネの音楽がかかりまくり、本人やコメントを寄せた著名人たちの解説が付いて、ありがたいったらありゃしない。改めて知ったのは、モリコーネの音楽が映画作品を凌駕してしまっていたり、映画の価値を底上げしている例がわんさかあること。途方もない才能を浴びるように感じられる至福の時間だった。
ただ、ドキュメンタリーの体裁としてはよくあるパターンであり、最後にはモリコーネの功績を称えるコメント釣瓶打ちになるのは、正直凡庸な構成ではなかったか。あのパターンに陥ると、もう型通りのエンディングになだれ込むだけだと、いささか退屈してしまう。盟友トルナトーレでないと実現しなかった企画であることに感謝しているのだが、モリコーネの独創性に倣った構造の映画であったらもっとよかったのに。と、わがままを言いつつ、2時間37分にまとめただけでも偉業だった気もする。
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