劇場公開日 2022年4月1日

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「臍の緒の記憶」女子高生に殺されたい 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5臍の緒の記憶

2022年4月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

萌える

「11月8日文化祭当日、僕はキャサリンに殺される。」
歴史教師として赴任した東山春人が立てた自分殺害計画。
9年間綿密に立てたこの計画は完全犯罪でなくてはならない。
静かで優しい真帆、真帆の親友で内気なあおい、演劇部で明るい京子、柔道部でクールな愛佳。
登場人物は揃った。
春人にとっての人生最期で最高の舞台が始まる。

タイトルと田中圭だけなら絶対にスルーしていたであろう作品。
城定監督は本当に裏切らない。口コミを信じて良かった。
タイトルだけだとストーリー展開やジャンルを予想しづらいけど、蓋を開けるとただの変態教師モノでないことが分かる。
春人の言う“キャサリン”とは一体誰なのか。
前半は4人の少女に1人ずつフォーカスし、ミスリードを混えながらキャサリンの正体に迫っていく。
「キャサリンはこの教室にいる」、「キャサリンは生きている」と。
不穏な日常は元カノの五月の登場により新たな路線へ舵を切った。
「お前何企んでんだ?」
あおいの予言や周りの疑いの目が妙な緊迫感を生み、鑑賞側として春人を肯定したい気持ちとこの計画を止めたい気持ちが互いにせめぎ合う。
オートアサシノフォリアという言葉は初めて聞いたが、田中圭の演じた分からないでもないこの性癖にはどこか惹かれる美しさがあった。

キャスティングが素晴らしすぎた。
どの作品でも最良解を出してくる河合優実の眼鏡っ子は勿論のこと、南沙良も真帆のイメージにピッタリだった。
田中圭と大島優子は正直あまり得意では無いが、今作の2人はとても良くて好き。
登場人物を多く登場させすぎず、春人の願望にテーマを絞っていた点も観やすくて良かった。
映像や花びらの演出など、仄かに香るB級臭に体が疼く。
城定監督がどんどん商業映画デビューしていて嬉しい。
今年公開の『ビリーバーズ』と『よだかの片想い』も楽しみだ。

唐揚げ