「抑制の効いた多くの人に見てもらいたい誠実な映画。」生きる LIVING M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
抑制の効いた多くの人に見てもらいたい誠実な映画。
黒澤明監督の「生きる」は20代の頃に見た。もちろん封切り時ではないが、公務員として働き始めた時でいわゆるお役所仕事がユーモラスに描かれ、そこに突然激変する課長が新たな事業に取り組むというとても印象に残った映画であった。
自分もこうならねばならぬと思ったものだ。
今回の映画は、舞台をイギリスに移し時代もほぼ同じ1950年代前半である。お役所仕事的な日本の地方公務員とは違って身なりはとてもキチンとしていて言葉遣いもよく皆さん紳士であった。そのような状況でどのように黒澤映画をリメイクするのかと思いながら見ていた。大枠のストーリーは同じであったと思う。
個人的には日本語での微妙な言葉のやり取りや志村喬の表情などが、ユーモラスなシーンなどもあるのだが、英語の映画であることもあって印象のインパクトが違った。それは多分に言葉の違いなのであるが。
アメリカ人の友人と行ったが、彼も感動してくれて涙が出るシーンもいろいろあったといいう。特にラストシーンの意味するところに印象が残ったようだ。また年齢的にどう終末を迎えるかも考えさせられると。自分はその日をしっかり生きていくことを心掛けていると。
私も単純に「感動した!」というのではなく、自分に置き換えてどう生きていき、どう終末を迎えていくのか。感情を抑え、地味ではあるがいい映画であった。多くの働く人たち、高齢者だけでなく若い人たちにも見てもらいたい。
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