すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
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傑作神道テイストファンタジーロードムービー
観て良かったです。
新海作品なので安定の映像美、話の展開もテンポよくストーリーが進むに連れ次第に重めの話になっていきますが芹沢君や叔母さんとの絡みでちょいちょいクスッと笑わせてくれたので見ててそれほどシンドくありませんでした。
ダイジンやサダイジンのところをもうちょっと掘り下げて貰えたらよかったかな?とも思いましたがまーそこはパンフなり考察で補うとして概ね満足でした。
飽きずに入り込めた
新海3部作の確立。これで彼は世界のすべてを描いた事になる。
余り期待していなかった。事実いつもより雑なスタートのように感じた。何よりも最大の雑さは方言指導である。九州弁(設定は宮崎なのであろうか?)のイントネーションがおよそ九州の人間が聞いたら違和感以外何物でもない。関西弁訛りの博多方言のようなしゃべりでかなり鼻白む。猫や椅子のキャラもいかがなものか・・などと思っているうちに物語はロードムービーの様相を呈しながら壮大な天地(天土)の物語へと変貌する。それにしても移動描写がメチャクチャである。リアリティを出そうとしてるのかしてないのか・・宮崎から夜通し船に乗れば神戸についてしまう。なのに愛媛とは如何なものか???まぁそれはそうと、🎦君の名はでは時空を、🎦天気の子では海と空の『気』を、そして今回はあまつちの御神火や「なゐふる」を描いた。新海監督の特徴は彼の描く世界にある。宮崎駿の描く神代の世界とは異なり、物の怪ではなく自然現象にそのフォーカスが当たっている点が極めて特徴的である。古くは南方熊楠の寺田寅彦の描いた世界に新海が、折口信夫や宮沢賢治の世界に宮崎が重なってくるのである。ここで面白い事に気が付いた・・・南方熊楠(1867-1941)、寺田寅彦(1878-1935)、折口信夫(1887-1953)、宮沢賢治(1896-1933)・・・10年周期で日本の構造主義的哲学思想に近い活動した偉人がこの世に生を受けている。何かの意図を感ずるのは僕だけであろうか・・・??
新海は次回作で新たな全く別の方向性を見出すのではないだろうかと、思いを馳せるだけでワクワクが止まらない。
夏にコンバインは走らせないぞ
ほかにも「すずめのだいじ」は隠語を連想させるし
ところどころに引っかかる点があって世界に入り込めなかった。数ある天災の中地震だけと関連させては今後大地震が起きたときに放送中止とかに繋がりかねないし東北民としては予想外の話の持って行き方だった
立ち尽くす人へ
えらくハードな話だった。
結局のところ「明日に進む勇気」なのかもしれない。
滑り出しは唐突で、どんな物語なのかさっぱり分からない。ただただ降り注ぐ事象に呑み込まれていく。だが、これも本編の内容から振り返ると、至極的を得た導入だったように思える。
冒頭に鳴り響く地震のアラート。
嫌な音だ。
311を嫌でも思い出す。自覚はなかったが、それなりのトラウマになってるみたいだ。
大多数の日本人が抱えているであろうトラウマを本作は抉り倒してくる。主人公たちが立ち向かうのは地震を起こす元凶だからだ。
物語の終盤まで語り部は、破滅と消失の前兆を描く。
滅亡の未来とでも言うのだろうか…何の前振りもなく、突然にソレは訪れる。
平穏と思える日常は、実は脆く、命は尽きるもので儚いものであると明示され、大多数の人々はその危うさに無頓着に過ごしている。
その裏側で、命を賭してソレらと対峙する主人公たちがいる。メチャクチャな温度差で描かれる。
スマホを見ながら無表情で歩く大衆が映ったかと思うと、高度何百mから落下する女子高生だ。
この対比が意味するものは何なのか。
認識できないが明らかに影響力がある何かの存在なのだろうか?それとも、小さな小さな楔で繋ぎ止められている日常の不安定さなのか?
いずれにせよ、薄氷よりも薄い氷の膜のようなモノの上に組み上げられた、永遠という幻想に囚われた愚か者たちの世界…そんなモノを見てるようだった。
かと思えば、彼女が旅先で会う人達は温かい。
なのだが、しっかりとギブ&テイクが描かれる。そんな描写はこの作品に限った事ではないのだけれど、何故だか印象的だった。
受けた恩は返す、もしくは返してもらう。
そこから繋がるご縁としがらみ。
至極当たり前の事だけど、無償のものなんて人の世にはそう多くはなく、持ちつ持たれつだ。そんな事が何故だか印象に残った。
そんな人達に助けられつつ目的に向かう主人公たち。
大都会・東京の空を覆い尽くすミミズには身の毛がよだつ。しかも、それが普通では見えないのだ。あんなものの真下で平然と暮らしている。
認識できないだけで脅威は常に振り下ろされる寸前なのだ。これまでの物語の大部分が滅亡と背中合わせの状態の周知に費やされる。
勿論、回避はされる。その元凶を主人公たちは退けるわけなのだけど、ここまでが入念に整えられた前振りだった。恐れいるぜ新海監督…。
主人公は勅を唱え宣言する。
儚き生だとは知っている。いずれ尽きるものが命であり、消滅が定められているのが命の本質である。
その上で生きたいと願い請うのだと。
そして、ヒロインはかつての幼き自分に語りかける。
今がどんなに暗くても、あなたには輝く時間が待っている。その証明が目の前にいる私だ、と。
その幼子が14歳の自分なら28歳の自分が。50歳の自分なら70歳の自分が。
「今は辛いね、大変だよね…でも大丈夫。今の私を見て、ちゃんと成長してるでしょ?笑ってるでしょ?大変じゃなかった日なんてないけれど、ちゃんと幸せな日も過ごせてるよ。だから大丈夫。不安に押し潰されないで。」そんな事を言ってくれてたように思う。
いずれは死んでしまうのだけど、それが早いか遅いかの違いだけかもしれないのだけれど、だからと言って無気力にならないでと。命に幻滅していかないでと。この世でしか、この儚さの中にしかない素敵なものは絶対あるから、と。
おそらくなら、そんな事を問いかけた作品に思う。
そして、それらを可能にするヒントは先人達が残していってくれてるんだよと言われてる気にもなった。
このメッセージに説得力を付与させる為の滅亡への描写だったのだ。
全くもって、類稀なるストーリーテリングなのである。
本作には名優たちも声優として名を連ねている。こんな内容を突きつけられた日にゃ、監督としての演出にグウの音も出ないのだろうと思われる。
作画の水準は極めて高く、新たな手法も随所に見られる。エンタメとしての外殻は恐ろしく見栄えが高い。こんな小難しい話を…ちゃんと観客に届ける為のアレやコレやを抜かりなく準備し、仕上げてくる。
同じ内容を高僧が説法しても、足が痺れて耳には入ってこんだろうて。政府が莫大な予算を投じてキャンペーンしたとしても、見向きもせんのだろう。
そういう類いの話ではあるのだけれど、ものの見事に突き刺さる。
…恐るべし新海誠。
ダークな世界観で、作中に出てくる「闇が深い」って台詞が似合う作風でもあったけれど、それを塗り潰す希望の存在を明確に強烈に知らしめた作品だった。
多分ならこの手のテーマをベースにした物語は数限りなくあると思われる。普遍性のある内容だけに。
だけども、ここまでダイレクトにソレだけで勝負に出た作品ってあるのだろうかと考える。
暴挙と言ってもいいんじゃなかろうかと思う。
命が置かれている本質的な状況しか描いてないように思うのだ。
ソレを…こんな作品に昇華させて見せた底力よ。
たまげるわ。
脚本を練り上げるのにどんだけの時間を費やしたのだろうか…。
ちゃんと娯楽作品として仕上がってるのが驚異的。
戸締まりってタイトルも言い得て妙だ。
過去はなかったものにも、忘れさるわけにもいかないのだ。そこにはあるのだけれど、ふいに出てこないように鍵をかけて閉めておくのだよって事なのだろう。
■追記
レビューをいくつか読んで「人は脆いけれど、弱くはない」そんな言葉が不意に浮かんだ。
誰の映画を見ているのか分からなくなった(追記あり)
ジブリ(特にハウル?)にトイストーリーを混ぜて、アクセントにエヴァを加えたような、新海作品ってこんな作品だったか?と正直思った。
日本なので地震をモチーフにするのは良いと思うが、地震をミミズで表現し巨大なミミズが地面に倒れると地震が発生するという何とも微妙な設定。ミミズが地中を這って地震が発生する方が理解しやすかっただろうと思う。見栄えが悪いため地表に出したのだろうか。
いずれにせよ、ニッチな作品ならまだしも売れっ子監督が日本で地震をエンタメにするのは違うような気がする。
今回すずめが移動した場所はここ100年で大地震が起きた場所。(大地震になっていないが日向灘も結構揺れる) 個人的には、能登半島は通って欲しかった。
10年経ったとは言え、常世で震災当時をイメージしたような映像になっていたのは大丈夫なのか?という印象、当時私は関西に住んでいたので被害は受けなかったとはいえ、当時のニュース映像を思い出した。実際被害にあった方はフラッシュバックするのではないのかと気になった。
あらすじには「災いの元となる「扉」を閉める旅」と記載されているが、地震や311という言葉は一つもない、私はあらすじすら見ずに見に行ったので、こういう話になるのかと面食らった。
この作品の世界の中では最終的に再度要石で封印をしたため、扉を閉じればもう地震が起きないのか?と疑問は残る。
新海作品なら最後は会わないで欲しかったなという気持ちもある。
東京の作り込みは相変わらずすごいが、神戸で出てきた九宮筋商店街は改変しているのはなぜなのだろうか、許可や何かしらの大人の事情なのだろうか。お茶の水もお茶の湯みたいに改変して合わせてくれれば良かったのに。
追記
本作にて「この作品は、前を向いて生きろというメッセージだ」的な意味合いのレビューが散見したため、あまりに納得がいかず追記する。
東日本大震災を連想させる3.11を表現するのなら予め注意書きとして書くべき。
「辛いことがあったとしても前を向いて生きるべきだ」という、相手の事情を全く考えず自分のポジティブを相手に押し付ける迷惑な人間が世の中にはいる。そういう人間は、これまで大した苦労もしてないのだろうと私自身の経験からも察することが出来る。善意とは時に下手な悪意よりも厄介で面倒なことが多々ある。余計なお世話は言い得て妙だ。
正直、2回目以降を嬉々として見れる人の方が新海誠の思うツボだと私は思う。新海誠は実はこう思っていたんだと妄想している人に対しては、正直痛い信者というレッテルを張らざるを得ない。
炎上するかもしれないけど、2回目を見れば真意が分かるという作品を一流の監督が作るべきではない。それは売れないYouTuberが行う手法だ。
新海誠の世界を知らない方もどうぞ!
天気の子以来の作品で楽しみにしていました。
地デジのロードショーで冒頭12分の映像が流れていましたが、それを観ただけでも面白そうだなと感じ観に行きました。
最初観る前はあのイスはなんなんだろうとかドアから出てくるのは何?とか色々ありましたが全てスッキリしました。
昔にあったであろう祈祷的な話がリアルに再現されていたり、君の名はでもお馴染みのあの世という表現がいかにも新海誠っぽさがありましたが、話の内容と流れなどを観ているとそこまでの濃さはなく自然に観ていられる映画でした。胸が締め付けられるシーンや少し笑えるシーンなどは健在で、全体的にバランスの良い作品だと感じました。
まずは、上映開始から早い段階で観れたことに満足してます。
主人公の鈴芽ちゃんがとても可愛かったです。
優れた描写とずさんな脚本
前二作とくらべ、よりファンタジー色を強めた一本。リアルな街並みと非現実的な存在との融合は見事で、見ているだけでも楽しかった。一方、なぜキスで氷が溶けるのか、そもそもなぜ椅子にする必要があったのか、など混乱する点が多く、物語に入り込めなかった。
すずめが冒頭から自分の命に頓着しない行動をとることの原因が、実は震災孤児になったことによるサバイバーズギルトだったという展開は面白かった。
点数は若干あまめだが
新海作品にジブリ風は求めてなかったんですけど・・・
TOHOシネマズデー『すずめの戸締まり』
今や新海作品は、老若男女観るのは必然なのか!?と思わせる1日の上映回数の多さに!(◎_◎;)
確かに『君の名は』の時は、公開1ヶ月経ってもシネコン賑わってましたが・・・
公開4日目の月曜の私の観た回は、上映回数多過ぎで2割にも満たない感じでゆったり鑑賞出来ました。
内容は予告観た時から??って感じの予感。。。
人と人との絶妙な距離感と不思議な出来事の融合が面白かった新海作品に・・・
ジブリ風テイストは必要なのかと思いつつも、車中流れる選曲は、昭和な人も楽しめるようにしてくれたのかな♬
話の内容的には、天災を防ぐ神様の物語でしたが、私も神戸の被災者だけにえッ、、って恐怖が蘇った。
声優さんは絶妙〜深津さんと神木くんは特に素晴らしい!
ただ神戸でのシーンのやり取りは、何か型にハマったイントネーションだと思ったらやっぱりね。
各地を転々とする物語だけにその辺のキャスティングが惜しい。
既に2回観たブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー2時間41分より長く感じた2時間 2分でした。
観る人を選ぶ
誰もが苦手な地震速報のアラームや描写。
これに関しては前々から言われていたし、映画館で公開前にテレビでも冒頭の10分が流れていたので覚悟はしていました。
でも
日付が3.11とか大津波とか…
観ていて悲しくなりました。
そこは変えてほしかった。
これはファンタジーと言うか、フィクションであってほしかった。
観るのが辛い方はたくさんいるのではないでしょうか。
今は廃墟になってしまった集落、遊園地、学校…そこにはたくさんの人達の思い出が詰まっていて、忘れないでと訴えかけているようにも思えました。
すずめの周りには自然と素敵な仲間が集まり、支えてくれる。人の優しさにも触れ、前を向いて進もうと言うメッセージが伝わる映画でもありました。
美しく作ってくれたからこそ楽しめた
物語の疾走感と映像の迫力が凄かった!
私にとって震災は被災地が身近な場所であった為に当時はとても心が折れ掛けましたが、時が経ってこういう新しい形で表現されるとは…
寧ろあのリアルな津波跡の光景を恐怖感溢れるダークな色彩を使って改めて見せられたら「軽んじるな」と嫌悪感が芽生えたかも。
敢えて綺麗な絵で見せてもらえたからこそファンタジー作品として私は受け入れられました。
個人的には新海誠監督の作品が苦手で(すみません…)なんとなく避けていましたが今回とても面白かったです。
作中では主人公と家族や旅の道中で出会う人達との会話の掛け合いが多く、逆に青春ラブコメの青臭い会話が少ないのも私は好みでした。
気持ちよく駆け抜ける前半に比べ後半は登場人物たちの会話も展開もダークな雰囲気ではありますが、話に重みが出てきて見応えがありました。
観れて良かったです^ ^
共感からかけ離れている
泣ける!という前評判をみてハンカチを用意して観にいったのですが、どこでなけるのか全く分かりませんでした。
映画前にやっていたほしぐまのおじいちゃんとカメラのアニメーションの方が俄然うるっときました。
これは、みんなの行動原理に共感できずなんで?の気持ちの方が勝ってしまったからだと思います
まず鈴芽。
主人公の鈴芽の心情が1番共感できません。
なぜすれ違っただけの人にあんなに心奪われてしまったのか、3日程度過ごしただけの人のためにあんな危険を犯すのか、自分が変わりに死のうとまでするのか
さっぱり共感できません。
常に草太さん……!!!草太さん…!!!!!となるのが謎で仕方なかったです。
ふたりのやり取りがもっと深いものがあれば、納得もしたでしょうが、あの映像ではわかりませんでした。
3分にも満たない短さのほしぐまでうるっと来るのは子供とおじいちゃんという関係が説明しなくても親密であることが想像できるからです。
なんの関係性もない2人にはそれなりの理由がないと親密さを理解することはできません。
次にダイジン。
ダイジンは行動も正体も謎です。
実は…!的な展開もありません。なぜ鈴芽が好きなのか、草太を邪魔と言い放って自分の代わりにしたのか、まぁわかるといえば分かるけど納得はできません。
邪悪な一面をみせたかと思えば鈴芽に嫌われてしまったら弱々しい姿にもどり、鈴芽が草太の代わりになろうとすれば自分がまた石にもどる。なんかモヤモヤするんですよね。
草太は行動原理というかキャラクターが掴めません。
ロン毛・泣きぼくろ、突然自転車にのってる女子高生に話しかけるところからミステリアスでちょっとチャラさもあるハウルのような人かと思えば、全然そんなことはなくどちらかと言うとちょっと固く真面目な性格っぽい感じ。でも常に大袈裟な声優の演技も相まってクールな感じはなく、しかしツッコミのときも一貫して「すずめさん」呼びの固さもある。
なんか一貫性がなく、これも鈴芽が恋に落ちたのが分からない所以でもありました。
あの見た目ならチャラミステリアス系統でよかったんじゃないか…?
ダイジン、サダイジンの正体しかり謎が明かされなかったのもモヤモヤしますが、それぞれの関係性とキャラクターがいまいち掴めないのが共感出来なかった要因かなと思います。
また、天気の子や、今作の前半部分にある大好きな人の命VSその他大勢の命は大好きな人の命が勝ってしまっても仕方ないと思えるのですが(今作では大勢の命を優先しましたが)
草太が石になるのは嫌なのに、ダイジンが石から解放されたかった気持ちには全く寄り添わず、ダイジンが石に戻るのは良しとする流れが死ぬほどモヤモヤしました。
あと、新海さんといえば主人公のポエム語りだと思っていて
あの感じが好きだったので今回全くなかったのが悲しかったです。
新海誠監督はいい加減シナリオは他人に任せたほうがいいと思う
絵と音楽は綺麗でした。
それが目当ての人は見る価値が十分にあります。
ただ、「美人は3日で飽きる」というように、私は綺麗な絵と音楽に三作目で飽きました。
肝心のシナリオは、シンプルに、ガールミーツボーイ、無知から解き放ってしまった災いを再封印する旅、カエルにされた王子様を人間に戻す、トラウマからの解放、行って帰る物語、などのテンプレを複合したものになっています。
下手に捻ってないだけに、前回の能天気の子ほど酷くはなく、キチンとファンタジーしています。
ただ、ガールミーツボーイのメインストーリーを成立させるために、設定を思いつきで次々付け足していったらしく(入場者特典の冊子で監督自身がそう書いてありました)よくよく考えると酷い設定です。
例えば、「人の想いが少なくなると裏の戸が開き、閉じ師が閉めるのに失敗すると、大地震が起きる」という設定。
つまり、「東日本大震災が起きたのは、東北の人たちの想いが足りず、更には閉じ師が失敗したから起きた」と言っているようなものではないでしょうか?
あるいは要石だったダイジン。
数百年孤独にミミズを封じていて、ようやく解放されたのに、またスズメのエゴのために要石に戻るとか、健気すぎて涙が止まりません。それなのに、ダイジンに対するフォローがほぼ無い!
全体を通じて、一見イイハナシダナーと思うのですが、よくよく見るとアチコチに粗があって、チグハグ感、違和感が拭えません。
タイトルにも書きましたが、新海誠監督はいい加減シナリオは他人に任せて、演出だけに特化したほうが、結果的に良い映画になる気がします。
アニメーションクオリティ「は」最高
とにかく、エンドロールの監督自身のクレジットのフォントの大きさと順番に「やれやれ」って気持ちになりました。どれだけ自信満々なんだ?と。なんだか、周りイエスマンしかいないんじゃ?と老婆心ながら思うほど。
ま、ある程度のエゴは表現者として必要なんでしょうが、どーにも独りよがり感が強く物語は稚拙さを感じざるをえませんでした。
ラストの帰着はさすがの新海監督。相変わらずうまい時間軸の使い方。ドラマティックでした。けど、けどね。あまりに詰め込みすぎたのでは?だって、背景や心情描写が薄過ぎて、鈴芽はじめ登場人物たちの行動理由に説得力がなさすぎる。
鈴芽の成長?感じられない。ただ動いてるだけ。
ダイジンの行動変化、よくわからん。
おばさんとのケンカ、なんでそこ?
いや、そもそも鈴芽ってそんな猪突猛進する子なの?
わからん。
なんか、素敵なシーンと思われるイメージボードをむりくりストーリーで繋げてるだけのように思ちゃって、ロードムービー的な要素ありつつも、展開は冗長で全体的に長い。眠くなりました、途中。(だって同じこと繰り返すだけなんだもん、ある場所に行くために)
だから、良い場面はあれどカタルシスが生まれませんでした。それとさ、あの出来事をただのドラマの設定としてしか使ってない?監督。これじゃなくてもよかったんじゃない?だって、前向こう!だけじゃただの外野からの気休め応援ですよ?もっと、もっと寄り添えるメッセージあったんじゃ?
好きにはなれない一本でした。
あしからず。
「スゴイ映画」でなく「ヤバイ映画」。信者が居たからこそ公開できた新海誠作品……
皮肉とか否定的な意味での「信者」ではありません。と言いますのも……
……本作映画、公式からアナウンスされていた通りに一部、というか随所に例の地震災害を思わせる描写があります。
むしろその「災害」こそ本題とばかりにがっつり物語に関わってきます。
多くの人が心に傷を負ったデリケートな事象だけに、下手の発言を一つでも打てば炎上必須。最悪作品が創れなくなる可能性まであり得る非常に危険な本題です。
実際、この映画が公開された直後も「トラウマが呼び起こされた」といった感想ツイートが数多く見られました。
思うに、「君に名は」「天気の子」の名声があった新海誠監督で、映画の内容を好意的に受け止めることができるファン(信者)も多かった。だからこそ公開できた作品なのではないでしょうか。
どれだけ物語の内容が良かろうとも、人気を得られていない他の人だと所謂「不謹慎厨」の声が大きくなり、テーマの内容だけで賛否の声で炎上してしまっていた気がします。
恋愛要素である「鈴芽(スズメ)「草太」はちょっと微妙な感じです。
もちろん映画を通して描かれる恋愛模様は面白いのですが、ドラマチックさでは「君の名は」「天気の子」が圧倒的で、それらに比べるとちぐはぐしている印象があり見劣りすると言わざるを得ないと思います。それでも面白いのですけれども!
恋愛要素が大きかった「君の名は」「天気の子」から、災害要素や主人公の成長、そして観客へのメッセージに重きを置いたのが本作、と言えばよいでしょうか。
これだけ話題になっていますが、一般向けではありません。
ハートフルな万人受けしていたを過去作を期待して見に行くとハートフルボッコにされます。
私はそういった災害に合ったことが無い人間でしたので、映画の中身は楽しめつつも、上映中ずっと顔の引きつっていた、という奇妙な体験をしました。
そして私が心を抉られたのは人間関係の黒い部分です。それでも物語の序盤や主人公の成長を覚えていたので向き合えましたが……視た瞬間は結構辛かったです。
少なくとも鑑賞後のテンションは下がります。
いろいろ考えることが多くて口数が減る、といった意味でテンションが下がります。
重さと温かさが混在した、ヤバい映画です。
優しく切ない応援歌
星を追う子ども
アマブラの予告見てファンタジー色つよすぎの感があったが、予想どおり今回はまるで刺さらなかった。
ファンタジー色の強さに加え、主人公の行動に共感持てず、ダイジンの行動原理も意味不明。物語が3.11と関連していると知った時、軽い驚きを覚えるも、すでに前二作で3.11の暗示はあったので、正直「またか」と思ってしまったのも事実である。
映画見終えたあと、新海監督があるインタビューで、スタッフから「そこは恋愛じゃないでしょう」と指摘されても押し通したと述べているのを読んだが、見てる最中、私もスタッフと同じ違和感を感じ冷めてしまったのも事実である。
映像は大変すばらしく、随所に観客を飽きさせぬよう工夫されてるが、自分が新海作品に求めているのは、ファンタジーでなく、季節感溢れる背景と見事なまでにリンクした登場人物の心情であることを今回改めて確認できた。
秒速の「桜」や「雪」、雲海を突き抜けるロケット。言の葉の庭の「雨」。君の名はの輝くような都会の風景と紅葉と山頂、そして彗星。天気の子の「真夏の雪」とぞっとするほど雲一つない青空・・・台詞はなくとも一つ一つの描写が主人公の心情を代弁し、心に刺さったが、今回それらを感じられなかったのは残念である。
観終わった直後、この感覚は、星を追う子供を見た時と似てると感じた。
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