「不器用ながらにスピンオフとしての補完が発揮されている」ある夜、彼女は明け方を想う たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
不器用ながらにスピンオフとしての補完が発揮されている
原作からも本編からも透けることのなかった、彼女の想い。怒りにも似た感情が湧いたりもした。でも結局、ハイボールと一緒に想い出になって流し込むのかもな…。
彼女が結婚するまで、それからとこれから。元々は原案としてカツセマサヒコが温めていたものを松本花奈監督がスピンオフとして制作。ちなみに、本編を撮り終わってから動き出したらしい。ちゃんと本作も語りたくなる連動が見事になされていて、器用とまではいかないながらに、残る映画にはなっていると思う。
追加キャストに若葉竜也と小野花梨を持ってくるのはなかなかニクい。だって下北沢の男と高円寺の女だよ…って言いたくなる。若者像を煩いくらい透かしてくるので、してやられたって感じがする。小野花梨は井上祐貴までいかないけど器にはなっていて、多少なりに彼女を救っていたんじゃないか、なんて考える。
彼女の犯した行為は間違いなく罪だし、その孤独はマジックアワーとして溶ける劇薬に決まっている。だからこそ、彼女の身勝手な部分は快く受け入れられるものではない。でも、何だかソレも1つ性格として消化させようとするからズルい。卑怯だ。「彼女」が夜に想っているなら、「僕」の明け方は彼女より前に進んでいる。どうか、そうであってほしいと願う。
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