「変態映画かと思ったら秀逸なサイコ・ミステリー!」女子高生に殺されたい さうすぽー。さんの映画レビュー(感想・評価)
変態映画かと思ったら秀逸なサイコ・ミステリー!
ここ最近のミステリー映画でトップクラスに面白くないか!?
【アルプススタンドのはしの方】という傑作映画を撮った、ピンク映画出身の城定秀夫監督が【帝一の国】でお馴染みの古屋兎丸の同名漫画を映画化した本作。
田中圭演じる東山という教師が、題名通り「女子高生に殺されたい」という願望を達成するために女子高生達を誘導させるよう計画を実行する物語。
学園ものにサイコスリラー要素の入った倒叙ミステリーという、これまでありそうで無かった内容だけに結構面白かったです!
田中圭演じる教師の視点をメインにストーリーが進むにも関わらず、殺されたい対象になる女子高生の候補が4人いてそのうちの相手が序盤でわからないという脚本進行でした。
いわゆる叙述トリックで使われる「信頼出来ない語り手」とも呼べる手法であり、"変態映画"でありながら秀逸なミステリーを観てるようでした。
また、中盤で大島優子演じる元恋人がスクールカウンセラーとして学校に赴任してきますが、この人物がいわゆる「探偵視点」という作中の謎を解き明かす役割を担う我々観客目線的な存在になることで、映画を途中でダレさせない作りがされていました。
また、主人公の教師は"誰か殺されたい願望を持つ"というかなり変わった性癖を持つ人を「オートアサシノフィリア」と作中で言及されていましたが、そういった精神病を今回初めて知りました。
ちなみに、東山先生はこのオートアサシノフィリアを持った理由の一つに「母親から愛されなかった」、「胎児の時にへその緒が首に絡まって死にかけた」という理由付けがされていました。
これは、原作に無いオリジナル要素だそうです!
原作ではきちんとした理由が言及されてないそうで、映画では観客に分かりやすく、かつ変わった性癖を持つ理由として納得いく理由を追加したため、本当に素晴らしい!
(しかも、殺される方法も首をロープで絞め殺されるという計画)
東山先生を演じた田中圭の演技も「良い教師を演じてる一面と変態な一面がしっかり現されていて素晴らしいし、先生のターゲットにされた女子高生達の演技も素晴らしいです。
不満要素をあげるとしたら、
説明の場面がいささか多いと感じます。
ミステリーだからある程度は仕方ないかもしれませんが、1対1で会話してる場面ではもう少し台詞を自然な形で表現した方が映画から気持ちが離れにくかったと思います。
また、劇中で「女子高生に殺されたい」願望を持つ理由に納得はいくものの、対象が"女子高生"である理由が弱かったです。
とは言え、学園ミステリー映画として本当に面白かったのでかなり満足です!
それにしても、年に2作品以上が当たり前という凄まじく速いペースで撮り続けるのにこれだけ面白い作品を作れる城定監督は何者ですか!?
人間辞めてるんですかね?(笑)