荒れ野のレビュー・感想・評価
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居るようで居ない怪物
戦時中、厳格な父からの教えで家の周囲の結界から外に出てはならないという閉鎖的な環境で暮らす一家の物語。戦時中というのもポイントの様で、戦争が生んだ心の傷を具現化して描いたような作品だ。アメリカの都市伝説キャラ、「スレンダーマン」や「サイレンヘッド」を思わせるその怪物は、段々と近づいてくるが、ハッキリとした姿を現さず、少年の心の支えでもあった優しい母を豹変させていく。明かされることのない「それ」に翻弄されていく描写は中々怖かったが、狂気を帯びた母がショットガンを空中に向ってぶっ放つ等の似たようなシーンが多く、恐怖が持続しないままだったのは大きなマイナスポイントだった。緩急をあまり付けずに静かに忍び寄る不気味さは文句の付け所が無いが、やや単調過ぎたのが残念だった。
A-24が製作した、全編モノクロの「ライトハウス」と似たような感覚もあり、ワンシチュエーションの中で現れる人間の恐怖や狂気という面でかなり近い物を感じた。映像的には綺麗な作品であり、これもモノクロにするとまた味のある作品になるのではないだろうか。
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化け物は外にいるのか、それとも自分の中にいるのか
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