「5万円、安かったよね!びっくりするくらいにね!!」追想ジャーニー hiiragi428さんの映画レビュー(感想・評価)
5万円、安かったよね!びっくりするくらいにね!!
よい作品!
とても気に入った。
人生には、いくつもの分岐点がある。
48年も生きていれば「過去のあのときに戻ってやり直したい」という場面を誰もが複数持っているだろう。
この映画の設定で面白いのは、主人公が「退行睡眠」によって過去のいくつかのポイントに戻り、当時の姿のままの関係者と触れ合うにあたって、48歳の自分ではなく18歳の自分に代役を努めさせるところだ。
任せきりではなく、二人三脚で過去から順におさらいをしていく。
そして48歳は自分が過去に犯した選択ミスであるのに、18歳に責任があるかのように説教臭く迫る。
ところが、33歳になった幼なじみが登場するあたりから力関係に変化が生じ、実の娘が登場したところで完全に立場が逆転する。
48歳は、実年齢に近いポイントになればなるほど、情けないほどに自分の弱さをさらけ出す。
それを見た18歳は息を吹き返したかのように、今度は48歳を後押しする存在となるわけだ。
そして、それぞれにラストシーンを迎える。
18歳は冒頭のシーンと比べて驚くほどに豹変して魅力的な少年となり、48歳は長年のトラウマであった存在から思いがけない激励を受ける。
その両方に大きく関わった存在、それは……
現実の人生では過去に戻ってやり直したり、過去の自分に言って聞かせて自分とは違う人生を歩ませたりすることはできない。
しかしおそらく、ほとんど全ての人々が望むことなのではないだろうか。
その望みを観客に代わって主人公が体験してくれる、そんな話。
話の大部分を占める「退行睡眠」シーンのチープさも、いい味を出していて心に残る。
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