すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
全1288件中、1261~1280件目を表示
丁寧で流れの良い新海作品!
転換点、ポイントがとてもわかりやすいお手本のような綺麗な映画。
持って来たい流れがわかりやすい反面、見る人を選ぶエグいトラウマ発掘作品。
テンポがとても良いので個人的には、長くても楽しめました(*'▽'*)
新海誠監督によるロードムービー
疎外感だけが残った
私にとっては 2016 年の「君の名は。」、2019 年の「天気の子」に続く3作目の新海作品である。結論から言えば、「君の名は。」を 100 点とすると、「天気の子」は 60 点、今作もまた 60 点で、かなり期待外れというのが率直な感想である。
まず、この世界のルールが最後まで観客に明かされないのが何より不満で、見終わった後にも疎外感だけが残された。何もかも謎だらけであり、その答えは見終わっても謎のままなのである。まるで犯人を明かさない推理ドラマのようであり、このため、終始観客は当事者意識が持てず、ただ画面の中で繰り広げられることを傍観させられるだけである。
魔物を封じる方法が戸を閉めて鍵をかければいいというだけではないらしいし、そもそも異世界への出入り口が魔物が出現した後でなければ分からず、予防できないのでは毎回ギリギリの対処が求められることになる。草太の姿を変えられた理由も方法も不明であり、そもそも術を解いて貰わなければ元に戻れないのであれば、上からの命令口調などはあり得ず、ひたすら低頭してお願いするしかないはずである。
魔物の姿も既視感があり、「もののけ姫」のでいだらぼっちのイメージが終始抜けなかった。魔物に飛びかかる巨大化した猫は犬神のようであったし、姿を変えられた主要人物というのは「千と千尋」の坊のイメージであり、終始猫が付きまとうというのは「魔女の宅急便」を想起させた。何だか何事にもこうした既視感がまとわりつくのを持て余してしまった。鈴芽が草太に惹かれるのも「ミステリアスなイケメン」という以外の理由が示されておらず、まるで「生きろ、お前は美しい」という差別意識丸出しのアシタカの台詞を彷彿とさせた。
世界のルールが不明なままでは、主人公の行動が良いのか悪いのかも判断できないということであり、全てが事後評価に頼らざるを得ないことになる。また、この監督は、目的を達成するためには多少の違法行為は許されると思っている節があり、「君の名は。」の変電所爆破、「天気の子」の実銃の発砲など、非常に気になっている。これは 1970 年代の共産主義思想を匂わせるもので、嫌な思いをさせられる。今作では、留め石を抜いてしまったら巨大地震が起きて 100 万人規模の犠牲者が出てしまう「かも知れない」のに、草太を救うためだけに抜こうとするのは、草太が救えるなら 100 万人が死んでも構わないという意思表示に他ならなかった。非常に不愉快な行動である。
声優は何と言ってもヒロインが素晴らしく、原菜乃華は容姿と同じくらい声も美女オーラが全開であった。草太役の北村北斗はもう少し切羽詰まった時の緊張感が感じられれば良かったと思う。
「君の名は。」ではビル街に静かに降る雪など、ハッとさせられるシーンが多かったのだが、見る側の馴れのせいであろうか、息を飲むというところまでは行かなかった気がする。特に星空と天の川はアニメにするには難易度が高過ぎると思った。人間側のドラマも深いものを含んでいただけに、疎外感のせいで十分入り込めなかったのは、つくづく残念としか言いようがないものであった。
(映像5+脚本1+役者4+音楽2+演出3)×4= 60 点。
新海誠作品は必ず観るとなっています!
期待に十分応えられたと思う
パンドラの箱を開けてしまったら、あなたはどうしますか?
2016年「君の名は。」は、250億円。
2019年「天気の子」は、100億円の興行成績でした。
知的好奇心から「パンドラの箱を開けてしまったら、あなたはどうしますか?」
きっと多くの方は、「スルーする」「無かった事とする」のでは?
でも、すずめは、責任感と正義感から、真正面から向かい合います。
新海誠作品は、過去もそうですが、序盤は「なんじゃ、こりゃ?」と
感じさせますが、終盤になると、ちゃんと筋が通ったストーリーに変化します。
ただ、車中でのBGMは必要なかったと感じた。
ちょっと、安っぽくなってしまったのが残念。
私の母は、87歳で10年前に他界しました。
私も高齢者となり、久しぶりに、会って話したくなりました。。。
Michi
あの日の出来事を過去のこととして忘れないために観るべき名作
かなり心を抉られる
これは問題作
それぞれの土地、それぞれの世代でそれぞれのトラウマが掘り起こされる。
でも、新海誠の伝えたいことがヒシヒシと伝わってきた。
俺はメッセージ性の高いこの作品は好きです。
現実に目を背けず批判も覚悟でこの作品を作った新海誠の勇気を讃えたい
▼▼▼以外、ネタバレ
、
、
、
神戸、東京、福島と過去の大震災の被災地を回って旅してるのもそうなんだけど、、なぜに宮崎?て。
宮崎から四国を通って新幹線で東海道を通って東京って、南海トラフ地震で予想されてる被災範囲なんですよね。
過去の震災だけでなく未来の災害も予見させて他人事ではないと感じさせる脚本がすごい
安定の新海誠作品
マルチバースでは無かった。
公開前のキャッチフレーズで「全ての世界と繋がってる〜」とかなんとかがあったから、新海誠作品のいずれかとクロスオーバー的な展開があると思ったけどそんな事は無かったです。
むしろ瀧君も帆高も出なかった。神木隆之介さんは良い歌声だったけど。
「君の名は。」や「天気の子」のように【災害】を作品内の面白さに変えれるのはやはり新海誠しかいないと思う。
下手すれば「不謹慎」とか五月蝿い連中が現れるから。
すずめの雪の中の描写で北海道のどこかと思ってたけど、東京から北上して、日記の日付が3/11で止まったのは少しゾクッとした。"アレ"を見たまんま絵に残すために黒く塗り潰す人を聞いた事があるから。
「いってきます」を最期に消えてしまった人達にお悔やみを。
「ただいま」と言える、「おかえり」と言われる現在に感謝を。
以下鑑賞ポイント
・揺れに気づかないバスケ部
・すずめの部屋に「赤毛のアン」
・インフルエンサーのダイジン
・入浴シーンはカット
・マクドナルドをこぼさない全自動AI搭載椅子
・ポテトサラダ+焼きうどん
・旅費がエグそうなすずめさん
・ミミズの上なら飛べる
・萎んだダイジン
・思ったよりデカいウダイジン
・「ルージュの伝言 神木隆之介ver」
・ショック療法のオープンカー
・黒塗りの3月11日
・???「おい その先は地獄だぞ」
・キンキンに冷えたソウタさん
・過去と未来の交錯
・ガムテープ補強 お別れのハグ
・再会の「おかえり」
今回は人間と椅子だったから、目に見えた恋愛描写が少なめだった印象。
次回はガッツリ恋愛物を見てみたいかも。もちろん「秒速〜」のラストみたいにならないような笑
鑑賞前後の感じ方(鑑賞前含む)
【鑑賞後】
なんだろ。率直にあんまり面白く無かった。
絵が綺麗で迫力あるバケモノが出てきて、やっつける。
自然現象とバケモノを関連付ける。鎮めるために出てくる扉を締める。それだけ。
大きな驚きも無かった。
そこで共に旅するヒロインとイスの浅い人間関係。なのに命を顧みないヒロイン。
うーん、、、乗り切れない。
タネと仕掛けも途中でバレバレ。あ、そういう事ね。けど結局そうなるよね。そうなるきっかけ簡単すぎない?!
もう一捻り、もう一つ驚きの仕掛けがあって良いのでは?という物足りなさが残った。
最後の台詞→タイトルドーン!はやっぱりね。でも、そう思われるだろうと捻くれたね。
【鑑賞前】
まずあまり期待してない。というのは天気の子が駄作と感じたから。君の名は。の劣化コピーを見せられた気分で今回も同じ事になると予想しているから。
ただし、ハマれば素晴らしい作品になるとも感じている。
やりそうな事
1. RADWIMPSの軽快な音楽に乗せてストーリーの短縮又はダレそうな諸々の説明を簡潔に
2.異常にこだわって何か1つについて映像表現を突き詰める。天気の子では雨。
3.あれから○年後からのラストシーン。
4.肩に力が入りまくった最後の台詞、からのタイトルドーン→エンドロール。
さあどこまで当たるかな?
3と4がハマらないと悲惨な事になりかねない。名作か駄作か?以上、プレビュー。
災いとは?考えさせられる作品(早朝、IMAX版にて観賞)
災いを織り交ぜ、それに独特な和風な
幻想的なストーリーを織り交ぜ作り上げた最高の作品!
◯◯師という架空の人物を作り出すことで災いというものの怖さを知らせてくれる、
素晴らしく、途中クスッと笑える場面も(とうとつに懐かしい曲のオンパレード)もあり、手助けする人たちもなかなかに癖が多いひとたちですが、優しい。主人公もけんきに気丈に振る舞っているところも素晴らしい。ファンタジー作品と言ってもいいと
おもわれ。震災の記憶を思い出させてくれる作品でもある。(震災警報がなりますが映画的演出ですので携帯を見ないように。)
演出、ストーリー、作り方、声優さんと俳優さん、全てにおいてパーフェクト!
今回、IMAX版で見ましたが、是非ともIMAX版でみて頂きたい作品。是非とも劇場に足を運んで頂きたいです。
土地を悼む物語。そしてダイジンお前…
鈴芽が環さんに言われたように、鈴芽に「うちの子になる?」と言われ、鈴芽の役に立とうとしたダイジンが最後の最後まで選ばれないのが切ない…(そして環さんが忘れていたのと同様に、鈴芽も自分が言ったことを忘れてるのがまた…)
過去の作品は映像や音楽が美しく綺麗という印象だけど、今作は非常に力強く、見応えのある作品となっていました。声優陣の演技も〇
小説も読みましたが、アクションシーンの多い今作は映像の方がおもしろい!
大筋の部分以外だと
芹澤「ここってこんなに綺麗だったんだな」
鈴芽「これが綺麗…?」
という被災者と非被災者の対比が印象的でした。
(芹澤がこんなにネットで話題になるとは思わなかったなぁ笑)
強い覚悟と意志を浴びて改めて向き合うあの日
まず最初にこの作品を世に送り出す決断をした製作者全員に敬意を払いたいです
きっと並大抵の覚悟や意志では完成させられなかった事と思います
東日本大地震を扱う重いテーマでしたが、適度に挟まるコミカルな描写と圧倒的なファンタジー描写ですんなりと観れる前向きな作品です
何度もクライマックスのような圧倒される展開が訪れ、その度に心が震えました
表向きは日本全国を駆け巡るロードムービー、裏のテーマは忘れられた土地にあった生活、感情などに想いを馳せ、悼む所にあると感じます
廃墟とされた土地の最後はきっと悲しいものが多いが、そこでは確かに様々なドラマを多くの人々が紡いでいたはず
美しく、活気あった景色が無かった事にはならない
そんな当たり前の事をこの作品に触れるまで私は忘れていた気がする
すずめは幼い頃に親を、街を亡くし、楽しかった思い出もあの日から燃え続ける悲しみに覆われ、いつしか忘れる事で前を向いて生きてきたのだろう
故郷というものは安心して帰れる場所であるはずだが、彼女にとってそうではなく、きっと同じような思いをしている方も大勢いる
すずめは日本全国を周り、様々な土地に、人に触れ、何も残っていない故郷で、あの日の感情と向き合う
かつて絶望や悲しみの感情を引き摺ったまま去った土地で、今度は澄み切った空のような晴れた気持ちでただ前向きに生きる強さと共に帰路につく
そんなすずめの姿に私はいつの間にか生きる事が怖くなくなっていました
生きるも死ぬも運でしかない
それでも生きていたいと強く思えるような作品でした
ロードムービー的な良さがある
更に進化した新海作品
試写会で鑑賞しました。
"新海誠監督集大成にして最高傑作"という宣伝は、大袈裟ではなかったです。ストーリーは終始隙がなく面白いし、映像美は更に進化しているし、音楽も過去作とは全然別物で、非常に満足感のある内容でした。
『君の名は。』ではエンタメ性が印象的で『天気の子』ではメッセージ性が印象的でしたが、今作は両方しっかりしていたのでどの作品のファンも楽しめると思います。トラウマを抱えた方々には辛い描写もありますが、どうか最後まで見届けてほしいです。
戸締まりをして、一つ区切りをつけ、それによって前を向く。"終わらせること"と"進むこと"を織り交ぜた傑作です。一度観たことで公開日が更に待ち遠しくなりました。
どんな作品でもストーリーの好き嫌いに個人差はあるとしても、でもあの映像美やカメラワークを堪能するためだけでも映画館で観る価値は絶対にありますよ。
私は『星を追う子ども』を観て新海誠ファンになりましたが、新作が公開されるたびに「この時代に生まれてきて良かった」と思わされてしまいます。これからもずっと追い続けます。大好きです。(愛の告白)
作品の戸締まりはもう一押し
〈レビューの前に〉
ホームページの方でも記載されてありますが、改めて。この映画には本来のものとは異なるものですが、緊急地震速報の警報音が鳴ります。後半になるにつれて警報音の頻度と長さは増していきます。そして、ホームページには記載されていませんが、東日本大震災のシーンもあります。リアルと言うよりも、ノンフィクションの描写ですので、ご鑑賞の際には十分お気をつけください。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
新海誠監督最新作「すずめの戸締まり」。
今回もまた、試写会に参加させていただきました。TOHOシネマズさん、本当にありがとうございます!本作に関しての思いは、どんなものを見せてくれるんだろうという期待と予告から感じるちょっとした不安が入り交じっている状態でした。ここは期待せずに見よう思い、劇場に足を運んだわけですが、そんな不安は要らなかったようです。普通に面白かった!
公開前ですので、ネタバレ無しでレビューしていきますが、多少内容に触れる部分がありますので、完全初見でご覧になりたい方はお控えください。
戸締まり?災い?後戸?かなりファンタジーなストーリーを違和感無く見せてくれる凄さ。冒頭の掴みは完璧だったし、難なく世界観に入り込める。映画館という空間を包み込むような音響、そして鳥肌モノの演出の数々が、新海誠ワールドに観客を引き込んでくれます。気付いたら自分がとんでもなく夢中になっていて、ハッと我に返った時に驚かされる。作品への没入度合いが半端じゃないのです。
「君の名は。」の時よりも一つ一つの描写が洗練されていて、絵の美しさも増している。ファンタジーなストーリーにリアリティのあるイラスト。本作は災いをもたらす扉を締めるために、全国各地を旅するロードムービーでもあるのだけど、そのロードムービーとしての質がめちゃくちゃ高いのです。現地の人の温かさに癒されることはもちろんのこと、ご飯や建造物、街並みはどれもとても綺麗で、アニメーションの進化に衝撃を受けるばかりです。
そんな旅の中で色んな人と関わりを持ち、様々な面で成長していく主人公・すずめ。どんなことにも臆することなく立ち向かい、たくさんの強さを身につけていく彼女ですが、成長を遂げる度にこのすずめという人物の魅力が溢れ、愛おしくなっていきます。
こんな魅力的なキャラクターになったのは、もちろん監督の丁寧な人物描写のおかげでもあるのですが、すずめに声を吹き込んだ原菜乃華の声優力が大きいと思いました。初挑戦とは思えない、自信のある力強い声色ですずめというキャラを繊細に演じており、一気に彼女の虜に。声優本業ではないですが、これからも声優として活躍できるくらい、素晴らしい演技力でした!颯太役の松村北斗も非常に良かった!あと、人間の時よりも椅子になった時の颯太の方が好き笑 ぎこちなさが笑えました
そして、本作で最も驚かされたのが、RADWIMPSの偉大さ。ホント、RADWIMPSあっての新海誠作品と言っても過言ではありません笑 ここまで作品の雰囲気に合わせた楽曲を制作出来るのは、彼らしかいない。面白い!いい作品だ!と思えたのは、間違いなくRADのおかげ。RADファンの皆さん、鑑賞必須です。
ここまでべた褒めなのに、なぜ星5にならなかったのか。それはズバリ、後半の謎の失速感です。前半はテンポもよく、スピーディかつ丁寧に物語を描いていたのですが、後半からはそれらが失われます。物語の展開としてテンポが落ちるのは致し方ないとしても、一気に描きが雑になるのにはガッカリ。ラスト際には盛り返して面白くなるのですが、展開が飛び飛びで前半の丁寧さは損なわれたまま、幕を閉じてしまいます。
無駄に求めてない笑いに走ったり、登場人物が放つ言葉に違和感を感じたり、壮大なストーリーへの落とし込みが足りなかったりと、様々な問題点を抱えたまま、エンドロールを迎えてしまったのが、星5にならなかった理由だと思います。そんな思いになったのは、前半がとても素晴らしいものだったから。非常に惜しい作品でした。
トータルで見ればとても面白い映画です。
「君の名は。」のようにストーリーのパンチが弱いように思えますが、個人的にはかなり楽しめました。作品のインパクトは高く、これからずっと忘れることの出来ない映画のひとつとなりそうです。
長く話してしまいましたがまとめると、素晴らしい作画と演出、そして初挑戦とは思えない2人の声優力、何よりRADWIMPSがもたらす力は偉大なんだと、驚き続きの前半。しかし、後半の失速感は酷く、描き不足が否めない。後戸の戸締まりは出来たけれど、作品の戸締まりはもうひと押し映画。
でも、見て損のない作品かと思います。比べる訳ではありませんが、個人的には「君の名は。」よりも好きでした!公開は11月11日です。ぜひ、大スクリーンでご覧下さい!
救いとは、悼むとは。
見終わった後、「すずめの戸締まり」「行ってきます」この言葉への印象が全く変わってしまいました。夢に導かれて始まった彼女の旅は、何だったのか。
「草太に恋をする」展開に、作品のメッセージが集約されていきます。これをきっかけとした出会いや試練から過去の出来事を受け入れ、生きることと向き合っていく。震災を経験した彼女が、特別な力によってではなくあくまでふつうに生きてきた震災後の12年間を通じて救われていく。明確に、東日本大震災で被災した人を悼む物語です。
空虚な毎日の中にいた鈴芽が自らの手で未来を切り開き、切実な思いで彼を救うべく危険を厭わず立ち向かう。誰かを好きになることをもって、生きる豊かさに触れていたように思いました。
前半は草太との絆が生まれる戸締まりの旅、中盤では大きな事件を経て物語の全貌が明らかになる。後半は、過去と向き合い草太を助け出す旅。共にする人が変わりながら、九州から東京へ、そして東北へと北上していくロードムービー。複数の物語と、ロードムービーという構造を交差させている点も新海監督ならではの演出の面白さでした。
本作を楽しめた大きな理由は、登場人物への好感と解像度の高さです。主人公鈴芽の、真っ直ぐで、嫌味がなくどうしようもなく切実な様、それを演技力で昇華した原菜乃華さん。独創的な閉じ師という設定、人間味のない美しい青年が椅子になった途端表情を豊かにしていった草太。不意に発するさりげない台詞の柔らかくて優しい声を聞くと、鈴芽が焦がれる切実さに納得してしまいます。そして物語後半に違ったリズムをもたらす深津絵里さんの環と神木さんの芹澤の存在感。お芝居の見応えにはしあわせすら感じました。主役を引き立てる存在ではなく物語の一部として息づいている描き方は、近年作品とは異なる点です。
ダイジンがヒールではなかった裏切りも良いエッセンスでした。同時に、あくまで私たちが戦ってきたのは、これからも戦わなければならないのは自然という不可逆的なものだと認識させられる。そして東京での大震災の前兆描写。やがてそれは解き放たれてしまうのだという暗示。そんな日常をどう生きていくべきなのか、そして起きてしまったものに対する救いとは、悼むこととは。そう向き合うきっかけをくれる。
集大成という言葉にも納得です。君の名は。、天気の子をつくってきたからこそ“辿り着いた”メッセージ。全く別の作品に3部作の側面を感じられる異次元性も奇跡のようで必然だったのかもしれない。閉じ師という斬新な設定によって悼むことを表現し、多くの人が改めて心を向ける。新海監督の品性や作家性、この題材を誠実に描いてくださったことに心から敬意を表したいです。
地震にトラウマのある人は観ない方が、、、
ずっとずっと楽しみにしていた
"すずめの戸締まり"を昨日、一足先に【先行上映】で観に行った。
"君の名は。,天気の子"は上映されてから
映画館で10回は観に行くほど大好きだったし
初回限定版のBlu-rayを購入するぐらい
新海さんの作品は大好きで、いまも勇気を貰っている。
付属のメイキング映像だって何度観たことか。
森七菜ちゃん × 太賀くんの
テファニー×ゼクシィの最高のCM等を手掛けている
プロデューサー 川村元気さん 、
"あの花"のキャラクターデザインをしてる田中さん、
他にも最高の制作陣が新海さんのチームに加わり
君の名は。天気の子より前の、
前作達より一層、"新海誠"の作品は輝いて見えていた。
はずだった。
#すずめの戸締まり
先行上映を観にいってからずっとモヤモヤが消えない。
承認欲求を満たすためなのか自分でもわからないが
このモヤモヤをどうにか解消しようと
いまこのレビューを書いてるのは確かかもしれない。
まずはじめに
絵は相変わらず本当に綺麗だった。
君の名は。天気の子 よりも研ぎ澄まされていて
まるで実写なんじゃないかと
思わされるぐらいのシーンがいくつも存在した。
カメラのフォーカスを合わせるシーン、
最初ボケてピントが合う。みたいな、、。
あれをこんなにも美しく
アニメーションでやってしまうのか、と。
音響もIMAXレーザーという
劇場で観たせいもあるかもしれないが
明らかに洗練されていた気はする。
(※極めて耳が良い方でも、絶対音感があるわけでもない)
RADWIMPS の楽曲は
前作の"君の名は。,天気の子"より圧倒的に今作は少なく
これは本当に好みの問題だと思うし
かつ前作からのマンネリ化を
防ぐためのものだったんじゃないかな。と個人的に思う。
声優の話をすると
正直、私は何も違和感を感じなく観れたのが本音で
芹澤くんが思った以上に瀧くんの声で
"神木くん頑張ってるなぁ,1人の人間だから仕方ないなぁ"
なんて思いながら観ていたぐらい。
レッドアイズに出演していたジャニーズの松村くんも
真犯人フラグに出演していた女子高生の原さんの声も
個人的には素晴らしかった。賛否両論あるかもしれないけど。
【ここからは少しネタバレも含まれます】
で、ここからがモヤモヤ部分の脚本。
まずはじめに、私は先行上映に当選して、
大切な人と2人で #すずめの戸締まり を観に行った。
その大切な人は"東北大震災"で家を失い、
関西に、引越しをせざるをえなかった人 で、
その人は上映後、横でたくさん泣いていた。
それは明らかにこの作品に対する綺麗な涙ではなかった。
(※何と表現すれば良いのかわからないのですが本当に悲しい顔を、涙を流していました)
新海さんの作品を語るぐらい(素人だが)
大好きな私が"先行上映当選したよーっ!"なんて言って
一緒に喜んでくれた大切な人。
正直、誘ったことを本当に、本当に後悔しました。
【地震描写、緊急地震速報等の描写があります】
とのツイートはあったし大切な人にも共有していたけど、
#すずめの戸締まり が
まさか実際に、現実であった1万人以上が亡くなった
3.11に触れてくる作品だとは思いもしなかった。
"オチであり今作テーマ"だったからこそ
映画で無料配布されているパンフレットにも
【東北大震災を扱っています】なんて文字はなかったし
(※明確に記載しないと
PTSDを起こす可能性がある映像にも関わらず)
(※今でさえみんながネタバレでツイートしてくれているが)
先行上映を観たお客さんが
君の名は。,天気の子,すずめの戸締まり
"災害三部作"なんてTwitterで呟いていたけれど
圧倒的に前作達と違うのは
災害は災害でも"実際にあった災害"
ノーフィクションなのか、
それともSF,フィクションなのか。 という点で、
(隕石が降って何百人が亡くなったり雨で東京が沈んだり)
私たちイチ人間が、イチ監督が
あの問題に触れていいものかと。思ってしまった。
(あとするならするで明確に注意喚起すべき)
「海外に向けて、地震大国の日本をテーマに」
「震災を忘却、忘れないために、そして未来に」
購入したすずめの戸締まり のパンフレットを、
新海誠本 を、何度も何度も読み理解しようとしたけど、。
海外にフォーカスを置くとするなら
日本列島を旅する描写で"鳥居,京都,奈良"他にもいっぱい
日本の魅力を描ける部分はあったんじゃないか、
(中央線は相変わらずマストで描いているのにも関わらず)
と思ってしまうし、
震災を忘れないためにも、というなら
震災で大切な何かを失った人に、トラウマを抱えている人に
上映する前にこの作品をちゃんと
観せたのかなと思ってしまったのが本音で、
震災を忘れないためにも、と綺麗事を並べて
YouTuberがこの作品を収益化すれば
叩かれる、非難される この現代に
この作品はあまりにも、重すぎた気がする。
10年以上経ったいまでも
安易に触れていいはずがない問題が
この映画には描かれていた。
ダイジンが言った"今からたくさん人が死ぬ"
被災者の人はこのセリフをどんな感情で聞いていたのだろう。
映画を観終えて、号泣して怯える彼女に
"すずめのようにこれから未来、乗り越えていこう"なんて
当時、傍観者だった私が言えるわけもなく。
言っていいわけもなく。何も言えない自分がそこにはいた。
この映画を"良い映画だ"と褒め称える人は
当時、傍観者だった人がほとんどなのでしょう。
(少なからず震災で身内を亡くしたり、家を失っていない人)
私ももし彼女がいなければそう評価していたのだと思います。
長々とレビュー書きましたが言えることは一つだけ、
私は新海誠さんの作品が大好きです。
ただ今作は"東北大震災"と
明確にもっと色々な所に記載すべきでした。
そして東北大震災をテーマにする以上は
万人ではなく被災者達に
寄り添う言葉選びが大切だった気がします。
"今からたくさん人が死ぬ"なんて言葉を
選ぶべきではなかった、絶対に。
私にとって 私の彼女が流した涙がすべて でした。
全1288件中、1261~1280件目を表示












